薬剤師の転職、職務経歴書で短期離職をどう伝えるか【例文付き】
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、ご自身のキャリアの中に数ヶ月といった短期間で退職した経験があると、「この経歴は職務経歴書にどう書けば良いのだろうか」「採用担当者に悪い印象を与えてしまうのではないか」と、その扱いに深く悩んでしまうことは少なくありません。しかし、短期離職の事実を隠すことはできず、その伝え方一つで、あなたの印象は大きく変わります。この記事では、短期離職の経験を正直に、かつ前向きなステップとして伝えるための、職務経歴書の書き方と面接での説明のポイントを詳しく解説します。
短期離職の経歴は正直に記載するのが大原則
まず最も重要な原則として、たとえごく短期間であっても、雇用契約を結んで在籍した経歴はすべて、職務経歴書に正直に記載するのが社会人としての絶対的なルールです。意図的にこの事実を省略する行為は「経歴詐称」と見なされ、発覚した際には内定取り消しや、入社後であれば懲戒解雇といった、極めて重大な事態を招きかねません。採用担当者は、短期離職の事実そのものよりも、応募者の「誠実さ」を厳しく見ています。患者様の健康と命を預かる医療人として、最も大切な信頼性を自ら損なうことのないよう、すべての経歴を正確に記載しましょう。
採用担当者が短期離職の経歴から知りたいこと
採用担当者が短期離職の経歴に注目するのは、あなたを責めるためではありません。その背景には、「私たちの組織でも、同じようにすぐに辞めてしまうのではないか」という、継続勤務の可能性に対する懸念があります。この懸念を払拭することが、短期離職の経歴を説明する上での最大の目的です。
採用担当者が本当に知りたいのは、離職という過去の事実そのものよりも、そこから何を学び、なぜ次のキャリアを目指そうと考えたのかという、あなたの未来に向けた「学習意欲」と「働く意欲」です。
職務経歴書への具体的な書き方
職務経歴書には、他の経歴と同様に、在籍期間、会社名、事業内容、そして担当した業務内容を客観的な事実として簡潔に記載します。短期間であっても、そこで経験した業務はあなたのキャリアの一部です。退職理由については、詳細を記載する必要はなく、履歴書と同様に「一身上の都合により退職」と記せば問題ありません。
記入例:
勤務期間:20〇〇年4月~20〇〇年9月
会社名:株式会社〇〇ドラッグ
事業内容:ドラッグストアの運営
職務内容:
OTC販売担当として、カウンセリング販売、レジ業務、商品管理に従事。セルフメディケーションの重要性を学びました。
面接で好印象を与える伝え方のポイントと例文
職務経歴書に事実を記載した上で、面接では、短期離職がご自身のキャリアプランを見つめ直すための、前向きな転機であったことを伝えることが重要です。決して、前職への不満や他責的な言葉を口にするのは避けましょう。
キャリアプランの変更を伝える例文
前職のドラッグストアでは、OTC医薬品のカウンセリング販売を通じて、お客様の健康相談に応える中で、より深く個人の治療に関わりたいという思いが強くなりました。この経験を通じて、自身のキャリアの方向性が、地域住民一人ひとりと長期的な関係を築く調剤薬局業務にあると再認識し、新たな挑戦を決意いたしました。短い期間ではございましたが、お客様の多様なニーズを的確に把握するための傾聴力を培うことができたと考えております。
スキルや知識のミスマッチを伝える例文
大学での研究を通じて培った〇〇領域の専門知識を、より深く追求したいと考え前職の病院に入職いたしましたが、配属先ではその機会が限られておりました。自身の専門性を最大限に発揮し、貴院のがん治療チームに貢献したいという思いから、転職を決意いたしました。短い在籍期間ではありましたが、病棟業務の基本的な流れと、多職種連携の重要性を学ぶことができました。
退職理由と志望動機の一貫性が鍵
最も説得力のある伝え方は、「〇〇という経験を通じて△△と考えるようになり退職した(退職理由)→だからこそ、△△を実現できる貴社を志望した(志望動機)」というように、退職理由と志望動機を一本の線で繋げてストーリーにすることです。この一貫性のある話の流れが、あなたの転職がその場しのぎの「逃避」ではなく、明確な目的を持った「挑戦」であることを力強く証明します。