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薬剤師転職の成否を分ける!「職務経歴書」の書き方完全ガイド

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薬剤師の転職活動において、履歴書と並んで提出を求められるのが「職務経歴書」です。履歴書があなたの基本的なプロフィールを示すものであるのに対し、職務経歴書は、これまでの具体的な業務経験、習得したスキル、そして仕事に対する取り組み方や実績を採用担当者に伝え、自己PRを行うための非常に重要な書類となります。

「どんなことを書けばいいの?」「どう書けば効果的にアピールできる?」「選考を通過する職務経歴書を作りたい!」

この記事では、そんな薬剤師の方々のために、採用担当者の心に響く職務経歴書の基本的な構成から、具体的な書き方のポイント、そして注意点までを詳しく解説していきます。

なぜ薬剤師の転職で職務経歴書が重要なのか?

職務経歴書が転職活動において重要視される理由は、主に以下の4点です。

  1. 「実務能力」を具体的に示すため: 薬剤師免許という資格はもちろん重要ですが、それだけでは「何ができるのか」は分かりません。職務経歴書を通じて、どのような環境で、どのような業務を、どのくらいの期間経験してきたのか、そしてどのようなスキルを身につけているのかを具体的に示す必要があります。
  2. 応募先への「適合性」をアピールするため: あなたのこれまでの経験やスキルが、応募先の薬局、病院、企業が求めている人物像や業務内容にどれだけ合致しているかを伝えるための重要な資料となります。
  3. 効果的な「自己PR」の場となるため: 単なる経歴の羅列ではなく、仕事への取り組み方、工夫した点、達成した成果などを盛り込むことで、あなたの強みや人柄、仕事への熱意をアピールできます。
  4. 面接の「基礎資料」となるため: 面接官は、多くの場合、提出された職務経歴書の内容に基づいて質問を行います。内容をしっかり作り込んでおくことが、面接を有利に進めるための準備にも繋がります。

薬剤師の職務経歴書の基本的な構成要素

職務経歴書に決まった形式はありませんが、一般的に以下の要素を含めると、分かりやすくまとまります。

  1. 日付・氏名: 書類作成日と氏名を右上に記載します。
  2. 職務要約:
    • これまでの職務経歴全体の概要を200~300字程度で簡潔にまとめます。
    • 経験年数、経験した業態(調剤薬局、病院、ドラッグストア、企業など)、主な業務内容、得意分野や強みなどを盛り込みます。
    • 採用担当者が最初に目を通す部分であり、ここで興味を持ってもらえるかが重要です。
  3. 職務経歴詳細:
    • これまで勤務した企業・医療機関ごとに、以下の情報を記載します。一般的には、時系列に沿って直近のものから遡って書く「編年体式」が分かりやすいでしょう。
      • 勤務先情報: 企業・医療機関名、所在地、事業内容、従業員数、(薬局・病院の場合)処方箋枚数や病床数など。
      • 在籍期間: 〇〇年〇月~〇〇年〇月
      • 雇用形態: 正社員、契約社員、パートなど。
      • 所属部署・役職: 薬剤部、〇〇店、〇〇部 〇〇課、役職(管理薬剤師、主任など)。
      • 具体的な業務内容: 担当した業務を箇条書きなどで具体的に記述します。
        • (例)調剤業務(内服・外用・注射)、処方箋監査、服薬指導(〇〇科中心、1日〇名程度)、薬歴管理(電子薬歴〇〇使用)、DI業務、在庫管理・発注、在宅訪問(月〇件、個人宅/施設)、病棟業務(〇〇病棟担当、カンファレンス参加)、無菌調製(TPN、抗がん剤)、OTCカウンセリング、後輩指導、管理薬剤師業務(医薬品管理、スタッフ管理)など。
      • 実績・成果(可能な範囲で): 具体的な数値を交えて記述すると説得力が増します。
        • (例)「疑義照会により〇〇円/月の薬剤費削減に貢献」「在宅訪問件数を〇件/月から△件/月へ増加」「後輩指導により新人薬剤師の独り立ち期間を〇ヶ月短縮」「〇〇改善提案により調剤過誤件数を〇%削減」など。
      • 工夫した点・意識した点: 業務改善への取り組み、患者さんとのコミュニケーションで心がけたこと、多職種連携での役割などを簡潔に記述します。
  4. 活かせる経験・知識・スキル:
    • これまでの経験を通じて得た専門知識(特定の疾患領域、漢方、無菌調剤技術など)や、PCスキル(使用可能な電子薬歴システム、Word、Excel、PowerPointのレベルなど)、語学力(TOEICスコアなど)、コミュニケーション能力、マネジメントスキルなどを具体的に記載します。
  5. 保有資格・認定:
    • 薬剤師免許(取得年月は必須)
    • 認定薬剤師・専門薬剤師資格(取得年月)
    • その他、業務に関連する資格(登録販売者、ケアマネージャー、TOEICなど)
  6. 自己PR:
    • 職務経歴で伝えた自身の強みや経験を、応募先の求める人物像や仕事内容と結びつけ、「どのように貢献できるか」「どのように活躍したいか」を具体的にアピールします。
    • 仕事に対する熱意や、今後のキャリアプランなども簡潔に述べると良いでしょう。

