2025.06.02

ドラッグストア薬剤師の仕事内容とは？調剤からOTC販売、健康相談まで役割を解説

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私たちの生活に身近なドラッグストア。医薬品だけでなく、化粧品や日用品、食品まで幅広い商品が揃い、多くの人が日常的に利用しています。近年、調剤薬局を併設するドラッグストアが増え、薬剤師が活躍する場としても注目されています。「ドラッグストアの薬剤師って、薬局の薬剤師とどんな仕事の違いがあるの？」「調剤以外にも色々やることがあるのかな？」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。この記事では、ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容を中心に、その役割、1日の流れ、求められるスキル、そして働く魅力やキャリアについて詳しく解説していきます。

Contents

ドラッグストアにおける薬剤師の役割と重要性
ドラッグストア薬剤師の主な仕事内容
ドラッグストア薬剤師の1日の流れ（調剤併設型店舗の例）
ドラッグストアで働く薬剤師に求められるスキルと資質
ドラッグストアで薬剤師として働く魅力とやりがい
ドラッグストアで働く薬剤師の大変さ・注意点
ドラッグストア薬剤師のキャリアパスと給与の傾向
まとめ

ドラッグストアにおける薬剤師の役割と重要性

ドラッグストアは、地域住民にとって最も身近なヘルスケアの拠点の一つです。薬剤師は、その専門知識を活かして、以下のような重要な役割を担っています。

セルフメディケーション支援の推進: 処方箋なしで購入できる一般用医薬品（OTC医薬品）の適切な選択をサポートし、地域住民が自らの健康を管理し、軽微な不調に対処する「セルフメディケーション」を推進します。
医薬品アクセスの向上: 処方箋医薬品の調剤機能（調剤併設型店舗の場合）と、OTC医薬品の販売機能の両方を提供することで、地域住民の医薬品へのアクセスを向上させます。
身近な健康相談窓口: 薬に関する相談だけでなく、健康食品、サプリメント、介護用品、あるいは一般的な健康上の悩みなど、幅広い相談に応じ、地域住民の健康不安を解消する窓口となります。
「かかりつけ薬剤師・薬局」機能の担い手: 地域に密着し、患者さんやお客様の健康状態や生活習慣を継続的に把握することで、「かかりつけ薬剤師・薬局」として、よりパーソナルな健康サポートを提供します。
予防医療・未病への貢献: 健康診断の推奨、禁煙サポート、生活習慣病予防に関するアドバイスなどを通じて、病気になる前の「予防」や、本格的な病気に進行する前の「未病」の段階からの健康づくりに貢献します。

ドラッグストア薬剤師の主な仕事内容

ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容は、調剤業務に加えて、OTC医薬品の販売や健康相談、そして店舗運営に関わる業務など、非常に多岐にわたります。

調剤業務（調剤併設型店舗の場合）

多くのドラッグストアでは、調剤薬局が併設されており、薬剤師はここで処方箋に基づく調剤業務を行います。

処方箋受付・内容確認・疑義照会: 患者さんから処方箋を受け付け、記載内容（薬剤名、用法・用量、相互作用、重複投与、アレルギー歴など）を薬学的観点から厳密にチェックします。必要に応じて、処方元の医師に問い合わせ（疑義照会）を行います。
医薬品の調剤・監査: 処方箋に基づいて、正確かつ迅速に医薬品を調製します。散剤、水剤、軟膏剤の混合や一包化なども行います。調剤された薬剤は、別の薬剤師が再度確認する「監査」を徹底し、安全性を確保します。
薬歴管理（電子薬歴）: 患者さん一人ひとりのアレルギー歴、副作用歴、既往歴、併用薬、生活習慣などの情報を電子薬歴システムに入力・管理し、継続的かつ最適な薬学的管理に役立てます。
服薬指導・カウンセリング: 患者さんに対して、処方された薬の名前、効果、副作用、正しい服用方法、保管方法、飲み合わせの注意点などを、分かりやすい言葉で丁寧に説明します。患者さんの不安や疑問に耳を傾け、安心して薬物治療に取り組めるようサポートします。

OTC医薬品（一般用医薬品）のカウンセリング販売

ドラッグストアの大きな特徴の一つが、OTC医薬品の販売です。薬剤師は、専門家として適切な情報提供とアドバイスを行います。

来店客の症状やニーズの聞き取り: 風邪、頭痛、胃腸の不調、皮膚トラブルといった症状や、健康維持・増進に関するニーズなどを、来店客から丁寧に聞き取ります。
適切なOTC医薬品等の提案・販売: 収集した情報と薬学的知識に基づいて、最も適切と考えられるOTC医薬品や衛生用品、健康食品、サプリメントなどを選択し、その効果や使い方、注意点などを説明した上で販売します。
受診勧奨の判断: 症状が重い場合や、OTC医薬品での対応が難しいと判断した場合には、医療機関への受診を適切に勧めることも重要な役割です。

