薬剤師の転職、職務経歴書に添えるポートフォリオとは?
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、ご自身のスキルや経験をアピールするための職務経歴書は、採用の可否を左右する非常に重要な書類です。その作成過程で、特に専門性をアピールしたい場面などで「ポートフォリオ」という言葉を耳にし、「薬剤師にもポートフォリオは必要なのだろうか」「一体何を含めれば良いのか」と、その扱いに迷ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、職務経歴書をさらに補強し、あなたの価値を最大限に伝えるための、ポートフォリオの役割と作り方について詳しく解説します。
そもそもポートフォリオとは何か
ポートフォリオとは、元々はデザイナーやクリエイターが、自身の作品や実績をまとめた「作品集」のことを指します。これと同様に、ビジネスにおけるポートフォリオとは、ご自身のスキルや経験、実績を、具体的な制作物や資料といった「目に見える形」で証明するための資料集と考えることができます。
文字情報が中心となる職務経歴書だけでは伝えきれない、あなたの能力や貢献度を、客観的な証拠として提示する役割を担っています。つまり、職務経歴書があなたのキャリアの「物語」だとすれば、ポートフォリオはその物語を裏付ける「証拠資料」なのです。
薬剤師の転職でポートフォリオは必要か
結論から申し上げると、薬剤師の転職活動において、ポートフォリオの提出が必須とされることは極めて稀です。基本的には、丁寧に作り込まれた職務経歴書があれば、ご自身のスキルをアピールすることは十分に可能です。
しかし、他の応募者と差をつけ、ご自身の専門性や主体性をより強くアピールしたい場合には、ポートフォリオは非常に強力な武器となり得ます。特に、DI(医薬品情報)業務や学術、後輩の教育・研修、業務改善といった分野で、ご自身が作成した資料やデータがある場合は、その提出を検討する価値は高いでしょう。
薬剤師がポートフォリオに含めることができる内容
では、具体的に薬剤師はどのようなものをポートフォリオとしてまとめることができるのでしょうか。例えば、院内勉強会で使用した発表資料(スライドなど)や、患者様向けに作成した分かりやすい服薬指導箋などが挙げられます。また、DI業務を担当されていた方であれば作成したDIニュース、後輩指導のために作成した業務マニュアルも、あなたのスキルを具体的に示す好例です。
さらに、業務改善プロジェクトなどに携わった経験があれば、その際に作成した提案書や、改善前後での効果をまとめた報告書なども、あなたの課題解決能力を証明する素晴らしい資料となります。学会で発表したポスターや、執筆した論文・記事なども、もちろん含めるべき重要な実績です。ただし、これらの資料に患者様の個人情報や、勤務先の機密情報が含まれている場合は、必ずそれらの情報を完全に削除、あるいはマスキングするといった、個人情報保護と守秘義務の遵守を徹底することが絶対条件です。
ポートフォリオの作成と提出のマナー
ポートフォリオを作成する際は、A4サイズ数枚程度に、ご自身の代表的な実績を厳選してまとめるのが基本です。単に資料を並べるだけでなく、それぞれの資料がどのような背景で、どのような目的で作成され、あなたがどのような役割を果たし、どのような成果に繋がったのかを簡潔に説明する補足文を添えると、より丁寧で分かりやすい資料になります。
提出方法としては、応募書類に無断で同封するのではなく、まずは職務経歴書の自己PR欄などで「詳細な資料として、〇〇に関するポートフォリオのご用意もございます」といった一文を添え、その存在を示唆するに留めるのがスマートな対応です。そして、面接の場で、ご自身の経験を説明する際に、「参考資料としてお持ちいたしましたが、ご覧いただけますでしょうか」と、相手の許可を得て提示するのが最も良いでしょう。あなたの主体性とプレゼンテーション能力を示す、効果的な自己アピールに繋がります。