薬剤師の転職、採用担当者に響く職務経歴書の基本ルール
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、履歴書とあわせて提出を求められる「職務経歴書」。履歴書がご自身のプロフィールを証明する公的な書類であるのに対し、職務経歴書は、これまでのキャリアで培ってきたスキルや経験、そして実績を具体的にアピールするための、いわば「プレゼンテーション資料」です。この書類の出来栄えが、採用の可否を左右すると言っても過言ではありません。この記事では、あなたの価値を最大限に伝え、転職を成功に導くための、職務経歴書の基本的なルールとマナーを詳しく解説します。
作成を始める前の基本ルール
本格的に内容を書き始める前に、まずは職務経歴書全体の体裁を整えるための基本ルールを確認しましょう。作成は、手書きではなくパソコンのWordなどで作成するのが一般的です。用紙のサイズは、ビジネス文書の標準であるA4サイズを選び、情報量に応じて1枚から2枚程度にまとめるのが読みやすいボリュームとされています。そして、履歴書と同様に、日付の表記は「西暦」か「和暦」のどちらかに必ず統一してください。表記の混在は、注意力散漫という印象を与えかねません。
内容に関するルール:構成と書き方
採用担当者にあなたのキャリアを分かりやすく伝えるためには、書類の構成、つまり「話の流れ」が非常に重要です。まず、冒頭にはキャリア全体の概要を伝える「職務要約」を記載します。採用担当者は非常に多忙であり、まずこの要約を読んで、続きを読むかどうかを判断します。200字から300字程度で、これまでの経験のハイライトと最もアピールしたい強みを簡潔にまとめましょう。
次に、具体的な業務内容を記す「職務経歴」を記載します。ここでは、勤務先の薬局や病院の概要(病床数、応需処方箋枚数、主な診療科など)とともに、担当した業務内容を具体的に記述します。「在宅医療チームの立ち上げに参加した」や「後輩薬剤師のOJTを担当した」など、あなたの主体的な行動が分かるエピソードを盛り込むことが重要です。
そして、これまでの経験から得た強みをまとめる「活かせる経験・知識・スキル」の項目を設けます。専門知識やPCスキル、コミュニケーション能力などを整理して示すことで、あなたの能力が一目で伝わります。最後に、仕事への熱意や将来のビジョンを伝える「自己PR」で締めくくります。
絶対に守るべき「NG」のルール
職務経歴書作成には、決して破ってはならない絶対的なルールも存在します。その一つが、「経歴を偽らない」ことです。職歴や実績を偽る「経歴詐称」は、発覚した際に内定取り消しや懲戒解雇といった深刻な事態を招きます。人の命と健康に関わる薬剤師という職業には、誰よりも高い倫理観と誠実さが求められます。
また、「様々な業務を経験しました」といった、具体性に欠ける曖 mêmesな表現も避けるべきです。採用担当者にはあなたが何をしてきたのかが伝わりません。「内科・小児科を中心に1日平均100枚の処方箋を応需し、幅広い知識を習得しました」というように、具体的な数字や事実に基づいて記述することを心がけましょう。
さらに、「人間関係が悪かった」「給与が低かった」といった、前職への不満をそのまま記載するのもNGです。採用担当者に「私たちの組織でも、同じように不満を抱くのではないか」という懸念を与えてしまいます。退職理由は、常に「キャリアアップのため」といった、前向きで未来志向の言葉に変換して伝えることが、円満なコミュニケーションの鍵となります。
職務経歴書におけるルールとは、単なる形式的なものではなく、採用担当者という読み手に対する「配慮」の表れです。一つひとつのルールを大切にし、あなたの価値が正しく伝わる、質の高い書類を作成しましょう。