健康相談・ヘルスケアアドバイス

薬に関する相談だけでなく、より幅広い健康に関する相談に対応します。

食事、栄養、運動、睡眠、禁煙、介護、生活習慣病予防、認知症予防など、地域住民の様々な健康上の悩みや疑問に対し、専門的な知識に基づいてアドバイスを行います。
店舗によっては、血圧計や体組成計、あるいは簡易的な検体測定機器（血糖値や脂質など）を設置し、その測定結果に基づいた健康アドバイスや生活指導を行うこともあります。
店舗に管理栄養士が在籍している場合は、薬剤師と管理栄養士が連携し、薬物療法と食事・栄養指導の両面から、より包括的な健康サポートを提供します。

在宅医療への取り組み（一部店舗・企業）

近年、ドラッグストアでも在宅医療に積極的に取り組む企業が増えています。

通院が困難な患者さんの自宅や入居先の高齢者施設などを訪問し、医師や看護師、ケアマネジャーなど多職種と連携しながら、医薬品の管理、服薬指導、残薬調整、副作用モニタリングといった、包括的な薬学的ケアを提供します。

店舗運営業務

薬剤師も、店舗運営に関わる様々な業務を分担します。

医薬品（処方箋薬、OTC薬）の在庫管理・発注業務: 適切な在庫量の維持、品質管理（温度管理、使用期限管理など）、医薬品卸やメーカーへの発注、納品された医薬品の検品・棚入れなど。
売場づくり・販促活動: OTC医薬品や健康食品などの陳列方法の工夫、季節商品や推奨品の販促用POPの作成、キャンペーンの企画・実施など、魅力的な売場づくりと販売促進活動に関わります。
レジ業務・品出し・清掃: 店舗の状況や人員体制によっては、レジ業務の補助や、商品の品出し、店内の清掃といった業務も行います。
スタッフの教育・指導（薬局長、管理薬剤師など役職者の場合）: 後輩薬剤師や調剤事務スタッフ、登録販売者、一般の店舗スタッフに対し、医薬品の知識や接客スキル、店舗運営に関する教育・指導を行います。
売上管理・店舗運営全般（役職者の場合）: 薬局部門および店舗全体の売上・利益管理、業務効率の改善、地域医療機関連携の推進、顧客満足度向上施策の企画・実行など、店舗運営に関するより広範な責任を担います。

ドラッグストア薬剤師の1日の流れ（調剤併設型店舗の例）

ドラッグストア薬剤師の1日は、店舗の規模や営業時間、調剤室の体制、そしてその日の来店客数や処方箋枚数などによって大きく変動します。ここでは、一般的な調剤併設型ドラッグストアで働く薬剤師の1日を例としてご紹介します。

午前（開店準備～午前業務）:
- 開店準備: 調剤室内の清掃、調剤機器（分包機、監査システムなど）の起動・点検、医薬品の在庫確認、前日からの引き継ぎ事項の確認。ドラッグストア全体の開店準備（レジ準備、OTC医薬品の売場チェック、朝礼での情報共有など）にも参加。
- 処方箋応需・服薬指導: 近隣の医療機関からの処方箋を持った患者さんが来店。処方箋の受付、内容確認、調剤、監査、服薬指導、薬歴記入といった一連の業務を、他の薬剤師や調剤事務と連携しながら行う。
- OTCカウンセリング・健康相談: 調剤業務の合間や、来店客からの相談に応じて、OTC医薬品や健康食品のカウンセリング販売、健康に関するアドバイス。
- 品出し・売場メンテナンス: 必要に応じて、OTC医薬品や関連商品の品出し、陳列整理。
- 電話応対: 患者さんや医療機関からの問い合わせ対応。
昼休憩: スタッフ間で交代で休憩。
午後（午後業務～夕方）:
- 処方箋応需・服薬指導: 引き続き、処方箋の対応。午後は、午前中に受診した患者さんや、学校・仕事帰りの来店客が増えることも。
- OTCカウンセリング・健康相談: 来店客からの様々な相談に、管理栄養士とも連携しながら対応。
- 商品発注・在庫管理: 不足している調剤用医薬品やOTC医薬品、その他関連商品を卸売業者やメーカーに発注。納品された商品の検品。
- 売場づくり・販促活動: 新商品や季節商品のPOP作成、推奨品の陳列方法の工夫など。
夕方～閉店業務:
- 調剤室の片付け・翌日の準備: 調剤器具の清掃、翌日の調剤準備（予製など）。
- OTC売場の整理整頓: 商品の補充や陳列の整理。
- レジ締め・日報作成: （主に薬局長や管理者の業務）その日の売上を確認し、日報を作成。
- 清掃・施錠: 店内や調剤室の清掃を行い、閉店・施錠して業務終了。

