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大学病院の薬剤師の給料は?仕事内容や働きがい、キャリアパスを徹底解説

kaitori

高度な医療の提供、医学・薬学研究、そして未来の医療人育成という重要な使命を担う大学病院。薬剤師として、このような先進的かつアカデミックな環境で働くことに魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。「大学病院の薬剤師の給料は実際のところどうなのだろう?」「どのような仕事内容で、どんなキャリアを築けるのだろうか?」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。この記事では、大学病院で働く薬剤師の給料の一般的な特徴や仕事内容、働きがい、キャリアパス、そして知っておきたい注意点などについて詳しく解説します。

大学病院の薬剤師とは

大学病院は、一般の市中病院とは異なり、「臨床(高度医療の提供)」「教育(医学生・薬学生・研修医・レジデントなどの育成)」「研究(新しい治療法や医薬品の開発)」という三つの大きな柱を持つ医療機関です。

このような大学病院で働く薬剤師は、薬物療法の専門家として非常に幅広い役割を担います。

  • 高度な薬物療法の提供: がん、移植医療、再生医療、難病など、専門性の高い疾患に対する複雑な薬物療法に深く関与します。
  • チーム医療への積極的な参加: 医師、看護師、その他の医療スタッフと密接に連携し、ICT(感染制御チーム)、NST(栄養サポートチーム)、緩和ケアチーム、がん化学療法チームなど、様々な医療チームの中心メンバーとして専門性を発揮します。
  • 治験業務への関与: 新しい医薬品や治療法の開発に不可欠な臨床試験(治験)において、治験薬の管理や被験者への説明など、重要な役割を果たします。
  • 教育・指導: 薬学生の実務実習指導や、新人薬剤師、レジデント薬剤師(卒後臨床研修薬剤師)の教育・育成にも携わります。
  • 臨床研究・学術活動: 日々の業務から得られた疑問や知見をもとに臨床研究を行い、学会発表や論文執筆を通じて医療の発展に貢献することも期待されます。

勤務場所は、各大学の医学部附属病院や歯学部附属病院の薬剤部(または薬剤科)となります。

大学病院の薬剤師の給与体系の一般的な特徴

大学病院の薬剤師の給与体系は、その設置主体(国立、公立、私立)によって大きく異なります。

  • 国立大学病院: 国立大学法人の職員給与規程に基づいて定められます。多くの場合、国家公務員の旧給与体系に準拠しているか、法人独自の給与テーブルが設定されており、安定性が高いのが特徴です。
  • 公立大学病院: 都道府県や市などの地方自治体が設立する公立大学法人の職員給与規程に基づきます。地方公務員の給与体系に準じている場合が多く、こちらも比較的安定しています。
  • 私立大学病院: 各学校法人の職員給与規程によって定められます。大学の規模、経営状況、所在地(都市部か地方かなど)によって給与水準に幅があり、施設ごとに特色が見られます。

初任給・昇給・賞与の一般的な傾向:

大学病院の薬剤師の初任給は、同じ地域の一般的な調剤薬局やドラッグストアと比較すると、やや低い場合も見られます。しかし、経験年数に応じた定期的な昇給や、比較的安定した賞与(ボーナス、期末・勤勉手当など)が期待できるのが一般的です。

薬剤師レジデント(卒後臨床研修薬剤師)の給与:

多くの大学病院では、新人薬剤師を対象としたレジデント制度(卒後臨床研修プログラム)を設けています。この期間の給与は、「研修手当」や「研修奨励金」といった名目で、正規職員の初任給よりも低い水準で支給されることが一般的です。

大学病院の薬剤師の給与に影響を与える要因

大学病院の薬剤師の給与は、以下のような様々な要因によって変動します。

  • 経験年数: 薬剤師としての実務経験年数は、給与テーブル上の号俸や基本給に影響し、最も基本的な昇給要素となります。
  • 役職: 主任薬剤師、係長、副薬剤部長、薬剤部長といった管理職に昇進することで、役職手当が加算され、給与は大幅にアップします。
  • 専門薬剤師・認定薬剤師資格: がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師、NST専門療法士、緩和薬物療法認定薬剤師など、専門性の高い資格を保有し、その分野で活動している場合、資格手当が支給されたり、昇進・昇格の評価において有利になったりする可能性があります。
  • 研究活動や教育活動への貢献度: 学会発表、論文執筆、科研費獲得といった研究実績や、薬学生・レジデントへの教育指導への貢献度が、評価や手当に反映されることがあります。
  • 各種手当:
    • 時間外勤務手当、夜間業務手当、休日勤務手当、宿日直手当: 急性期医療を担う大学病院では、これらの手当が総支給額に影響を与えることがあります。
    • 福利厚生関連手当: 住居手当、通勤手当、扶養手当などは、各大学法人や学校法人の規定に基づいて支給されます。国公立の施設では比較的充実している傾向にあります。
  • 地域: 勤務する大学病院の所在地によって、地域手当の有無や額が異なり、給与水準に影響します。

