前職を辞めた理由が「スキルアップ」。薬剤師転職で好印象を与える伝え方
薬剤師の方が転職を決意される際、その「前職を辞めた理由」として「スキルアップのため」と答えるケースは非常に多く見られます。これは、ご自身の専門性を高め、キャリアを前進させたいという向上心の表れであり、本来は非常にポジティブな転職理由です。しかし、面接などの場でこの理由を伝える際、どのように表現すればご自身の意欲が正しく伝わるのか、悩まれる方も少なくありません。
「スキルアップ」は非常に前向きな退職理由
まず前提として、「スキルアップしたい」という思いは、薬剤師としてのキャリアを真剣に考えている証拠です。医療は日進月歩であり、かかりつけ薬剤師制度や在宅医療の推進など、薬剤師に求められる役割も日々高度化・多様化しています。現在の職場では得られない新しい知識や経験を求めて、環境を変えることを決断するのは、専門職として当然の権利であり、立派な「退職理由」と言えます。
「前職を辞めた理由」として伝える際の注意点
ただし、この「スキルアップ」という理由を伝える際には、少し注意が必要です。もし、「前職ではスキルアップできなかったから辞めました」というように、現職への不満や批判が前面に出てしまうと、採用担当者はどのように感じるでしょうか。場合によっては、「他責的な姿勢なのではないか」「環境が整っていないと、すぐに不満を感じてしまうのではないか」といった、ネガティブな印象を与えてしまう可能性もゼロではありません。
なぜ「スキルアップ」が必要だったのかを具体的に
「前職を辞めた理由」を前向きに、かつ説得力を持って伝えるためには、「具体性」が鍵となります。単に「スキルアップしたい」と述べるのではなく、ご自身が「何を」「なぜ」学びたいのかを明確にすることが重要です。例えば、「地域包括ケアに貢献するため、在宅医療の分野での実践的なスキルを身につけたい」「がん専門薬剤師の資格取得を目指しており、病院での臨床経験を積みたい」といったように、ご自身のキャリアプランと結びつけて説明します。
現職での経験と、次のステップへの論理的な説明
次に大切なのは、「なぜ、それが前職では実現できなかったのか」を、不満としてではなく「客観的な事実」として説明することです。例えば、「前職では〇〇という経験を積み、基礎を学ぶことができましたが、在宅医療には取り組んでいない薬局であったため、その分野のスキルアップを目指すことが物理的に困難でした」といった形で、現職への感謝や評価を述べつつ、次のステップに進む必要性を論理的に伝えます。
退職理由と志望動機の一貫性が鍵
そして最も重要なのが、その「前職を辞めた理由」と、応募先の「志望動機」とが、一本の線でつながっていることです。「在宅医療のスキルアップ」を退職理由に挙げているのであれば、応募先の企業や病院がまさにその在宅医療に力を入れている必要があります。「前職では叶わなかったそのスキルアップが、〇〇に注力されている貴社(貴院)の環境であれば実現できると確信し、志望いたしました」と一貫性を持たせることで、ご自身の転職への本気度と計画性が伝わり、非常に説得力のある「退職理由」となります。
ご自身のキャリアプランと退職理由の整理に迷ったら
ご自身が今後どのようなスキルアップを目指すべきなのか、そして、それを面接の場でどのように「前職を辞めた理由」として整理し、伝えれば良いのか。また、ご自身が望むスキルアップが本当に実現できる職場はどこなのか。これらを一人で考え、見つけ出すのは簡単なことではありません。キャリアプランの整理や、ご自身の強みを最大限に活かす「退職理由」の構築に迷った際は、一度キャリアの専門家に相談してみるのも一つの有効な手段です。転職エージェントは、多くの薬剤師のキャリアを見てきた経験から、ご自身のキャリアプランを明確にするお手伝いができるかもしれません。







