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DI業務に携わる薬剤師へ:求人の特徴、仕事内容、キャリアパスを徹底解説

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医薬品に関する情報は日々膨大に更新され、その適正使用と医療安全の確保において、正確かつ最新の情報は不可欠です。「DI業務」は、この医薬品情報を収集・評価・提供する専門業務であり、薬剤師の重要な役割の一つとして注目されています。この記事では、DI業務に携わる薬剤師の仕事内容、活躍の場、求められるスキル、そして求人の探し方やキャリアパス、将来性について詳しく解説します。

DI業務とは?薬剤師が担う医薬品情報のスペシャリスト

DIとは「Drug Information(医薬品情報)」の略称です。DI業務とは、医薬品に関する様々な情報を収集・整理・分析・評価し、医療従事者や患者さんに対して、科学的根拠に基づいた正確かつ最新の情報を提供することで、医薬品の適正使用と医療の質の向上に貢献する専門業務を指します。

なぜDI業務が重要なのか

新薬の開発は日々進み、既存薬についても新たな有効性や副作用の情報が明らかになるなど、医薬品に関する情報は絶えず変化しています。2025年現在、個別化医療の進展や、バイオ医薬品・再生医療等製品といった新しいモダリティの医薬品が登場する中で、その情報はますます複雑化・高度化しています。このような状況下で、医療従事者が個々の患者さんに最適な薬物療法を提供し、医療安全を確保するためには、信頼性の高い医薬品情報が不可欠であり、DI業務の重要性はますます高まっています。

DI業務に求められる薬剤師の専門性

薬剤師は、薬理学、薬物動態学、製剤学、副作用情報、相互作用など、医薬品に関する幅広い専門知識を有しています。この専門性を基盤に、膨大な情報の中から必要な情報を的確に抽出し、科学的根拠に基づいて評価・解釈し、分かりやすく伝達する能力がDI業務には求められます。

薬剤師が行うDI業務の具体的な仕事内容

DI業務に携わる薬剤師の仕事内容は、勤務する施設や部署によって多岐にわたりますが、主なものとしては以下のような業務が挙げられます。

  • 医療従事者(医師、薬剤師、看護師など)からの問い合わせ対応: 電話、メール、口頭などで寄せられる医薬品の用法・用量、副作用、相互作用、配合変化、安定性、妊婦・授乳婦への投与、代替薬などに関する様々な質問に対し、文献やデータベースを検索し、迅速かつ的確に回答します。質問の意図を正確に把握するヒアリング能力も重要です。
  • 医薬品に関する情報収集・分析・評価: 国内外の医学・薬学雑誌、学会発表、医薬品の添付文書やインタビューフォーム、各種データベース(PubMed、医中誌、Cochrane Libraryなど)、製薬企業からの情報、行政からの通知などを常にモニタリングし、必要な情報を収集・整理します。そして、収集した情報を科学的根拠に基づいて批判的に吟味(クリティカルアプレイザル)し、その信頼性や臨床的意義を評価します。
  • DIニュース、院内・社内向け資料の作成・発行: 新薬情報、重要な副作用情報、添付文書の改訂情報、適正使用に関する注意喚起などをまとめた「DIニュース」や、特定の薬剤・疾患に関するレビュー、FAQ集といった資料を作成し、院内LANやメール、印刷物などを通じて医療従事者や関連部署に定期的に情報提供します。
  • 医薬品集(フォーミュラリー)の作成・改訂: 医療機関内で採用されている医薬品のリストである「医薬品集」の作成や改訂作業に関与します。医薬品の有効性、安全性、経済性などを総合的に評価し、掲載情報を整備します。
  • 薬事委員会・P&T(Pharmacy and Therapeutics)委員会への資料提供・運営サポート: 医療機関内での医薬品の採用・中止、使用基準の設定などを行う薬事委員会やP&T委員会に対し、評価資料の作成・提供や、会議の運営サポートなどを行います。
  • 副作用・有害事象情報の収集・報告支援: 院内で発生した医薬品の副作用や有害事象に関する情報を収集し、評価・分析した上で、必要に応じて製薬企業や規制当局(PMDAなど)への報告を支援します。
  • 医薬品の採用・中止に関する評価・提案: 新規採用薬の評価や、既存薬の有効性・安全性・経済性の再評価を行い、採用や中止に関する提案を行います。
  • MRや他の薬剤師への教育・研修: 製薬企業においては自社のMR(医薬情報担当者)に対し、病院や薬局においては他の薬剤師や新人薬剤師に対し、医薬品情報やDI業務に関する教育・研修を行うこともあります。
  • 患者向け医薬品情報資材の作成支援: 患者さんが医薬品をより安全かつ効果的に使用できるよう、分かりやすい言葉で書かれた説明書やパンフレットなどの作成を支援することもあります。

