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薬剤師と診療放射線技師、仕事内容・給料・将来性を徹底比較!どちらを目指す?

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医療現場を支える専門職として、薬剤師と診療放射線技師はどちらも重要な役割を担っています。それぞれ異なる分野で専門性を発揮し、患者さんの健康を守るために不可欠な存在です。「薬剤師と診療放射線技師、どちらの仕事に興味があるけれど、具体的な違いがよくわからない」「給料や将来性はどうなのだろう?」といった疑問を持つ方もいるでしょう。この記事では、薬剤師と診療放射線技師という二つの専門職について、仕事内容、給料、資格取得、働きがい、将来性などを多角的に比較しながら詳しく解説していきます。

薬剤師とは?-薬物療法のスペシャリスト

薬剤師は、医薬品全般に関する幅広い知識と技能を持つ「薬の専門家」です。医師の処方箋に基づいて医薬品を調剤するだけでなく、患者さんへの服薬指導、薬歴管理、医薬品の情報提供(DI業務)、副作用のモニタリング、そしてチーム医療への参画など、薬物療法が安全かつ効果的に行われるように多方面からサポートします。

  • 主な仕事内容:
    • 処方箋に基づく調剤、鑑査
    • 患者さんへの服薬指導、相談対応
    • 薬歴管理、副作用モニタリング
    • 医薬品の情報収集・提供(DI業務)
    • 在宅医療における薬剤管理
    • 病院では、注射薬の混合調製、TDM(薬物血中濃度モニタリング)業務、病棟業務、治験関連業務なども行う
  • 主な勤務場所: 調剤薬局、病院、診療所、ドラッグストア(調剤併設店)、製薬会社(研究開発、MR、学術など)、行政機関(保健所など)、教育・研究機関など、活躍の場は多岐にわたります。
  • 薬剤師になるには: 原則として6年制の薬学部を卒業し、薬剤師国家試験に合格する必要があります。

診療放射線技師とは?-画像診断・放射線治療の専門家

診療放射線技師は、医師または歯科医師の指示のもと、放射線を用いた検査や治療を専門的に行う医療技術者です。X線撮影(レントゲン)、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)、超音波検査(エコー)、RI(核医学検査)、放射線治療など、診断と治療に不可欠な画像情報を提供したり、放射線を用いた治療を実施したりします。

  • 主な仕事内容:
    • X線一般撮影、CT検査、MRI検査、血管造影検査、超音波検査、マンモグラフィなどの画像検査の実施と画像処理
    • RI(ラジオアイソトープ)を用いた核医学検査
    • 放射線治療(リニアック照射、密封小線源治療など)の実施
    • 放射線機器の管理、品質管理
    • 放射線被ばくの管理と安全管理
  • 主な勤務場所: 病院、診療所(クリニック)、検診センター、画像診断センターなどが主な勤務先です。医療機器メーカーや研究機関で働く人もいます。
  • 診療放射線技師になるには: 診療放射線技師養成課程のある大学(4年制)、短期大学(3年制)、または専門学校(3年制または4年制)を卒業し、診療放射線技師国家試験に合格する必要があります。

【給料比較】薬剤師と診療放射線技師の年収・月収

薬剤師と診療放射線技師の給料(年収・月収)は、勤務先の種類、規模、地域、経験年数、役職、保有資格などによって大きく異なります。

  • 平均年収・月収の一般的な比較: 厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」などの公的な統計データや、民間の調査会社の情報を総合的に見ると、平均年収では薬剤師の方が診療放射線技師よりもやや高い傾向にある、あるいは同程度から薬剤師が若干上回るという見方が多いようです。
    • 薬剤師の平均年収: おおよそ500万円台後半から600万円程度。
    • 診療放射線技師の平均年収: おおよそ500万円前後から500万円台半ば程度。 ただし、これはあくまで全体の平均値であり、個々の状況によって逆転することも十分にあり得ます。例えば、製薬会社に勤務する薬剤師や、大手ドラッグストアで管理職を務める薬剤師は高い年収を得られる一方、診療放射線技師でも専門性の高いスキル(例:放射線治療専門、マンモグラフィ認定など)を持つ場合や、管理職(技師長など)に就いた場合は、高い給与水準となることがあります。
  • 初任給の傾向: 初任給に関しては、薬剤師(6年制卒)と診療放射線技師(大学卒)で大きな差はないか、場合によっては診療放射線技師の方が若干高いケースもあるようです。これは、病院などでは医療技術職として一律の初任給テーブルが適用されることがあるためと考えられます。
  • 給料に影響を与える要因: 両職種ともに、以下のような要因が給料に影響します。
    • 経験年数とスキル: 経験を積むほど昇給していくのが一般的です。
    • 役職: 管理薬剤師、薬局長、薬剤部長、主任技師、技師長といった役職に就くことで役職手当がつき、給与が上がります。
    • 専門資格・認定資格: 専門薬剤師・認定薬剤師、放射線治療専門放射線技師、検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師などの資格は、手当や評価に繋がることがあります。
    • 勤務先の種類と規模: 大規模病院や大学病院、大手企業などは、中小規模の施設と比較して給与水準が高い傾向にあります。
    • 地域差: 都市部と地方、あるいは専門職が不足している地域では給与水準が異なることがあります。
    • 夜勤・当直・オンコール業務の有無: これらの業務がある場合は、別途手当が支給され、給与総額に影響します。病院勤務の場合、診療放射線技師の方が薬剤師よりも緊急検査などで夜間・休日の呼び出しが多いケースも考えられます。

