薬剤師の職務経歴書、職歴は全部書くべき?正しい書き方を解説
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、ご自身のスキルや経験を詳細にアピールするための職務経歴書。その作成にあたり、「かなり昔の職歴や、短期間で辞めてしまった経験も、すべて書かなければいけないのだろうか」「全部書くと転職回数が多く見えて、かえって不利になるのではないか」と、その書き方に深く悩んでしまう方も少なくありません。この記事では、職務経歴書における職歴の記載範囲に関する正しい考え方と、あなたのキャリアを効果的に伝えるための書き方のポイントを詳しく解説します。
結論としてすべての職歴を正直に記載するのが大原則
まず、最も重要な原則として、職務経歴書には、これまでの職歴をすべて、時系列に沿って正直に記載するのが絶対的なルールです。たとえ、ごく短期間で辞めてしまった会社や、かなり昔の経歴であっても、意図的に省略したり、記載しなかったりする行為は「経歴詐称」と見なされる可能性があります。採用担当者は、応募者の「誠実さ」を厳しく見ています。患者様の健康と命を預かる医療人として、最も大切な信頼性を自ら損なうことのないよう、すべての経歴を正確に記載しましょう。
なぜ職歴の省略がNGなのか
職歴を正直にすべて記載すべき理由は、主に二つあります。一つ目は、前述の通り「経歴詐称」を避けるためです。入社手続きの際に提出する「雇用保険被保険者証」や「年金手帳」などから、職歴は必ず明らかになります。そこで記載のない経歴が発覚すれば、信頼を失い、内定取り消しや、最悪の場合は懲戒解雇といった深刻な事態を招きかねません。
二つ目は、採用担当者があなたのキャリアの全体像を正確に把握するためです。一見すると、現在の専門性と関係が薄いように思える昔の職歴でも、そこからあなたの適応能力や基礎的なビジネススキル、キャリアの一貫性などを読み取ろうとしています。すべての経歴が、あなたという薬剤師を形作る上で、無駄なものは一つもないのです。
職歴が多くて書ききれない場合の対処法
職歴が非常に多く、すべての経歴を詳細に書くと冗長になってしまう場合は、情報の詳しさに強弱をつけるのが効果的です。基本的には、直近の職歴ほど詳細に、昔の職歴になるほど簡潔にまとめることを意識しましょう。
採用担当者が最も知りたいのは、「あなたが今、何ができるのか」という点です。したがって、直近の職場でどのような業務を行い、どのような実績を上げたのかといった情報は、具体的な数字などを交えて詳しく記述します。一方で、10年以上前など、かなり昔の会社の経歴については、在籍期間、会社名、事業内容、そして配属先と主な職務内容を1〜2行で簡潔に記載する程度で十分です。
アルバイトやパート経験は書くべきか
正社員以外の経歴の扱いについては、薬剤師業務との関連性で判断するのが基本です。調剤補助やドラッグストアでのアルバ-イトなど、薬剤師の業務に関連する経験は、たとえ短期間であってもあなたのスキルや意欲を示す上で有効な情報ですので、積極的に記載しましょう。また、離職期間中のアルバイト経験は、働く意欲を示す上で有効です。一方で、専門性と直接関係のない短期アルバイトなどは、キャリアの一貫性を損なう可能性があるため、無理に記載する必要はありません。
経験を価値に変える前向きな姿勢
転職回数の多さや一見不利に見える経歴も、伝え方次第で「多様な経験」や「高い適応能力」といった強みに変えることができます。職務経歴書では、それぞれの転職がご自身のキャリアプランに基づいた前向きなステップであったことを、一貫したストーリーとして説明することが重要です。すべての経験がご自身のキャリアを形成する一部であると捉え、自信を持って誠実に伝えることが、転職成功への鍵となります。