DI業務薬剤師が活躍する主な職場

薬剤師がDI業務の専門性を活かして活躍できる職場は、主に以下のような場所が挙げられます。

  • 病院(大学病院、総合病院、専門病院など)の薬剤部DI室: 最も代表的な活躍の場の一つです。院内の医療従事者からの問い合わせ対応、DIニュースの発行、薬事委員会の運営支援など、院内における医薬品情報の拠点としての役割を担います。
  • 製薬企業(学術部、メディカルアフェアーズ部、DIセンター、安全性情報部など): 自社製品に関する専門的な情報提供、学術資材の作成、医療従事者からの問い合わせ対応窓口(DIセンター)、副作用情報の収集・評価(ファーマコヴィジランス)など、製品のライフサイクル全体にわたってDI業務に関与します。
  • CRO(医薬品開発業務受託機関): 製薬企業から医薬品開発業務の一部を受託する中で、メディカルライティング(治験関連文書や学術論文の作成)や安全性情報管理などの分野でDIの知識・スキルが求められます。
  • 医薬品卸企業: 医療機関や薬局に対し、医薬品に関する情報提供やDI支援を行う学術部門やDI担当部署で活躍できます。
  • 一部の調剤薬局(DI機能を持つ大規模薬局、在宅医療支援薬局など): 大規模な調剤薬局チェーンの本部や、在宅医療に積極的に取り組む薬局などでは、専門のDI担当者を配置し、地域の医療機関や患者さんへの情報提供機能を強化している場合があります。
  • 行政機関・公的機関: 厚生労働省、医薬品医療機器総合機構(PMDA)、都道府県の薬務課、保健所などで、医薬品の安全対策や情報提供に関する業務に携わることもあります。

DI業務薬剤師に求められる知識・スキル・経験

DI業務を高いレベルで遂行するためには、薬剤師としての基本的な知識に加え、以下のような専門的な知識やスキル、経験が求められます。

  • 広範かつ深い薬学的知識: 薬理学、病態生理学、製剤学、薬物動態学、薬物相互作用、副作用情報など、医薬品に関する広範かつ最新の専門知識が不可欠です。
  • 医薬品情報源の知識と検索スキル: PubMed、医中誌、コクラン・ライブラリーといった文献データベース、添付文書、インタビューフォーム、国内外の規制当局や学会のウェブサイトなど、多種多様な情報源を熟知し、効率的かつ的確に必要な情報を検索するスキル。
  • 情報の批判的吟味(クリティカルアプレイザル)能力: 収集した情報について、その研究デザイン、統計解析、結果の妥当性などを科学的根拠に基づいて批判的に評価し、情報の質や信頼性を見極める能力。
  • 高いコミュニケーション能力: 質問者の真のニーズや疑問点を正確に把握するためのヒアリング能力、そして専門的な内容を相手の知識レベルに合わせて分かりやすく、かつ論理的に説明・伝達する能力。
  • 論理的思考力と文章作成能力: 複雑な情報を整理し、論理的に構成し、正確かつ簡潔明瞭な文章で表現する能力。DIニュースや報告書、問い合わせへの回答文書作成において不可欠です。
  • プレゼンテーション能力: 収集・分析した情報を、研修会や委員会などで効果的に伝えるためのプレゼンテーションスキル。
  • PCスキル: 文献検索データベースの操作、Word、Excel、PowerPointなどのオフィスソフトを用いた資料作成、統計解析ソフトの知識(あれば尚可)。
  • 語学力(特に英語文献の読解力): 最新の医学・薬学情報は英語の論文や国際学会で発表されることが多いため、英語文献を正確に読解する能力は必須です。国際的な業務に関わる場合は、英会話能力も求められます。
  • 臨床経験: 病院や薬局での臨床経験は、医療現場の実際のニーズを理解し、より実践的で役立つ情報提供に繋がるため、大きな強みとなります。必須ではありませんが、歓迎されることが多いです。