※ドラッグストアは土日祝日も営業し、夜遅くまで、あるいは24時間営業している店舗もあるため、薬剤師もシフト制による勤務が一般的です。

ドラッグストアで働く薬剤師に求められるスキルと資質

ドラッグストアで薬剤師として活躍し、地域住民のトータルヘルスケアに貢献するためには、薬学的な専門知識や調剤技術はもちろんのこと、以下のような幅広いスキルや資質が求められます。

処方箋医薬品とOTC医薬品の両方に関する幅広い薬学的知識: 多種多様な医薬品の効果、副作用、相互作用、そして健康食品やサプリメントに関する正確な知識。
卓越したコミュニケーション能力: 様々な年齢層や健康状態の患者さん・来店客に対し、そのニーズや不安を的確に聞き取り、専門的な内容を分かりやすく、かつ共感を持って伝える力。また、店舗内の他部門スタッフや、近隣の医療機関のスタッフと円滑に連携するためのコミュニケーション能力。
高いカウンセリングスキル・ヒアリング能力・提案力: お客様の言葉の背景にある本当のニーズをくみ取り、最適な商品や情報を提供し、納得して購入・実践してもらうためのスキル。
幅広い商品知識: 医薬品だけでなく、健康食品、サプリメント、化粧品、日用品、介護用品など、ドラッグストアで取り扱う多岐にわたる商品に関する知識。
店舗運営に関する基礎知識（特に役職者）: 在庫管理、販売促進、売場づくり、スタッフマネジメント、売上管理といった、店舗運営に必要な基本的な知識とスキル。
変化への対応力と旺盛な学習意欲: 新しい医薬品やOTC医薬品、健康情報、そして医療制度や関連法規は常に変化しています。これらの新しい情報を積極的に学び続け、日々の業務に活かしていく意欲。
チームワークを重視する姿勢と協調性: 薬剤師同士はもちろん、調剤事務スタッフ、登録販売者、ビューティアドバイザー、一般の店舗スタッフといった、店舗内の様々な職種のスタッフと協力し、チームとして店舗全体でお客様に最高のサービスを提供しようとする協調性。

ドラッグストアで薬剤師として働く魅力とやりがい

ドラッグストアで薬剤師として働くことには、多くの魅力と大きなやりがいがあります。

地域住民の健康を「治療」と「予防・セルフメディケーション」の両面から幅広くサポート: 処方箋調剤による病気の治療への貢献だけでなく、OTC医薬品や健康食品によるセルフメディケーション支援、そして健康相談を通じた生活習慣病予防や健康増進への関与など、地域住民の健康をトータルで、かつ最も身近な場所からサポートできます。
多様な商品知識とトータルヘルスケアアドバイザーとしての成長: 医薬品に限らず、健康食品、サプリメント、化粧品、日用品、介護用品といった幅広い商品知識が身につき、お客様の多様なニーズに応えられる「健康と美のトータルアドバイザー」として成長できます。
来店客との直接的なコミュニケーションと感謝の実感: 日々多くの来店客と直接コミュニケーションを取り、その悩みや相談に乗り、適切なアドバイスや商品を提供することで、直接「ありがとう」という感謝の言葉をいただく機会が多く、仕事の成果を実感しやすいです。
多様なキャリアパスの可能性: 店舗での薬剤師業務や薬局長・店長といったマネジメント経験を積んだ後、複数の店舗を統括するエリアマネージャーや、本部スタッフ（商品開発、バイヤー、教育研修、人事、店舗開発など）といった、より専門的あるいは経営に近いキャリアへとステップアップできる道が多様に用意されています。
比較的高い給与水準の可能性: 一般的に、調剤薬局専門の薬剤師や病院薬剤師と比較して、ドラッグストア薬剤師の給与水準は高い傾向にあると言われています。これは、業務範囲の広さや、OTC販売など店舗全体の収益への貢献度が評価されるためと考えられます。
常に新しい商品やサービスに触れられる刺激: 新しいOTC医薬品や健康食品、話題の化粧品などが次々と導入されるため、常に新しい情報に触れ、市場のトレンドを肌で感じながら働くことができます。

