薬剤師の職務経歴書、異動経験の正しい書き方とアピール術
薬剤師として同じ法人に長く勤務し、複数の店舗や部署を経験された方が転職活動を行う際、職務経歴書にその「異動歴」をどのように記載すれば良いかは、ご自身のキャリアを効果的に伝える上で非常に重要なポイントです。異動経験は、書き方次第であなたの豊富な経験や高い適応能力をアピールするための絶好の材料となり得ます。この記事では、採用担当者にあなたのキャリアの幅と深さを効果的に伝えるための、職務経歴書における異動歴の正しい書き方について詳しく解説します。
職務経歴書に異動歴を記載する重要性
結論から申し上げますと、職務内容や役割が変わる異動歴は、職務経歴書に明確に記載すべきです。同じ会社内での異動であっても、それはあなたのキャリアにおける重要なステップであり、成長の証だからです。例えば、調剤薬局の店舗間異動により、応需する処方箋の主な診療科が内科から精神科に変わったとすれば、それはあなたが新たな領域の知識とスキルを習得したことを客観的に示します。
また、病院内での病棟業務と中央業務(調剤室やDI室など)の間の異動も、異なる役割を担える能力を示す上で非常に重要な情報です。これらの異動歴を具体的に示すことで、環境への順応性の高さや、様々な業務に対応できる柔軟性をアピールでき、採用担当者からの評価を高めることに繋がります。
職務経歴欄への具体的な書き方
職務経歴書に異動歴を記入する際は、時系列に沿って、各期間でどのような業務に従事していたのかが明確に分かるように記載することが大切です。法人名や会社名の「入社」を記載した後、最初の配属先での業務内容を記します。そして、異動した年月とともに、「同社 〇〇店へ異動」や「〇〇部へ異動」と記載し、その下で異動先での職務内容を具体的に説明します。
その際、異動先でどのような役割を果たし、どのような実績を上げたのかを具体的に記述することが、他の応募者との差別化に繋がります。例えば、「〇〇店への異動後、新たに在宅医療チームの立ち上げに参加し、多職種連携カンファレンスの運営を担当しました」といった補足は、あなたの主体性や専門性を具体的に伝える上で大きな助けとなります。管理薬剤師への昇進など、役職の変更があった場合も同様に「〇〇店 管理薬剤師に就任」などと明記しましょう。
異動回数が多い場合の工夫
もし異動の回数が非常に多く、すべてを詳細に記載すると職務経歴書が煩雑になってしまう場合は、工夫が必要です。応募先の業務内容と関連性の高い異動や、ご自身が特にアピールしたい経験に絞って詳細に記載し、その他の異動は簡潔にまとめるのも一つの方法です。
例えば、業務内容が大きく変わらない店舗間の異動が複数回あった場合は、「〇〇エリアの複数店舗にて、内科・小児科領域の処方箋を中心に調剤・服薬指導業務に従事」のように集約して記載し、その中でも特筆すべき経験があった店舗については別途詳細を記述すると、キャリア全体がすっきりと見やすくなります。
異動経験を自己PRで強みに変える視点
異動の経験は、職務経歴書内の「自己PR」欄や「活かせる経験・スキル」欄でアピールできる強力な武器になります。複数の店舗や部署で勤務した経験は、幅広い知識やスキルを持つジェネラリストとしての強みを示します。また、新しい環境や人間関係に何度も適応してきた事実は、あなたの柔軟性やコミュニケーション能力の高さを客観的に証明するものです。「2度の店舗異動を経験する中で、異なる業務フローやスタッフと協働し、どのような状況にも柔軟に対応できる環境適応能力を培いました。この経験は、貴社での新規店舗立ち上げにおいても必ず活かせると考えております」といった形で、具体的な強みとして言語化し、アピールに繋げましょう。