DI業務薬剤師として働くメリット・やりがい

DI業務は、薬剤師にとって多くのメリットと大きなやりがいをもたらす専門分野です。

  • 医薬品情報の専門家として深く知識を追求できる: 特定の薬剤や疾患領域に関する知識を深く掘り下げ、常に最新の情報に触れながら専門性を高めることができます。
  • 医療の質の向上や医療安全に直接貢献できる: 自身が提供する情報が、医療従事者の適切な判断や患者さんの安全な薬物療法に繋がり、医療の質の向上や医療安全に貢献しているという実感を強く持つことができます。
  • 最新の医薬品情報に常に触れられる: 日々進歩する医療の世界で、最先端の医薬品情報に常にアクセスし、それを医療現場や社会に還元できるのは大きな魅力です。
  • 多様な医療従事者や他部門と連携できる: 医師、看護師、他の薬剤師、製薬企業の担当者など、様々な立場の人々とコミュニケーションを取りながら仕事を進めるため、刺激を受けながら視野を広げることができます。
  • 知的好奇心を満たせる: 新しい情報を学び、分析し、それを活用することに喜びを感じる人にとっては、知的好奇心を大いに満たせる仕事です。
  • 比較的デスクワークが中心(勤務先による): 臨床現場での立ち仕事や夜勤・当直が少ない傾向があり、比較的落ち着いた環境で業務に集中できる場合があります(ただし、問い合わせ対応などで多忙なこともあります)。

DI業務薬剤師の求人の探し方と応募のポイント

DI業務に特化した薬剤師の求人は、調剤業務や病棟業務の求人と比較すると数は限られますが、専門性を求めるニーズは確実に存在します。効果的な探し方と応募時のポイントは以下の通りです。

  • 薬剤師専門の求人サイトの活用: 「DI業務」「医薬品情報」「学術」「ファーマコヴィジランス(関連業務として)」といったキーワードで検索すると、関連する求人情報を見つけやすくなります。サイトによっては、専門分野に特化したキャリアアドバイザーのサポートを受けられることもあります。
  • 各医療機関や企業の採用ホームページの直接確認: 大学病院や大規模な総合病院の薬剤部、製薬企業の学術部門やDIセンターなどの採用情報を定期的にチェックしましょう。
  • 転職エージェントの活用: 特に製薬業界や病院薬剤師の専門職に強い転職エージェントに登録し、キャリアアドバイザーに相談するのが有効です。非公開求人を紹介してもらえたり、DI業務の求人に特有の応募書類の書き方や面接対策について、専門的なアドバイスを受けられたりするメリットがあります。
  • 学会や研修会での情報収集、人脈形成: 日本医薬品情報学会、日本医療薬学会などの関連学会や、DI業務に関する研修会、セミナーに積極的に参加することで、最新の業界動向や求人情報を得られることがあります。また、そこで出会った人との繋がりが、将来的なキャリアに繋がる可能性もあります。
  • 応募書類(履歴書・職務経歴書)のポイント:
    • DI業務への強い関心と適性(情報収集能力、分析力、論理的思考力、コミュニケーション能力、文章作成能力など)を具体的にアピールすることが重要です。
    • これまでの経験の中で、DI業務に関連する業務(文献検索、資料作成、問い合わせ対応、勉強会講師など)があれば、その実績を詳細に記述しましょう。
    • 英語力(TOEICスコアなど)やPCスキルも明記すると良いでしょう。
    • 志望動機では、なぜDI業務に携わりたいのか、その施設・企業でどのような貢献をしたいのかを明確に、かつ熱意を持って伝えましょう。
  • 面接対策: DI業務への理解度、医薬品情報に関する基本的な知識、情報収集・評価の方法、コミュニケーション能力などが評価されます。具体的な事例(過去の問い合わせ対応経験や、ある医薬品情報をどのように評価・伝達するかなど)を用いた質疑応答への準備をしておくと良いでしょう。論理的かつ簡潔に説明する能力も重要です。