ドラッグストアで働く薬剤師の大変さ・注意点

魅力的な側面が多い一方で、ドラッグストアで働く際には以下のような大変さや注意点も理解しておく必要があります。

業務範囲の広さと覚えることの多さ: 調剤業務に加え、OTC医薬品、健康食品、サプリメント、化粧品、日用品など、非常に幅広い商品知識が求められ、常に新しい情報を学び続ける必要があります。
マルチタスク能力の要求: 調剤業務を行いながらOTCの接客をしたり、品出しをしながら健康相談に応じたりと、複数の業務を並行して効率的にこなすためのマルチタスク能力が求められます。
勤務時間の不規則性と土日祝勤務: 多くのドラッグストアは土日祝日も営業し、また営業時間が長いため、薬剤師もシフト制による勤務となり、週末や夜間の勤務が発生することが一般的です。
薬剤師業務以外の作業への関与: 店舗の状況や人員体制によっては、レジ業務の補助、商品の品出し、棚卸し、店内の清掃といった、直接的な薬剤師業務以外の作業を依頼されることがあります。
接客業としての側面とクレーム対応: 医薬品の専門家であると同時に、小売業のサービススタッフとして、様々なお客様への丁寧な接客対応が求められます。時には、商品やサービスに対するクレーム対応が必要になることもあります。
薬剤師の配置人数と業務負担: 店舗によっては、薬剤師の配置人数が限られており、一人あたりの業務負担が大きくなる場合があります。特に繁忙時や急な欠員発生時には、大きな負荷がかかることもあります。

ドラッグストア薬剤師のキャリアパスと給与の傾向

ドラッグストアで働く薬剤師のキャリアパスは多様であり、個人の意欲と能力次第で大きく広がります。

キャリアパスの例:
- 店舗でのキャリアアップ: 一般薬剤師として経験を積み、調剤部門の責任者である薬局長、店舗全体の責任者である店長へとステップアップ。さらに、複数の店舗を統括し、エリア全体の業績管理や人材育成を担うエリアマネージャー（ブロック長、スーパーバイザーなど呼称は企業による）を目指す。
- 本部スタッフへの道: 店舗での薬剤師業務やマネジメント経験を活かして、本部で商品開発（PB商品など）、バイヤー（仕入れ担当）、マーチャンダイジング、店舗開発、教育研修担当、採用担当、人事・労務、経営企画といった専門職として活躍する。
- 専門性の追求: 在宅医療、漢方、スポーツファーマシスト、美容カウンセリングといった特定の分野の専門性を深め、認定資格を取得し、その分野のスペシャリストとして活躍する（企業による支援制度の有無を確認）。
- 独立支援制度の活用: 一部のドラッグストアチェーンでは、フランチャイズ制度や独立支援制度を設けており、将来的に自身の店舗を持つことを目指せる場合もあります。
給与の一般的な傾向:
- ドラッグストア薬剤師の給与は、一般的に、調剤薬局専門の薬剤師や病院薬剤師と比較して、初任給や平均年収が高い傾向にあります。
- これは、業務範囲の広さ、OTC販売などによる店舗収益への貢献度、そして土日祝勤務や長時間営業といった勤務形態などが反映されていると考えられます。
- 薬局長や店長、エリアマネージャーといった役職に就くことで、役職手当や業績に応じたインセンティブなどが加わり、大幅な給与アップが期待できます。
- 給与額は、勤務する企業の規模や地域、個人の経験年数、役職、実績（特にOTC販売実績などが評価される場合）によって大きく変動します。

まとめ

ドラッグストアで働く薬剤師は、処方箋に基づく調剤業務や服薬指導といった従来の薬剤師業務に加え、OTC医薬品のカウンセリング販売、健康相談、在宅医療への参画、そして時には店舗運営業務まで、非常に多岐にわたる業務を通じて、地域住民の健康を「治療」と「予防・セルフメディケーション」の両面からトータルで支える、まさに「地域のヘルスケアステーション」の中核を担う、やりがいと将来性のある仕事です。

幅広い商品知識と高いコミュニケーション能力、そして変化への対応力が求められますが、それ以上に、多様なキャリアパスと、一般的に他の薬剤師の職場と比較して高い給与水準も魅力と言えるでしょう。この記事が、ドラッグストアで働く薬剤師の仕事内容についての理解を深め、ご自身のキャリアを考える上での一助となれば幸いです。