薬剤師の職務経歴書、産休・育休経験の正しい書き方
薬剤師としてのキャリアを歩む中で、出産・育児のために産前・産後休業(産休)や育児休業(育休)を取得されることは、ごく自然なライフイベントの一つです。そして、その経験を経て転職活動を始めるにあたり、「この休業期間を職務経歴書にどのように記載すれば良いのだろうか」「正直に伝えることで、選考に不利になってしまうのではないか」と、不安に思われる方は少なくありません。この記事では、薬剤師の転職活動における、職務経歴書の産休・育休期間の正しい書き方と、その経験を前向きに伝えるためのポイントを解説します。
職務経歴書に産休・育休の記載は必要か
まず基本的な考え方として、産休・育休は労働者の正当な権利であり、その取得期間中も企業や医療法人との雇用契約は継続しています。そのため、職務経歴書に取得した事実を正直に記載することが、ご自身の経歴を正確に伝える上で重要です。
休業期間が職歴上のブランクとして見え、採用担当者が「この期間に何をしていたのだろうか」と疑問に思う可能性があります。その疑問を払拭し、計画的にキャリアを歩んできたことを示すためにも、産休・育休の事実は明確に記載しておく方が、より丁寧で誠実な対応と言えるでしょう。
採用担当者が知りたいのは「現在の就労状況」
採用担当者が産休・育休の期間に関心を持つのは、あなたの過去を詮索するためではありません。その唯一の目的は、「採用した後、育児と両立しながら、安定して継続的に勤務することができるか」という、未来の就労状況を確認するためです。
したがって、あなたが伝えるべき最も重要なメッセージは、「現在は育児の環境も整っており、業務の遂行に全く支障がない」という事実です。この点を自信を持って、かつ誠実に伝えることができれば、休業の経験が選考で不利に働くことはありません。
職務経歴書への具体的な書き方
産休・育休の事実は、職歴欄の該当する在籍期間の中に、時系列に沿って簡潔に記載します。業務内容とは別に、期間を明記して客観的な事実として伝えましょう。
記入例は以下のようになります。
20〇〇年4月~20〇〇年3月 株式会社〇〇メディカル 〇〇薬局
・内科、小児科を中心に1日平均〇〇枚の処方箋応需。
・調剤、監査、服薬指導、薬歴管理業務に従事。
(20〇〇年5月~20〇〇年6月 産前産後休業を取得)
(20〇〇年7月~20〇〇年4月 育児休業を取得)
20〇〇年5月 同社に復職
・同薬局にて、引き続き調剤業務、服薬指導に従事。
・パートタイマーとして週4日、1日6時間勤務。
このように、休業期間と復職後の働き方を明確にすることで、採用担当者はあなたのキャリアの変遷をスムーズに理解できます。
面接で前向きな意欲と両立の準備を伝える
職務経歴書に事実を記載した上で、面接では、育児との両立に向けて準備が整っていることを具体的に説明することが、採用担当者の不安を払拭する鍵となります。
例えば、「子供が保育園に入園し、病児保育の登録も済ませております。また、近隣に住む両親のサポートも得られる体制が整っているため、ご迷惑をおかけすることなく、業務に専念できると考えております」といった説明は、採用担当者に大きな安心感を与えます。
さらに、育児経験を通じて培ったスキルをアピールするのも有効です。「育児を通じて、限られた時間の中で物事を効率的に進めるための時間管理能力が向上しました。この能力は、多忙な調剤業務においても必ず活かせると考えております」というように、休業期間をブランクではなく、自身の成長に繋がった貴重な時間であったと前向きに伝えることで、あなたの人間的な魅力をより一層深めることができます。