DI業務薬剤師のキャリアパスと将来性

DI業務薬剤師としてキャリアをスタートさせた後も、その専門性を活かして多様なキャリアパスを描くことが可能です。

  • DI業務のスペシャリストとしての深化: 特定の疾患領域(がん、感染症、循環器など)や、特定の医薬品情報分野(安全性情報、医療経済評価など)における専門性をさらに深め、その分野のエキスパートとして活躍する道があります。
  • 管理職(DI室長、薬剤部長など)へのステップアップ: 経験を積んで、病院のDI室長や薬剤部の管理職、製薬企業の学術部門のマネージャーなど、組織運営や部下の育成に携わることも可能です。
  • 他部門へのキャリアチェンジ: DI業務で培った知識やスキルを活かして、製薬企業の学術部門(学術企画、MSL)、薬事部門、臨床開発部門、ファーマコヴィジランス部門、マーケティング部門など、企業内の他の専門職へキャリアチェンジする道もあります。
  • 教育・研究分野(大学教員、学会活動): 大学病院などで臨床業務やDI業務と並行して研究活動を行い、学会発表や論文執筆を通じて医薬品情報の発展に貢献したり、大学の教員として次世代の薬剤師育成に携わったりするキャリアもあります。
  • 医薬品情報関連のコンサルタント: 独立して、あるいは専門コンサルティングファームに所属し、医療機関や企業に対して医薬品情報に関する専門的なアドバイスや支援を行う道も考えられます。
  • 将来性: 新薬開発は今後も活発であり、特に個別化医療の進展、バイオ医薬品や再生医療等製品といった新しいモダリティの医薬品の登場により、医薬品情報の複雑性・専門性はますます増大しています。これに伴い、高度な専門知識と情報分析能力を持つDI業務薬剤師の必要性は、医療現場、製薬企業双方において今後も継続的に高まると予想され、その将来性は非常に明るいと言えるでしょう。

DI業務薬剤師を目指すあなたへ

DI業務という専門性の高いキャリアを目指すには、日頃からの準備と意識が重要です。

  • 情報収集・分析スキルを磨く: 日常的に医学・薬学論文に触れ、批判的に読む練習をしたり、各種データベースの効率的な使い方を学んだりするなど、情報リテラシーを高める努力をしましょう。
  • コミュニケーション能力を高める: 相手に分かりやすく伝えるための表現力や、相手の意図を正確に汲み取る傾聴力を意識して磨きましょう。
  • 継続的な学習意欲を持つ: 医学・薬学は日進月歩です。常に新しい情報を学び続ける知的好奇心と探究心を持ち続けることが不可欠です。
  • DI業務に関連する研修やセミナーへの参加: 日本医薬品情報学会などが開催する研修会やセミナーに積極的に参加し、専門知識を深めるとともに、同じ志を持つ仲間とのネットワークを築くことも有益です。

まとめ:医薬品情報の最前線で活躍するDI業務薬剤師というキャリア

DI業務に携わる薬剤師は、医薬品情報の専門家として、医療の質の向上と安全確保に不可欠な役割を担っています。深い専門知識と高度な情報分析能力、そして優れたコミュニケーション能力が求められる一方で、知的好奇心を満たし、医療に大きく貢献できる非常にやりがいのある仕事です。医薬品情報を通じて医療の最前線を支えたいと考える薬剤師にとって、DI業務は挑戦する価値のある魅力的なキャリアパスと言えるでしょう。この記事が、あなたのキャリア選択の一助となれば幸いです。

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