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派遣薬剤師の給料は高い?時給相場や年収、働き方の実態を解説

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薬剤師の働き方の一つとして、近年注目を集めているのが「派遣薬剤師」です。正社員やパート・アルバイトとは異なる雇用形態である派遣薬剤師は、「給料が高い」というイメージを持つ方もいるかもしれません。実際のところ、派遣薬剤師の給料はどのくらいなのでしょうか?この記事では、派遣薬剤師の給料(主に時給)の一般的な相場や年収の目安、給料に影響を与える要因、そして派遣という働き方のメリット・デメリットについて、詳しく解説していきます。

派遣薬剤師とは?働き方の特徴

まず、派遣薬剤師の基本的な働き方について理解しておきましょう。

派遣薬剤師は、派遣会社(人材派遣会社)に登録し、その派遣会社と雇用契約を結びます。そして、派遣会社から紹介された薬局や病院、ドラッグストアなどの「派遣先企業」で、一定期間、薬剤師としての業務を行います。給与は派遣会社から支払われ、業務上の指示は派遣先企業から受けるという点が特徴です。

契約期間は数ヶ月単位の短期から、1年以上の長期にわたるものまで様々です。契約期間が満了すると、同じ派遣先で契約が更新されることもあれば、別の派遣先で働くこともあります。

派遣薬剤師の給料(時給)の一般的な相場

派遣薬剤師の給料は、多くの場合「時給制」で支払われます。その時給相場は、正社員やパート・アルバイトの薬剤師と比較して高い傾向にあると言われています。

一般的に、派遣薬剤師の時給は2,500円~3,500円程度が目安とされています。しかし、勤務地域や業務内容、求められるスキル、経験年数、あるいは繁忙期などの条件によっては、時給4,000円以上、場合によっては5,000円を超えるような高時給の求人が出ることもあります。

派遣薬剤師の時給が高い理由としては、以下のような点が考えられます。

  • 賞与(ボーナス)や退職金がないことの補填: 多くの場合、派遣薬剤師には賞与や退職金の支給がありません。その分が時給に含まれていると考えられます。
  • 即戦力としての期待: 派遣薬剤師は、急な欠員補充や繁忙期のヘルプなど、即戦力としてすぐに業務に対応できるスキルや経験が求められるため、その対価として時給が高く設定されることがあります。
  • 人手不足の解消: 特に薬剤師が不足している地域や、採用が難しい職場では、人材を確保するために高時給で募集をかけることがあります。
  • 柔軟な雇用調整の役割: 企業側にとっては、必要な期間だけ薬剤師を確保できるというメリットがあり、そのためのコストとして時給が高めに設定される側面もあります。

派遣薬剤師の給料(時給)に影響を与える主な要因

派遣薬剤師の時給は、様々な要因によって変動します。主なものを以下に挙げます。

  • 地域: 一般的に、都市部よりも地方、特に薬剤師が不足している地域やへき地などでは、人材確保のために高い時給が提示される傾向があります。また、最低賃金が高い地域では、それに伴い全体の時給水準も高くなることがあります。
  • 業務内容: 調剤業務(処方箋枚数が多い、専門性の高い処方を扱うなど)、OTC医薬品のカウンセリング販売、在宅医療への関与、夜間・休日勤務、一人薬剤師としての勤務など、業務の専門性や負担度、責任の重さによって時給は変わってきます。特に、高度なスキルや専門知識が求められる業務は高時給になる傾向があります。
  • 経験・スキル: これまでの薬剤師としての実務経験年数、特定の診療科(例:精神科、小児科など)での経験、管理薬剤師の経験、認定薬剤師・専門薬剤師の資格保有などは、時給にプラスに影響する可能性があります。
  • 勤務条件: 勤務日数(週5日フルタイムか、週数日のパートタイムかなど)、1日の勤務時間、契約期間(短期か長期か)なども時給に影響を与えることがあります。一般的に、短期間のスポット的な案件や、急募の案件は時給が高めに設定されることがあります。
  • 派遣会社: 登録する派遣会社によって、紹介される案件の種類や時給水準、福利厚生の内容などが異なります。派遣会社のマージン率(派遣先企業から受け取る料金と派遣薬剤師へ支払う給与の差額の割合)も、時給に間接的に影響します。
  • 時期・タイミング: インフルエンザの流行期や年末年始、ゴールデンウィークなどの繁忙期、あるいは薬剤師の産休・育休による代替要員の募集など、特定の時期やタイミングで急募される案件は、通常よりも高い時給が設定されることがあります。

派遣薬剤師の年間給料(年収)はどのくらい?

