薬剤師の転職、職務経歴書の「使い回し」がNGな理由と正しい活用法
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、複数の薬局や企業に応募することは珍しくありません。その過程で、「一度完璧な職務経歴書を作成したのだから、これをコピーして使い回しても良いのではないか」と考えたことはないでしょうか。確かに、応募先ごとに一から書類を作成するのは時間と手間がかかります。しかし、その手間を惜しんで職務経歴書を安易に使い回すことは、採用担当者にすぐに見抜かれてしまい、あなたの入社意欲を疑われる原因となりかねません。この記事では、職務経歴書の使い回しがなぜ避けるべきなのか、その理由と、基本情報を効率的に活用しつつ、応募先ごとに最適化する方法を詳しく解説します。
なぜ職務経歴書の使い回しは避けるべきなのか
採用担当者は、日々数多くの応募書類に目を通しているプロです。そのため、どの企業にも当てはまるような汎用的な内容で書かれた職務経歴書は、すぐに見抜かれてしまいます。使い回された職務経歴書は、「当院への志望度が低いのではないか」「多くの企業に手当たり次第応募しているだけだろう」といったネガティブな印象を与え、あなたの熱意が伝わりません。特に、志望動機や自己PRといった、応募先への思いを伝えるべき項目が他の企業にも通用するような内容であれば、その時点で他の応募者から大きく後れを取ってしまう可能性があります。
最も重要な「自己PR」と「志望動機」の個別最適化
職務経歴書の中でも、特に使い回しが許されないのが「自己PR」や「志望動機」の欄です。採用担当者がこの項目で知りたいのは、「なぜ数ある薬局や病院の中から、自院(自社)を選んでくれたのか」という、その応募先ならではの理由です。応募先の理念や事業の強み、地域での役割などを深く研究し、ご自身のキャリアプランや価値観とどう合致するのかを、あなた自身の言葉で具体的に示す必要があります。「研修制度が充実しているから」といった、どの企業にも当てはまるような理由では、あなたの本気度は伝わりません。一社一社、丁寧に向き合う姿勢が何よりも大切です。
日付の更新忘れは致命的なミスに
職務経歴書を使い回す際によくあるのが、用紙の右上に記載する「提出日」の更新を忘れてしまうという、うっかりミスです。例えば、10月に提出する職務経歴書の日付が8月のままになっていれば、採用担当者は「他の企業に応募して、不採用になった書類をそのまま持ってきたのだろうか」と、間違いなく考えます。このような初歩的なミスは、あなたの注意力や仕事に対する丁寧さに欠けるという印象を与え、選考において致命的なマイナス評価となり得ます。
基本情報は「マスターデータ」として賢く活用する
とはいえ、職歴や保有資格といった、どの応募先に対しても変わることのない基本情報を、毎回一から手入力するのは非効率です。そこでおすすめしたいのが、「使い回し」という考え方ではなく、基本情報を入力した「マスターデータ」としての職務経歴書を一つ作成しておくことです。
パソコンで職務経歴書を作成する際に、このマスターデータを基に、応募する企業ごとにファイルを「別名で保存」します。そして、その都度、提出日を更新し、職務要約や自己PR、活かせる経験・スキルといった項目を、応募先に合わせて丁寧に書き換えていくのです。この方法であれば、効率性と、一社一社に真摯に向き合う姿勢を両立させることができ、常に質の高い応募書類を提出することが可能になります。