仕事内容と働き方の違いを比較

薬剤師と診療放射線技師は、患者さんの治療に関わるという点では共通していますが、そのアプローチや働き方には違いがあります。

  • 患者さんとの関わり方:
    • 薬剤師: 患者さんと直接対話し、薬に関する説明や相談に応じることが多く、継続的なコミュニケーションを通じて信頼関係を築くことが重要です。生活背景や心理状態も考慮した関わりが求められます。
    • 診療放射線技師: 主に検査や治療の際に患者さんと接します。検査・治療時間は限られていますが、その間に患者さんの不安を和らげ、正確かつ安全に検査・治療を実施するための高いコミュニケーション能力と技術が求められます。
  • チーム医療における役割: どちらの職種もチーム医療の重要な一員です。薬剤師は薬物療法の専門家として、診療放射線技師は画像診断や放射線治療の専門家として、医師や看護師など他の医療スタッフと連携し、それぞれの専門知識・技術を提供します。
  • 勤務時間・夜勤・当直: 病院勤務の場合、どちらの職種も夜勤や当直、オンコール対応が必要となることがあります。薬剤師は主に夜間の緊急調剤や問い合わせ対応、診療放射線技師は夜間の緊急検査(CT、MRIなど)や救急外来での撮影などが考えられます。施設の規模や体制によって頻度は異なります。
  • 求められる専門知識の分野:
    • 薬剤師: 薬理学、薬剤学、病態・薬物治療学、医薬品情報学、衛生薬学、薬事関係法規など、薬に関する広範な知識。
    • 診療放射線技師: 放射線物理学、放射線計測学、画像工学、解剖学、放射線治療技術学、放射線安全管理学、医療情報学など、放射線と画像に関する専門知識・技術。
  • キャリアパスの多様性:
    • 薬剤師: 調剤薬局の管理薬剤師・薬局長、病院の薬剤科長・薬剤部長、専門薬剤師・認定薬剤師、製薬会社の研究開発・MR・学術、行政機関の公務員、大学教員、独立開業など、比較的幅広いキャリアパスがあります。
    • 診療放射線技師: 主任技師・技師長といった病院内での管理職、特定の検査・治療分野のスペシャリスト(例:マンモグラフィ、血管造影、放射線治療など)、医療機器メーカーのアプリケーションスペシャリスト、教育・研究機関の教員などが考えられます。

やりがいと大変さを比較

それぞれの仕事には、特有のやりがいと大変さがあります。

薬剤師のやりがい・大変さ

  • やりがい:
    • 薬を通じて患者さんの病気の治療や症状の緩和に直接貢献できる。
    • 患者さんやその家族から直接感謝される機会が多い。
    • 専門知識を活かし、医師に処方提案を行うなど、主体的に医療に関われる。
    • チーム医療の一員として多職種と連携し、患者さんをサポートできる。
  • 大変さ:
    • 医薬品の取り扱いには常に高い精度と集中力が求められ、ミスが許されない責任の重さがある。
    • 日々進歩する医薬品情報や治療法について、常に学び続ける必要がある。
    • 患者さんや他の医療スタッフとのコミュニケーションがうまくいかない場合のストレス。
    • 職場によっては、人員不足による業務量の多さや残業。