派遣薬剤師の多くは時給制で働くため、年間給料(年収)は以下の計算式で概算できます。

年収(概算) = 時給 × 1日の勤務時間 × 年間の勤務日数

例えば、時給3,000円で1日8時間、月に20日間(年間240日)勤務した場合の年収は、

3,000円 × 8時間 × 240日 = 576万円

となります。

ただし、この計算はあくまで単純な額面上の計算であり、実際に年収を考える際には以下の点に注意が必要です。

  • 賞与・退職金: 多くの場合、派遣薬剤師には賞与や退職金の支給がありません。そのため、時給が高くても、賞与や退職金が含まれる正社員の年収と比較する際には、その点を考慮する必要があります。
  • 交通費: 交通費が別途支給されるか、時給に含まれているかは派遣会社や案件によって異なります。
  • 社会保険: 一定の条件(勤務時間・日数など)を満たせば、派遣薬剤師も健康保険、厚生年金保険、雇用保険などの社会保険に加入できます。保険料は給与から天引きされます。
  • 税金: 所得税や住民税も、もちろん給与から引かれます。
  • 契約の継続性: 派遣契約は期間が定められているため、契約が満了した後にすぐに次の仕事が見つかるとは限りません。仕事がない期間が発生すると、年収はその分減少します。

これらの要素を考慮すると、高時給であっても、必ずしも正社員よりも生涯年収が高くなるとは限らない点に留意が必要です。

派遣薬剤師として働くメリット(給料面を中心に)

派遣薬剤師として働くことには、給料面を中心にいくつかのメリットがあります。

  • 高時給が期待できる: 前述の通り、一般的に正社員やパート・アルバイトの薬剤師と比較して時給が高い傾向にあります。短期間で効率的に収入を得たいと考える方には魅力的な選択肢となり得ます。
  • サービス残業が少ない傾向: 派遣契約では、勤務時間や業務内容が明確に定められているため、サービス残業が発生しにくいと言われています。時間外労働が発生した場合は、きちんと残業代が支払われるのが一般的です。
  • 給与交渉がしやすい場合も: 自身のスキルや経験に自信がある場合や、条件の良い案件であれば、派遣会社を通じて時給交渉が可能な場合があります。

派遣薬剤師として働く際の注意点・デメリット(給料面を中心に)

一方で、派遣薬剤師として働く際には、給料面を中心に以下のような注意点やデメリットも理解しておく必要があります。

  • 賞与・退職金がない(または少ない)ことが多い: 年収ベースで考えると、賞与や退職金が支給される正社員と比較して、総収入が見劣りする可能性があります。
  • 昇給が期待しにくい: 派遣契約は、契約ごとに時給が設定されるのが基本です。同じ派遣先で長期間働いたとしても、正社員のような定期的な昇給は期待しにくいのが一般的です。時給アップのためには、契約更新時の交渉や、より条件の良い案件への変更が必要になることがあります。
  • 雇用の不安定さ: 派遣契約には契約期間があり、契約が満了すれば必ずしも更新されるとは限りません。また、派遣先の経営状況や方針の変更によって、契約期間の途中で契約が終了するリスクもゼロではありません。収入が途絶える期間が発生する可能性も考慮しておく必要があります。
  • 福利厚生が正社員より手薄な場合も: 社会保険への加入は可能ですが、住宅手当や家族手当、育児支援制度などの福利厚生は、派遣会社の制度に準じるため、派遣先の正社員と同等のものが受けられるとは限りません。
  • キャリア形成の難しさ: 様々な職場で経験を積むことはできますが、一つの職場でじっくりとキャリアを積み上げていくことや、管理職への昇進といったキャリアパスは描きにくい場合があります。

派遣薬剤師で高給料を得るためのポイント

派遣薬剤師として、より高い給料を得るためには、いくつかのポイントがあります。

  • スキルアップと経験の積み重ね: 調剤経験はもちろんのこと、在宅医療、無菌調製、特定の診療科(がん、精神科など)の経験、認定薬剤師・専門薬剤師の資格などは、高時給の案件を獲得するために有利に働きます。
  • 需要の高い地域や業務を選ぶ: 薬剤師が不足している地域や、夜勤・休日勤務、急募の案件、専門性が求められる業務などは、時給が高く設定される傾向にあります。
  • 複数の派遣会社に登録し比較検討する: 派遣会社によって、得意とする案件の種類や時給水準、福利厚生などが異なります。複数の会社に登録し、それぞれの担当者と面談して、自分に合った会社や案件を見つけることが重要です。
  • 交渉力のある派遣会社・担当者を選ぶ: 時給交渉や条件交渉を積極的に行ってくれる派遣会社や担当者を選ぶことも、高給料を得るための一つのポイントです。
  • 自身の希望条件を明確に伝える: どのような業務内容、勤務地、勤務時間、時給を希望するのかを明確に派遣会社に伝えることで、よりマッチした案件を紹介してもらいやすくなります。

まとめ

派遣薬剤師は、正社員やパート・アルバイトと比較して高い時給を得られる可能性がある魅力的な働き方の一つです。柔軟な働き方を選びたい方や、様々な職場で経験を積みたい方、短期間で集中的に収入を得たい方などにとっては、有力な選択肢となるでしょう。

しかし、賞与や退職金の有無、雇用の安定性、キャリア形成といった側面も考慮し、自身のライフスタイルやキャリアプランに本当に合っているのかを慎重に検討することが重要です。メリットとデメリットを十分に理解した上で、派遣という働き方が自分にとって最適かどうかを判断し、後悔のない選択をしてください。

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黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
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