薬剤師の転職、他業種経験を職務経歴書で強みに変える書き方
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、これまでのキャリアの中に、現在の専門とは異なる「他業種」での勤務経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。その際に、「専門外の経験は、職務経歴書に書いても評価されないのではないか」「どうアピールすれば良いのか分からない」と、その書き方に悩んでしまうことは少なくありません。しかし、その一見すると異色に見える経験こそ、他の応募者にはない、あなただけのユニークな価値となり得るのです。この記事では、他業種での経験を職務経歴書で効果的にアピールし、あなたの強みに変えるための書き方を詳しく解説します。
他業種の経験が「強み」になる理由
採用担当者は、薬剤師としての専門知識やスキルだけでなく、その「人間性」や、職種を問わず活用できる汎用的な「ビジネススキル」にも注目しています。他業種で培われた経験は、あなたの視野の広さや、多様な環境への適応能力の高さを示す、非常に強力な証拠となります。
例えば、接客業や営業職で培われた高度なコミュニケーション能力は、患者様や多職種の医療スタッフと円滑な関係を築く上で、大きな強みとなります。また、事務職で身につけたPCスキルやデータ管理能力は、薬局の在庫管理や薬歴管理といった業務の効率化に直接貢献できるでしょう。重要なのは、その経験から得たスキルを、薬剤師の仕事にどう活かせるのかを、あなた自身の言葉で明確に結びつけて示すことです。
経験から「ポータブルスキル」を掘り起こす
職務経歴書を作成する前に、まずはご自身の他業種での経験を棚卸しし、「ポータブルスキル(持ち運び可能なスキル)」を掘り起こす作業が重要です。どのような業務に、どのように取り組み、どのような成果を上げてきたのかを具体的に振り返ってみましょう。
例えば、飲食店でのアルバイト経験であれば、「お客様の潜在的なニーズを汲み取り、満足度を高めるための提案力」や「混雑時にも冷静に対応し、優先順位をつけて業務をこなす課題解決能力」といったスキルが見つかるかもしれません。これらのスキルは、患者様の不安に寄り添い、多忙な調剤業務を効率的に進める上で、間違いなく活かせる能力です。
職務経歴書への具体的な書き方とアピール術
職務経歴書に他業種の経験を記載する際は、単に業務内容を羅列するのではなく、その経験を通じて得られたスキルが、応募先の業務でどのように貢献できるのかを明確に記述することが、採用担当者の納得感を引き出す鍵となります。
「活かせる経験・知識・スキル」や「自己PR」の欄を活用し、具体的なエピソードを交えながら、あなたの強みをプレゼンテーションしましょう。
【経験別】自己PRの具体的な書き方と例文
営業職の経験をアピールする場合
前職の製薬会社でMRとして5年間、医療機関への情報提供活動に従事いたしました。医師や薬剤師との面談を通じて、相手のニーズを的確に把握し、課題解決に繋がる提案を行うことで、担当エリアの売上目標を3年間連続で達成いたしました。この経験で培った、医療従事者との信頼関係構築能力と課題解決能力は、貴院のチーム医療において、多職種のスタッフと円滑に連携し、患者様にとって最適な薬物治療に貢献する上で必ず活かせると考えております。
事務職の経験をアピールする場合
薬剤師になる以前、一般企業で経理事務として3年間勤務いたしました。月次のデータ集計や資料作成を担当する中で、Excelの関数やマクロを駆使して業務の自動化を進め、作業時間を月間で20%削減することに成功しました。この経験で培った正確なデータ処理能力と業務改善への意識は、貴局における医薬品の在庫管理や、薬歴データの分析・活用において、業務の効率化と質の向上に貢献できるものと確信しております。
経験を価値に変える視点
他業種の経験は、決して薬剤師のキャリアと無関係ではありません。それは、凝り固まった視点ではなく、多様な角度から物事を捉えることができるという、あなただけのユニークな価値です。その経験を通じてあなたが何を学び、どのような強みを得たのかを、自信を持って、そして戦略的に伝えることが、転職成功へと繋がる鍵となります。