大学病院の薬剤師の具体的な仕事内容の例

大学病院の薬剤師は、幅広い業務を通じて高度な薬物療法を支えています。

  • 調剤業務: 入院患者さんや外来患者さんに対する内服薬・外用薬の調剤、注射薬の個人別セットなど。
  • 注射薬混合調製: 高カロリー輸液(TPN)や抗がん剤など、無菌的な環境下での注射薬の混合調製。
  • 病棟薬剤業務: 各病棟に常駐または担当し、患者さんのベッドサイドでの服薬指導、持参薬の確認・管理、処方内容の薬学的チェック、医師や看護師への処方提案、副作用のモニタリングなど。
  • チーム医療への参加: ICT(感染制御チーム)、NST(栄養サポートチーム)、緩和ケアチーム、褥瘡対策チーム、がん化学療法運営委員会など、様々な医療チームに専門家として参画し、薬物療法の適正化に貢献。
  • DI(医薬品情報)業務: 医薬品に関する最新情報を収集・評価し、院内の医療従事者や患者さんに提供。医薬品に関する問い合わせ対応。
  • TDM(治療薬物モニタリング)業務: 特定の薬剤の血中濃度を測定・解析し、患者さんごとに最適な投与設計を支援。
  • 治験関連業務: 新薬開発のための臨床試験(治験)において、治験薬の管理、調剤、被験者への説明、関連文書の作成など。
  • 教育・指導: 薬学生の実務実習の指導、新人薬剤師やレジデント薬剤師の教育・研修プログラムの企画・実施。
  • 臨床研究・学術活動: 日々の業務から生じたクリニカルクエスチョンをテーマに臨床研究を行い、その成果を学会で発表したり、学術雑誌に論文として投稿したりする。

大学病院で薬剤師として働く魅力(給与面以外も含む)

大学病院で薬剤師として働くことには、給与だけでなく、以下のような多くの魅力があります。

  • 高度医療・先進医療への関与: 最先端の医療技術や新しい治療法に触れる機会が豊富にあり、薬剤師として常に高いレベルの知識とスキルを追求できます。
  • 教育・研究機関としての刺激的な環境: 若い医療人の育成に携われる喜びや、自身も研究活動を通じて医療の発展に貢献できるというアカデミックな魅力があります。
  • 多様なキャリアパス: 臨床のスペシャリスト(専門薬剤師)、管理職、教育者、研究者など、自身の興味や適性に応じて多様なキャリアを築ける可能性があります。
  • チーム医療の中心的役割: 多職種と緊密に連携し、薬剤師としての専門性を最大限に発揮して、患者さんの治療に深く関与できます。
  • 充実した教育・研修制度: 新人研修から専門分野の研修、学会参加支援まで、継続的な学習とスキルアップをサポートする体制が整っていることが多いです。
  • 福利厚生の安定性: 特に国立大学病院や公立大学病院では、共済組合制度や退職金制度など、福利厚生が比較的安定している傾向にあります。

大学病院で薬剤師として働く際の大変さ・注意点

魅力的な側面が多い一方で、大学病院で働く際には以下のような大変さや注意点も理解しておく必要があります。

  • 業務量の多さと多忙さ: 急性期医療や救急医療を担うため、業務量が多く、多忙な日々を送ることが予想されます。時間外勤務や緊急呼び出しが発生することもあります。
  • 常に求められる高度な専門知識・スキル: 日々進歩する医療に対応するため、継続的な学習と自己研鑽が不可欠です。
  • 研究や教育活動への積極的な関与: 臨床業務に加え、研究活動や教育指導への参加を求められることが多く、それらに対する時間的・精神的なコミットメントが必要です。
  • 初任給の水準: 一般的な市中病院や調剤薬局と比較して、初任給がやや低めに設定されている場合があります。長期的なキャリアと昇給を見据える必要があります。
  • 組織体制と人間関係: 大規模な組織であるため、部署間の連携や人間関係に配慮が必要な場面もあるかもしれません。

大学病院の薬剤師として給料を上げるには

大学病院で薬剤師として働きながら収入を上げていくためには、以下のようなキャリア戦略が考えられます。

  • 経験を積み、昇進・昇格を目指す: 日々の業務で実績を上げ、リーダーシップを発揮し、主任、係長、副部長、部長といった管理職への昇進を目指します。
  • 専門薬剤師・認定薬剤師の資格を取得する: がん、感染制御、NST、緩和ケアなど、自身の専門分野を確立し、関連する専門・認定薬剤師の資格を取得することで、資格手当の対象となったり、専門業務での評価が高まったりします。
  • 臨床研究や学会発表で実績を上げる: 質の高い臨床研究を行い、その成果を国内外の学会で発表したり、学術論文として公表したりすることは、専門家としての評価を高め、キャリアアップに繋がります。
  • 教育活動に貢献する: 薬学生や若手薬剤師の指導・育成に積極的に関わり、教育者としての実績を積むことも評価されます。
  • 博士号の取得など学術的なキャリアを追求する: 大学病院は研究機関でもあるため、博士号を取得し、研究者としてのキャリアを深めることで、より専門性の高いポジションや大学教員への道が開ける可能性もあります。

まとめ

大学病院で働く薬剤師の給料は、その設置主体(国立・公立・私立)や個人の経験、役職、専門性、各種手当などによって大きく異なります。初任給は他の職場と比較して必ずしも高いとは限りませんが、高度な医療、教育、研究に携わるという特殊な環境の中で、専門性を磨き、長期的なキャリアを築くことで、収入アップも十分に期待できます。

給料という側面だけでなく、最先端の医療に貢献できるやりがい、アカデミックな環境での自己成長、多様なキャリアパス、そして充実した教育・研修制度といった大学病院ならではの魅力を総合的に考慮し、ご自身のキャリアプランや価値観と照らし合わせて、最適な職場を選ぶことが重要です。大学病院での薬剤師の仕事に関心のある方は、ぜひ各大学病院の公式採用情報を確認し、説明会などに参加してみることをお勧めします。

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