薬剤師の面接：必ず聞かれる「志望動機」の効果的な答え方

なぜ薬剤師の面接で「志望動機」が重要か？

薬剤師の転職活動において、面接は避けて通れない重要なステップです。様々な質問が想定されますが、その中でも「志望動機を教えてください」という質問は、ほぼ間違いなく聞かれる、面接の核となる質問と言えるでしょう。採用担当者は、この質問を通して、あなたのスキルや経験だけでなく、なぜ数ある薬局や病院、企業の中から「ここ」を選んだのか、その理由と背景にある熱意、そして自社（自院・自局）への理解度を知りたいと考えています。

特に薬剤師は、患者様の健康に関わり、地域医療やチーム医療の一翼を担う専門職です。そのため、単に条件が良いからという理由だけでなく、応募先の理念や方針に共感し、そこでどのように貢献したいと考えているのか、その「想い」の部分が、あなたの薬剤師としての適性や、組織への適合性（マッチング）、そして入職後の定着性を判断する上で、非常に重要な評価ポイントとなるのです。

面接官は志望動機から何を知りたいのか？

面接官が志望動機を尋ねる背景には、いくつかの明確な意図があります。

企業（病院・薬局）への理解度

あなたが応募先について、どれだけ深く調べて理解しているかを見ています。企業理念、事業内容、特徴、地域での役割、力を入れている分野などを把握しているかが問われます。

入職への熱意・本気度

「ここで働きたい」という気持ちがどれだけ強いか、その熱意の度合いを確認しています。他の応募先ではなく、なぜここなのか、という明確な理由が求められます。

価値観のマッチング

あなたの仕事に対する価値観や、薬剤師として大切にしていることが、応募先の企業文化や理念と合致しているかを見極めようとしています。

貢献意欲と将来性

あなたのこれまでの経験やスキルが、応募先でどのように活かされ、貢献できると考えているのか、そして入職後にどのように成長していきたいと考えているのか、その具体的なイメージを知ろうとしています。

定着性（長く働いてくれるか）

明確な志望動機を持ち、企業とのマッチング度が高い応募者は、入職後の定着率が高いと期待されます。

効果的な志望動機の答え方のポイント

これらの意図を踏まえ、面接官に響く効果的な志望動機を伝えるためには、以下のポイントを押さえて準備を進めましょう。

自己分析と企業研究の徹底

まず、ご自身のこれまでの経験やスキル、強み、そして薬剤師として大切にしている価値観を深く掘り下げます（自己分析）。次に、応募先の薬局や病院、企業のウェブサイト、求人情報、可能であれば関連ニュースなどを詳しく調べ、理念、特徴、事業展開、地域での役割、求める人物像などを徹底的に理解します（企業研究）。

「なぜこの応募先なのか」を明確にする

自己分析と企業研究の結果を結びつけ、「なぜ他の薬局や病院ではなく、この応募先でなければならないのか」という理由を明確にします。応募先ならではの魅力（例：特定の専門分野への注力、地域密情報型の取り組み、研修制度の充実など）と、ご自身の経験や価値観、キャリアプランとの具体的な接点を見つけ出すことが重要です。

自身の経験・スキルとの関連性を示す

単に「理念に共感しました」と述べるだけでなく、ご自身のこれまでの経験やスキルが、応募先でどのように活かせると考えているのかを具体的に説明しましょう。「これまでの〇〇の経験で培った△△のスキルは、貴院（御社）が力を入れている□□の分野で貢献できると考えております」といった形で、具体的な貢献イメージを示すことが説得力を高めます。

入職後の意欲と将来像を示す

志望動機の中で、入職後にどのように活躍したいか、どのように成長していきたいか、といった前向きな意欲や将来像を示すことも効果的です。ただし、自己中心的なキャリアプランではなく、あくまで応募先の組織の中で、どのように貢献していきたいかという視点で語ることが大切です。

熱意を込めて、自分の言葉で話す

準備した内容は、丸暗記するのではなく、ご自身の言葉で、熱意を込めて話すことが何よりも重要です。背筋を伸ばし、面接官の目を見て、明るくはっきりとした声で話すことを心がけましょう。

薬剤師ならではの志望動機の視点

薬剤師の場合、以下のような視点を志望動機に盛り込むことも有効です。

• 地域医療への貢献意欲（例：かかりつけ薬剤師としての役割、在宅医療への関与）
• 特定の専門分野への関心（例：がん、糖尿病、感染制御など、応募先が強みを持つ分野）
• チーム医療・多職種連携への貢献意欲（例：病院での経験、地域連携への関心）
• 患者様中心の医療への共感（例：応募先の患者様への取り組みへの共感）
• スキルアップへの意欲（例：応募先の研修制度や資格取得支援への期待）

避けるべきNGな志望動機

一方で、面接で避けるべき志望動機の伝え方もあります。

• 待遇面（給与、休日、福利厚生など）が主な理由となっている。
• どの企業にも当てはまるような抽象的な内容で、具体性がない。
• 企業研究不足が明らかで、応募先の情報を誤解している、あるいは理解が浅い。
• 受け身な姿勢（「学ばせていただきたい」という言葉だけで、貢献意欲が見えない）。
• ネガティブな転職理由が前面に出てしまっている。

志望動機の準備と練習

このように、志望動機は面接の成否を左右する非常に重要な質問であり、しっかりとした準備が不可欠です。自己分析と企業研究を徹底し、伝えたい要点を整理し、論理的な構成で話せるように準備しましょう。具体的なエピソードを盛り込み、1〜2分程度で話せるようにまとめておくと良いでしょう。そして、完成した内容は必ず声に出して練習し、自然な言葉遣いで、熱意が伝わるように話せるようにしておくことが大切です。

志望動機の準備に不安がある方へ

しかし、ご自身の経験を整理し、応募先に響くような説得力のある志望動機を作成し、それを自信を持って話せるように準備するのは、簡単なことではありません。「自分の強みが分からない」「応募先の企業研究が十分にできない」「うまく構成できない」「話すのが苦手で不安」といった悩みを抱える方もいらっしゃるでしょう。

もし、こうした面接での志望動機の伝え方や、自己分析、面接マナー全般に少しでも不安を感じるようであれば、転職の専門家である転職エージェントにご相談いただくのも一つの有効な手段です。転職エージェントでは、薬剤師の転職市場に精通したコンサルタントが、応募先の詳細な情報（企業の文化や求める人物像、過去の面接傾向なども含む）に基づき、あなたの強みを最大限に引き出す志望動機の作り方や、好印象を与える話し方について、客観的な視点から的確なアドバイスを行います。また、模擬面接を通じて、実践的な練習を行い、自信を持って本番に臨むためのサポートを受けることも可能です。万全の準備で、あなたの熱意を最大限に伝えられる面接を実現するために、ぜひ一度ご登録をご検討ください。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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