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薬剤師の新たな働き方?アマゾンの動向とオンライン薬局の給料・将来性

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「アマゾン薬局」という言葉を耳にし、薬剤師の新しい働き方や給与体系に関心を持つ方がいらっしゃるかもしれません。世界的なEコマース企業であるアマゾンが医薬品分野にどのように関わっているのか、そしてそれが日本の薬剤師のキャリアや給与にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。

この記事では、現時点におけるアマゾンの医薬品関連事業の動向と、広がりを見せるオンライン薬局全般における薬剤師の役割、給与、そして将来性について解説します。

「アマゾン薬局」の現状と日本における医薬品販売

まず押さえておきたいのは、海外での動きと日本国内の状況の違いです。アメリカなど一部の国では、アマゾンが「Amazon Pharmacy」という名称で処方薬のオンライン販売や宅配サービスを展開しています。これにより、患者さんはオンラインで処方箋を送り、薬を自宅で受け取ることが可能になっています。

一方、現在の日本国内においては、アマゾンが「アマゾン薬局」として直接的に調剤薬局を運営し、処方薬を全面的に取り扱っているわけではありません。アマゾンジャパンのウェブサイトでは、一般用医薬品(OTC医薬品)や衛生用品などが販売されていますが、処方箋医薬品の調剤・販売は、日本の薬機法のもとで厳格に規制されており、認可を受けた薬局・薬剤師が行う必要があります。

しかし、日本でもオンライン診療やオンライン服薬指導が段階的に解禁・推進されており、医薬品のデリバリーサービスも広がりつつあります。今後、アマゾンのようなプラットフォームを持つ企業が、既存の薬局と提携したり、新たな形で医薬品の流通に関与したりする可能性は否定できません。現時点では具体的な動きは限定的ですが、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中で、薬剤師の働き方も変化していくことが予想されます。

オンライン薬局・在宅医療における薬剤師の役割と給与の傾向

「アマゾン薬局」というキーワードに関心が集まる背景には、オンライン服薬指導や医薬品の宅配といった、より利便性の高い医療サービスへの期待があると考えられます。こうしたニーズに応えるのが、いわゆる「オンライン薬局」や、在宅医療に積極的に取り組む薬局です。

オンライン薬局で働く薬剤師の主な業務内容としては、以下のようなものが挙げられます。

  • オンライン服薬指導: ビデオ通話などを活用し、患者さんに薬の飲み方や注意点を説明します。
  • 処方箋の応需・調剤: 電子処方箋の受付や、提携する実店舗型薬局での調剤業務(またはその指示・管理)に関わります。
  • 問い合わせ対応: 患者さんからの薬に関する質問や相談に、電話やチャットで対応します。
  • 医薬品の配送管理: 調剤された医薬品を患者さんの元へ届けるための手配や管理を行います(配送自体は外部委託の場合もあります)。
  • 在宅医療との連携: 地域の医師や訪問看護師と連携し、在宅療養中の患者さんへの薬学的管理を行います。

給与水準の一般的な傾向については、オンライン薬局という業態が比較的新しいため、企業や薬局の規模、提供するサービスの範囲、地域、そして薬剤師個人のスキルや経験によって大きく異なります。

  • 一般的には、既存の調剤薬局や病院薬剤師の給与水準と大きくかけ離れたものではないと考えられます。
  • ただし、ITスキルやオンラインコミュニケーション能力、新しいシステムへの適応力などが求められるため、そうしたスキルを持つ薬剤師は比較的好条件で迎えられる可能性があります。
  • スタートアップ企業が運営するオンライン薬局などでは、将来性を見込んだ給与設定や、インセンティブ制度(ストックオプションなど)が導入されるケースも考えられますが、まだ一般的とは言えません。
  • 在宅医療を専門的に行う薬局や、特定の専門分野に特化したオンラインサービスを提供する薬局などでは、その専門性に応じた給与体系となるでしょう。

