薬剤師の職務経歴書、年収は書くべき?正しい伝え方と注意点
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、ご自身のスキルや経験を詳細にアピールするための職務経歴書。その作成にあたり、「現在の年収や希望年収は、記載すべきなのだろうか」「正直に書くと、選考で不利になってしまうのではないか」と、その扱いに悩んでしまう方は少なくありません。年収は転職において非常に重要な要素ですが、その伝え方一つで、あなたの印象やその後の条件交渉が大きく変わることもあります。この記事では、職務経歴書における年収の正しい扱い方と、あなたの価値を最大限に伝えるためのポイントを詳しく解説します。
結論として職務経歴書に年収は書かないのが基本
まず結論として、職務経歴書には、応募先から特に指示がない限り、ご自身の現在の年収や前職の年収を記載する必要はありません。職務経歴書は、あくまであなたがこれまでどのような業務に携わり、どのようなスキルや実績を上げてきたのかという、職務遂行能力をアピールするための書類です。そこに、自ら年収という条件面の情報を書き加えるのは、一般的ではありません。
なぜ年収の記載が推奨されないのか
職務経歴書に年収を記載しない方が良いのには、明確な理由があります。もし、あなたの現在の年収が、応募先の想定している給与レンジよりも高かった場合、採用担当者は「採用しても、給与面で折り合いがつかないだろう」と判断し、面接の機会を得る前に不採用となってしまう可能性があります。
逆に、現在の年収が市場価値よりも低い場合、応募先がその金額を基準として採用時の給与を提示してくる可能性も否定できません。本来であれば、あなたのスキルや経験、そして応募先の給与水準に基づいて決定されるべき給与が、前職の給与に引きずられてしまい、不利な条件交渉に繋がるリスクがあるのです。
希望年収はどのように伝えるべきか
ご自身の希望年収についても、職務経歴書に自発的に記載するのは避けるのが無難です。履歴書の「本人希望記入欄」に記載するのも同様で、書類選考の段階で条件面を強く主張しすぎると、「仕事内容よりも待遇が第一なのか」と、仕事への意欲を疑われてしまう可能性があります。
年収に関する希望は、選考が進み、面接の場などで採用担当者から質問された際に、初めて具体的に伝えるのが最もスムーズな流れです。その際も、単に希望額を伝えるだけでなく、「これまでの経験やスキルを考慮し、〇〇円程度を希望いたします」というように、ご自身の価値に基づいた希望であることを論理的に説明できると、交渉が有利に進みやすくなります。
応募先から年収の記載を求められた場合の書き方
もちろん、応募先の企業や医療法人が用意した応募フォームや、募集要項の中で、現在の年収や希望年収の記載を明確に求められている場合は、その指示に従う必要があります。
その際は、ごまかさずに正確な金額を記載しましょう。現在の年収を記載する場合は、税金や社会保険料が引かれる前の「総支給額(額面年収)」を記載するのが一般的です。「年収 約〇〇〇万円(賞与・各種手当含む)」というように、何が含まれた金額なのかを補足すると、より丁寧な印象になります。
希望年収を記載する場合は、事前に応募先の給与水準や、ご自身の市場価値をリサーチした上で、現実的な金額を提示することが重要です。具体的な金額を提示するのに抵抗がある場合は、「現職の年収〇〇〇万円を考慮の上、ご提示いただけますと幸いです」といった、相手に委ねる丁寧な表現を用いるのも一つの方法です。このようなデリケートな条件交渉に不安がある場合は、転職市場の相場を熟知した転職エージェントに相談するのも、有効な選択肢と言えるでしょう。