【書き方のポイント①】採用担当者の心をつかむ基本ルール

魅力的な職務経歴書を作成するための基本的なポイントです。

  • 読みやすさ・分かりやすさを最優先に:
    • A4用紙1~2枚程度に収めるのが一般的です(多くても3枚まで)。
    • 適切な書式を選ぶ: 時系列で記述する「編年体式」が一般的ですが、職種経験が多岐にわたる場合などは、スキルや職務内容ごとにまとめる「キャリア式」も有効です。Web上でテンプレートを探すのも良いでしょう。
    • レイアウトを工夫: 箇条書き、適度な改行、見出し、太字などを効果的に使い、視覚的に分かりやすく整理します。
    • 専門用語は控えめに: 応募先によっては、人事担当者など薬学の専門家ではない人が読む可能性もあります。誰にでも理解できる平易な言葉を選びましょう。
  • 具体性を持たせる: 抽象的な表現は避け、「〇〇を△△した結果、□□となった」のように、具体的な行動や実績、可能であれば数値を盛り込みます。
  • 応募先ごとに最適化する(使い回し厳禁!): これが最も重要です。応募する企業や医療機関の求める人物像、業務内容、理念などを理解した上で、それに合致する自身の経験やスキル、強みを重点的にアピールするように、内容を調整・カスタマイズしましょう。
  • 正確性を期す: 誤字・脱字は絶対にNGです。経歴や在籍期間、資格取得年月なども正確に記載しましょう。提出前に声に出して読んだり、第三者にチェックしてもらったりすることをおすすめします。

【書き方のポイント②】薬剤師ならではの経験を効果的にアピール

薬剤師としての経験を、より魅力的に伝えるためのヒントです。

  • 業務内容は具体的に記述:
    • 調剤薬局: 応需している主な診療科、1日の平均処方箋枚数、在宅医療の実施件数や関与内容、かかりつけ薬剤師としての具体的な取り組み、後輩指導や店舗運営への関与などを具体的に書きます。
    • 病院: 担当していた病棟や診療科、病棟業務での具体的な活動内容(処方提案、TDM実施件数、カンファレンスでの発言内容など)、DI業務での実績、委員会活動での役割、無菌調製(TPN、抗がん剤)の経験などを具体的に示します。
    • ドラッグストア: 調剤業務とOTC販売業務のおおよその割合、得意なOTCカウンセリング分野、健康サポートイベントの企画・実施経験、売上への貢献、店舗運営への関与などを記述します。
    • 企業: 担当したプロジェクト名やその中での役割、研究テーマや成果(学会発表、論文など)、MR/MSとしての営業実績(達成率など)、CRA/CRCとしての担当試験や症例数、薬事申請の経験などを具体的に示します。
  • スキルはエピソードで裏付ける: 「コミュニケーション能力が高い」だけでなく、「患者さんの不安に寄り添い、〇〇のような工夫で説明した結果、服薬アドヒアランスが向上した」のように、具体的なエピソードを交えることで、スキルの説得力が増します。
  • 実績・成果は可能な限り数値化: 「在庫管理を改善した」ではなく、「〇〇システムを導入し、医薬品の不動在庫を前期比△△%削減した」のように、数値を盛り込むことで、客観性とインパクトが高まります。

職務経歴書作成時の注意点

作成にあたっては、以下の点に注意しましょう。

  • 虚偽・誇張は絶対にしない: 経歴や実績を偽ることは、後々必ず発覚し、信頼を失うだけでなく、内定取り消しや解雇の理由にもなり得ます。正直に記述しましょう。
  • 守秘義務の遵守: 前職・現職で知り得た患者さんの個人情報や、企業の機密情報(具体的な売上額、開発中の製品情報など)を記載してはいけません。表現には十分配慮しましょう。
  • ネガティブな表現は避ける: 退職理由などを記載する場合でも、「人間関係が悪かった」「給料が安かった」といった不満をそのまま書くのではなく、「チームワークをより重視する環境で働きたい」「自身のスキルを正当に評価してくれる環境で貢献したい」など、前向きな表現に転換しましょう。
  • 手書きかPC作成か: 指定がない限り、PCでの作成が一般的であり、修正も容易で見やすいためおすすめです。読みやすいフォント(明朝体やゴシック体)を選びましょう。
  • 提出前の最終チェック: 作成し終えたら、必ず印刷して、あるいは画面上で時間を置いてから、誤字脱字、表現の誤り、内容の矛盾などがないか、客観的な視点で何度も確認しましょう。可能であれば、信頼できる第三者(転職エージェントのコンサルタント、友人、先輩など)に読んでもらい、フィードバックをもらうのが最も効果的です。

転職エージェントのサポートを活用しよう

職務経歴書の作成に不安がある場合や、より質の高い書類を目指したい場合は、薬剤師専門の転職エージェントを活用するのがおすすめです。

  • プロによる添削: 多くの採用書類を見てきたコンサルタントが、あなたの経験やスキルを効果的にアピールするための表現方法や構成について、具体的なアドバイスや添削を行ってくれます。
  • 応募先に合わせた最適化: 応募する企業や医療機関が求める人物像に合わせて、どのような点を強調すべきか、といった戦略的なアドバイスをもらえます。
  • 客観的な視点: 自分では気づきにくい強みや、逆にアピールとして弱い部分などを客観的に指摘してもらえます。

まとめ:職務経歴書は、あなたの価値を伝える「プレゼン資料」

薬剤師の転職活動において、職務経歴書は単なる経歴の記録ではありません。それは、あなたのこれまでの努力、培ってきたスキル、そして未来への熱意を採用担当者に伝え、「あなたと一緒に働きたい」と思わせるための重要なプレゼンテーション資料なのです。

基本的な構成を押さえ、読みやすく、具体的に、そして何よりも応募先への熱意が伝わるように、丁寧に作成することを心がけましょう。必要に応じて転職エージェントなどのサポートも活用しながら、自信を持って提出できる職務経歴書を完成させ、希望の転職を実現してください。

ABOUT ME
ライト
ライト
キャリアアドバイザー
人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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