現時点では、「アマゾン薬局だから給料が高い(または安い)」と一概に言える状況ではなく、むしろオンライン薬局という新しい分野全体の動向を見ていく必要があります。

オンライン薬局で働くメリット・デメリット

新しい働き方であるオンライン薬局には、従来の薬局勤務とは異なるメリットとデメリットが存在します。

メリット

  • 新しい医療の形に貢献できる: テクノロジーを活用して、患者さんの利便性向上や医療アクセスの改善に直接関わることができます。
  • ITスキルやコミュニケーション能力の向上: オンラインツールを駆使した服薬指導や情報提供を通じて、新しいスキルを習得・向上させることができます。
  • 柔軟な働き方の可能性: 業務内容によっては、一部リモートワークに近い形で働ける可能性があります(ただし、調剤業務など物理的な対応が必要な部分もあります)。
  • 医療過疎地への貢献: 地理的な制約を受けにくいオンライン服薬指導は、医療資源の少ない地域への貢献にも繋がります。

デメリット

  • 対面でのコミュニケーションの機会減少: 患者さんと直接顔を合わせる機会が減るため、非言語的な情報(表情や様子など)を捉えにくくなる可能性があります。
  • システムトラブルへの対応: オンラインシステムを利用するため、通信障害やシステムエラーなどが発生した場合の対応力が求められます。
  • 制度やガイドラインの変化への対応: オンライン診療や服薬指導に関する制度はまだ発展途上であり、変更に迅速に対応していく必要があります。
  • キャリアパスの不透明性: 新しい分野であるため、従来の薬局のような確立されたキャリアパスがまだ明確でない場合があります。

薬剤師がオンライン領域で給与を上げるには

オンライン薬局や関連分野で薬剤師が自身の市場価値を高め、給与アップを目指すためには、以下のようなスキルや経験が重要になると考えられます。

  • 高度なITリテラシーとオンラインコミュニケーション能力: 様々なオンラインツールを使いこなし、画面越しでも的確かつ温かみのあるコミュニケーションが取れる能力。
  • 在宅医療や特定の専門分野の知識・経験: オンライン診療と親和性の高い疾患領域(例えば、生活習慣病、精神疾患、アレルギー疾患など)や、在宅医療に関する深い知識と実践経験。
  • 新しい技術や制度への迅速な適応力: 日々進化するテクノロジーや変化する薬事制度・診療報酬制度をいち早くキャッチアップし、業務に活かせる柔軟性。
  • 薬局運営・マネジメントスキル: 新しいオンライン薬局の立ち上げや運営、チームマネジメントに関わるスキルは、将来的に高い評価を得る可能性があります。
  • 語学力: 海外の最新情報を収集したり、多言語対応が求められる場面で活躍できたりする語学力も強みになります。

今後の展望と薬剤師のキャリア

テクノロジーの進化は、医療のあり方、そして薬剤師の役割を大きく変えようとしています。AIによる処方監査支援、ウェアラブルデバイスからの健康情報連携、ビッグデータ解析による個別最適化された薬物療法など、未来の薬局像は今とは大きく異なるかもしれません。

オンライン薬局市場は、患者さんの利便性向上や医療の効率化への貢献が期待され、今後も成長していくと考えられます。その中で薬剤師は、単に薬を渡す存在から、テクノロジーを活用して患者さんの健康をトータルにサポートする、より専門性の高い役割を担うことになるでしょう。

「アマゾン薬局」というキーワードは、こうした変化の一つの象徴と捉えることができます。特定の企業名に注目するだけでなく、薬剤師としてどのような新しい価値を提供できるのか、どのようなスキルを磨くべきなのかを考え、主体的にキャリアを形成していくことが重要です。

まとめ

現時点では、日本国内で「アマゾン薬局」が直接的に薬剤師を大規模に雇用しているという状況ではありません。しかし、アマゾンのようなテクノロジー企業が医薬品分野に関心を示していること、そしてオンライン診療やオンライン服薬指導が社会に浸透しつつあることは、薬剤師の働き方やキャリアに新たな選択肢をもたらす可能性があります。

オンライン薬局における薬剤師の給与は、その薬局のビジネスモデルや個人のスキルによって様々ですが、ITスキルや専門性を高め、新しい医療の形に積極的に関与していくことで、収入アップやキャリアアップのチャンスは広がっていくでしょう。変化を恐れず、未来の医療を創造する一員として、薬剤師の可能性を追求していく姿勢が求められています。

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黒岩満(くろいわみつる)
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