診療放射線技師のやりがい・大変さ

  • やりがい:
    • 最新の医療機器を駆使し、病気の早期発見や正確な診断に不可欠な画像情報を提供できる。
    • 放射線治療を通じて、がんなどの疾患治療に直接貢献できる。
    • 医療技術の進歩を間近で感じながら、自身のスキルアップを追求できる。
    • チーム医療において、画像診断や治療計画の専門家として重要な役割を担える。
  • 大変さ:
    • 放射線を取り扱うため、自身や患者さんの被ばく管理に細心の注意を払う必要がある。
    • 精密な操作や高度な判断力が求められ、常に緊張感を伴う業務が多い。
    • 患者さんの不安や恐怖心に配慮したコミュニケーションが必要。
    • 夜間や休日の緊急検査・治療に対応するための待機や呼び出しがある。

将来性とキャリアの展望を比較

医療技術の進歩や社会の変化に伴い、薬剤師と診療放射線技師の将来性やキャリアの展望も変化しています。

  • 薬剤師の将来性: 高齢化社会の進展に伴い、ポリファーマシー(多剤併用)への対応や在宅医療における薬剤師の役割はますます重要になっています。かかりつけ薬剤師制度の推進や、地域包括ケアシステムにおける多職種連携の中心としての活躍も期待されています。また、個別化医療やバイオ医薬品といった新しい分野での専門性も求められていくでしょう。AIによる調剤業務の一部自動化なども進む可能性がありますが、対人業務の重要性は増していくと考えられます。
  • 診療放射線技師の将来性: AI技術を活用した画像診断支援システムの開発や、より低侵襲で効果的な新しい画像診断法・放射線治療技術の登場など、医療技術の進歩は目覚ましいものがあります。これらの新しい技術を習得し、適切に活用できる診療放射線技師の需要は高まると予想されます。がん治療における放射線治療の役割拡大や、予防医療における画像検査の重要性も増していくでしょう。

両職種ともに、高度な専門性が求められ、社会からの需要は安定していると言えます。しかし、医療技術の進歩や制度の変化に対応するため、常に学び続け、スキルをアップデートしていく姿勢が不可欠です。

薬剤師と診療放射線技師、どちらを目指す?-選択のポイント

薬剤師と診療放射線技師、どちらの道を選ぶかは、ご自身の興味・関心、適性、そして将来のキャリアイメージによって異なります。

  • 興味・関心の方向性: 薬そのものの作用機序や、患者さんとの対話を通じた薬物療法のサポートに強い興味があるなら薬剤師。一方、人体の構造や画像情報、放射線を用いた診断・治療技術に興味があるなら診療放射線技師が向いているかもしれません。
  • 求められる適性: どちらの職種も高い倫理観と責任感、そして正確性が求められます。薬剤師は、特にコミュニケーション能力や、患者さんの話を丁寧に聞き取る傾聴力、共感力も重要です。診療放射線技師は、精密な機器操作のスキルや、空間認識能力、集中力、そして物理学的な思考力も役立ちます。
  • 学習期間と資格取得の難易度: 薬剤師になるには6年制の薬学部を卒業する必要がありますが、診療放射線技師は3年制または4年制の養成校で学ぶことができます。国家試験の合格率は、どちらも比較的高水準で推移していますが、学ぶべき専門分野は大きく異なります。
  • 将来のキャリアイメージ: 薬局経営や製薬会社でのキャリア、あるいはアカデミックな研究など、薬剤師のキャリアパスは比較的幅広いと言えます。診療放射線技師も、専門性を深めることで指導的な立場や研究分野に進む道があります。どのような専門家になりたいかを具体的にイメージしてみましょう。
  • 給与だけでなく、仕事内容や働きがいも総合的に考慮する: 給与水準は重要な要素ですが、それだけで仕事を選んでしまうと、後々ミスマッチを感じることもあります。仕事内容への興味、やりがい、職場の雰囲気、ワークライフバランスなど、総合的な観点から自分に合った道を選ぶことが大切です。

まとめ

薬剤師と診療放射線技師は、それぞれ医療現場において不可欠な役割を担う、魅力と専門性に満ちた職業です。給与水準には若干の傾向差が見られるものの、どちらも経験やスキル、専門性、そして働く場所によって大きく変動します。

大切なのは、表面的な情報だけでなく、それぞれの仕事内容、求められる資質、そして将来のキャリアパスなどを深く理解し、ご自身の適性や興味、価値観と照らし合わせて、心から納得できる道を選択することです。この記事が、薬剤師と診療放射線技師という二つの素晴らしい専門職について理解を深め、今後のキャリアを考える上での一助となれば幸いです。

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黒岩満(くろいわみつる)
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