薬剤師の職務経歴書、「プロジェクト経験」をアピールする書き方
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、ご自身のスキルや経験を詳細にアピールするための職務経歴書。その作成にあたり、日々のルーティン業務に加えて、特定の「プロジェクト」に関わった経験は、あなたの主体性や課題解決能力を示す上で、非常に強力なアピールポイントとなります。しかし、「薬剤師の業務で『プロジェクト』と言えるような経験はないかもしれない」「どのように書けば、その価値が伝わるのか分からない」と、その書き方に悩んでしまう方も少なくありません。この記事では、あなたの経験を効果的に伝え、採用担当者に響くプロジェクト経験の書き方を詳しく解説します。
薬剤師のキャリアにおける「プロジェクト」とは
まず、「プロジェクト」という言葉を難しく考える必要はありません。日常業務とは別に、特定の「目的」を達成するために、期間を定めて取り組んだ活動は、すべて立派なプロジェクト経験と言えます。
例えば、「新人薬剤師の研修プログラムの作成」「電子薬歴システムの導入」「在宅医療サービスの新規立ち上げ」「かかりつけ薬局機能の強化に向けた業務フローの見直し」「地域の健康サポートイベントの企画・運営」といった経験です。これらの活動は、あなたが通常業務に加えて、組織の課題解決や価値向上に貢献しようとした、主体的な姿勢の現れなのです。
なぜプロジェクト経験の記載が重要なのか
採用担当者は、職務経歴書から、あなたが単に指示された業務をこなすだけでなく、自ら課題を発見し、解決に向けて行動できる人材かどうかを知りたいと考えています。プロジェクト経験は、あなたの「リーダーシップ」「計画性」「実行力」「協調性」「問題解決能力」といった、役職の有無にかかわらず発揮されるポータブルスキルを客観的に証明するための、絶好の材料となります。これらの経験を具体的に記述することで、あなたの入社後の活躍を具体的にイメージさせ、他の応募者との明確な差別化を図ることができるのです。
プロジェクト経験を効果的に伝える書き方の構成
プロジェクト経験を記載する際は、採用担当者がその概要とあなたの貢献度をスムーズに理解できるよう、構成を意識することが重要です。以下の項目を立てて、情報を整理すると分かりやすく伝わります。
まず、「プロジェクト名」として、どのような取り組みだったのかを簡潔に示します。次に、「プロジェクト期間」と、ご自身がどのような立場で関わったのかという「役割(リーダー、メンバーなど)」、そしてチームの「規模(人数など)」を記載します。
続いて、そのプロジェクトが立ち上がった背景や目的、つまり「どのような課題があったのか」を説明します。そして、その課題解決のために、あなたが「具体的に何をしたのか」という行動を記述します。ここが、あなたの主体性を示す最も重要な部分です。
最後に、その行動の結果として、「どのような成果に繋がったのか」を、可能であれば具体的な数字を用いて客観的に示します。
【状況別】プロジェクト経験の具体的な書き方と例文
ここでは、アピールしたい内容に合わせたプロジェクト経験の書き方を、具体的な例文とともにご紹介します。
業務改善プロジェクトの例文
プロジェクト名:患者様待ち時間短縮プロジェクト
期間:20〇〇年4月~20〇〇年9月
役割:プロジェクトリーダー(薬剤師3名、医療事務2名)
背景・目的:ピーク時における患者様の待ち時間が平均30分を超え、満足度低下が課題となっていた。
具体的な取り組み:
調剤から監査、投薬までの一連の業務フローを分析し、ボトルネックとなっていた散薬の計数業務を特定。スタッフからのヒアリングを重ね、予製棚のレイアウト変更と動線の見直しを提案・実行した。
成果:
ピーク時における患者様の待ち時間を、施策実行前に比べて平均で10分短縮することに成功し、患者様アンケートの満足度も5%向上した。
新規サービス立ち上げプロジェクトの例文
プロジェクト名:在宅医療サービス立ち上げプロジェクト
期間:20〇〇年1月~20〇〇年6月
役割:担当者(管理薬剤師と2名で担当)
背景・目的:地域の高齢化に対応するため、薬局として新たに在宅医療サービスを開始する方針が決定。
具体的な取り組み:
近隣の居宅介護支援事業所やクリニックへ自ら足を運び、ニーズのヒアリングとサービス内容の説明を実施。訪問服薬指導の業務フローや報告書のフォーマットを作成し、多職種連携のための情報共有ツールを導入した。
成果:
サービス開始後、半年間で10名の新規在宅患者様を獲得し、地域のケアマネジャーとの円滑な連携体制を構築した。