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薬剤師の転職、スムーズな移行のための「手続き」完全ガイド

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薬剤師として新たなキャリアへの扉を開く転職。希望の職場から内定を得て、期待に胸を膨らませる一方で、「退職や入社にあたって、どんな手続きが必要なんだろう?」「書類は何を準備すればいいの?」といった、具体的な「手続き」に関する不安や疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

スムーズな転職を実現するためには、これらの手続きを正確かつ計画的に進めることが非常に重要です。手続きの遅れや不備は、現職や新しい職場に迷惑をかけるだけでなく、あなた自身の社会保険や税金などにも影響を及ぼす可能性があります。

この記事では、薬剤師が転職する際に必要となる主な手続きについて、内定獲得後から新しい職場への入社まで、時系列に沿って分かりやすく解説していきます。

【内定獲得後~退職まで】現在の職場での手続きと準備

内定を得て入社の意思を固めたら、まずは現在の職場を円満に退職するための手続きを進めます。

退職意思の表明と退職日の決定

  1. 直属の上司への報告: まずは、直属の上司に口頭で退職の意思を伝えます。就業規則に定められた退職申し出時期(通常、退職希望日の1~2ヶ月前)を確認し、できるだけ早く、そして丁寧な言葉遣いで伝えましょう。引き止めにあう可能性も考慮し、退職の意思が固いことを誠実に伝えます。
  2. 退職願(または退職届)の提出: 上司との相談の上、正式に退職願(自己都合退職の場合)または退職届を提出します。提出先や書式については、職場の規定に従いましょう。
  3. 退職日の決定: 新しい職場の入社日と、現職の業務引継ぎに必要な期間、有給休暇の消化などを考慮し、上司と相談して最終的な退職日を決定します。

業務の引継ぎ

  • 後任者や同僚が困らないように、担当していた業務の内容、進捗状況、注意点などをまとめた引継ぎ資料を作成し、口頭でも丁寧に説明します。
  • 引継ぎ期間を十分に設け、責任を持って最後まで対応しましょう。
  • 取引先など、関係各所への挨拶も忘れずに行うと、より円満な退職に繋がります。

有給休暇の消化

  • 残っている有給休暇の日数を確認し、上司と相談の上、業務に支障が出ない範囲で計画的に消化しましょう。

返却するもの

退職日までに、以下のものを職場に返却します。

  • 健康保険被保険者証(扶養家族がいる場合はその分も)
  • 社員証、IDカード、名札
  • 会社の名刺
  • 制服や作業着など貸与されていたユニフォーム
  • 会社から貸与されていた物品(PC、スマートフォン、社用車、書籍など)
  • その他、職場の規定で返却が必要なもの

受け取るもの

退職時に、職場から以下の書類を受け取ります。これらは新しい職場での手続きや、自身で行う手続きに必要となるため、必ず確認し、大切に保管しましょう。

  • 離職票(雇用保険被保険者離職票-1、-2): 失業保険(雇用保険の基本手当)を申請する場合に必要です。すぐに次の職場で働く場合は不要なこともありますが、念のため受け取っておくと安心です。
  • 雇用保険被保険者証: 新しい職場で雇用保険に加入する際に提出します。
  • 年金手帳(または基礎年金番号通知書): 会社に預けていた場合に返却されます。新しい職場で厚生年金に加入する際に必要です。
  • 源泉徴収票: その年の1月1日から退職日までの給与所得に関するもので、新しい職場での年末調整や、自身で確定申告を行う場合に必要です。
  • 退職証明書(必要な場合): 新しい職場から提出を求められた場合や、国民健康保険の加入手続きなどで必要になることがあります。事前に必要か確認し、発行を依頼しましょう。

【退職後~入社まで】自身で行う手続き(該当する場合)

次の職場への入社日までに期間が空く場合や、その他状況に応じて、自身で行う手続きがあります。

国民健康保険・国民年金への加入

  • 退職日の翌日から、次の会社の健康保険に加入するまでの間、健康保険の資格がなくなるため、国民健康保険への加入手続きが必要です。お住まいの市区町村役場の窓口で行います。退職時に受け取った健康保険資格喪失証明書などが必要になります。
  • 同様に、厚生年金から外れるため、国民年金への加入手続きも必要です。こちらも市区町村役場の窓口で行います。
  • 任意継続被保険者制度の検討: 退職後も、一定の条件を満たせば、最大2年間、現職の健康保険を継続できる制度です。保険料などを比較し、国民健康保険とどちらが良いか検討しましょう。

失業保険(雇用保険の基本手当)の申請

  • 離職理由や被保険者期間などの条件を満たし、積極的に求職活動を行う意思があれば、失業保険を受給できる可能性があります。手続きは、お住まいの地域を管轄するハローワークで行います。離職票などが必要になります。
  • ただし、再就職が既に決まっている場合は、基本的に失業保険の給付対象外となります。

住民税の支払い方法の変更

  • 住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職後も支払い義務があります。退職する月によって、残りの住民税の支払い方法が変わります。
    • 1月1日~5月31日に退職する場合: 最後の給与から5月分までの住民税が一括で天引きされることが多いです。
    • 6月1日~12月31日に退職する場合: 翌年5月分までの住民税を、普通徴収(自分で納付書を使って支払う)に切り替えるか、最後の給与や退職金から一括で天引きしてもらうかを選択できる場合があります。
  • 詳細は、退職する会社の人事・経理担当者や、お住まいの市区町村役場に確認しましょう。

【新しい職場への入社時】提出書類と手続き

新しい職場への入社日または事前に、以下の書類の提出を求められることが一般的です。事前にしっかり準備しておきましょう。

  • 年金手帳(または基礎年金番号通知書)
  • 雇用保険被保険者証
  • 源泉徴収票(前職分)
  • 扶養控除等(異動)申告書
  • 健康保険被扶養者(異動)届(扶養する家族がいる場合)
  • 給与振込先の届出書(銀行口座情報など)
  • 身元保証書(企業によっては求められる場合があります)
  • 卒業証明書のコピー、薬剤師免許証のコピー(企業によっては原本確認の場合も)
  • 健康診断書(入社前健診の結果など、企業から指示があった場合)
  • その他、企業が指定する書類(誓約書、住民票記載事項証明書など)

入社当日には、雇用契約書の締結、就業規則の説明、その他社内ルールのオリエンテーションなどが行われるのが一般的です。社会保険や雇用保険への加入手続きは、通常、新しい会社側が行ってくれます。

薬剤師免許に関する手続きは必要?

薬剤師の転職に伴い、薬剤師免許に関して特別な手続きが必要になるケースは限定的です。

  • 勤務先の変更だけでは、薬剤師名簿の登録事項変更届は「不要」です。

ただし、以下のような変更があった場合は、変更が生じた日から30日以内に、厚生労働省(実際には住所地の保健所を経由して申請することが多い)に「薬剤師名簿登録事項変更届」を提出する必要があります。

  • 氏名が変わった場合(例:結婚による姓の変更など)
  • 本籍地(都道府県)が変わった場合
  • 性別が変わった場合

これらの変更があった場合は、忘れずに手続きを行いましょう。

スムーズな手続きのための一般的な注意点

一連の手続きを円滑に進めるために、以下の点に注意しましょう。

  • 就業規則を事前に確認: 退職に関する規定(退職申し出の期限、手続き方法など)は、必ず事前に現職の就業規則で確認しておきましょう。
  • 書類の準備と管理は早めに、大切に: 必要な書類は、不備がないように早めに準備し、紛失しないように大切に保管しましょう。重要な書類はコピーを取っておくと安心です。
  • 期限の確認と遵守: 各手続きには提出期限や申請期限が設けられています。遅れると不利益を被る場合もあるため、期限は必ず守りましょう。
  • 関係各所への連絡・確認を怠らない: 不明な点や疑問点は、現職の人事担当者、新しい職場の人事担当者、お住まいの市区町村役場、ハローワークなどに、遠慮せずに早めに確認することが重要です。
  • 円満退職を心がける: 立つ鳥跡を濁さず。たとえ不満があって辞める場合でも、最後まで責任を持って業務に取り組み、丁寧な引継ぎを行うことが、社会人としてのマナーであり、業界内でのあなたの評判を守ることにも繋がります。

まとめ:計画的な手続きで、気持ちよく新たなスタートを!

薬剤師の転職に伴う手続きは、退職関連、自身で行う手続き、そして新しい職場への入社手続きと多岐にわたります。一見複雑に感じるかもしれませんが、事前に流れを把握し、必要な書類をリストアップし、計画的に準備を進めることで、スムーズに完了させることができます。

特に、退職時の書類の受け取りと、入社時の書類の提出は、その後の社会保険や税金の手続きに大きく影響するため、漏れや不備がないように細心の注意を払いましょう。

円満な退職と、しっかりとした入社準備は、新しい職場でのスタートを気持ちよく切るための大切なステップです。この記事を参考に、滞りなく手続きを進め、あなたの新たなキャリアを晴れやかに始められることを願っています。

ABOUT ME
ライト
ライト
キャリアアドバイザー
人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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