薬剤師の資格を活かした働き方は多様化しており、「派遣」という選択肢もその一つとして注目されています。正社員やパートとは異なる特徴を持つ派遣薬剤師について、その働き方、メリット・デメリット、そして求人の探し方まで詳しく解説します。
薬剤師の派遣とは?正社員やパートとの違い
派遣薬剤師とは、派遣会社と雇用契約を結び、派遣会社から紹介された薬局や病院、企業などの「派遣先」で業務を行う薬剤師のことを指します。
正社員やパートとの主な違い
項目 | 派遣薬剤師 | 正社員 | パート・アルバイト |
雇用主 | 派遣会社 | 就業先の薬局・病院など | 就業先の薬局・病院など |
給与・福利厚生 | 派遣会社から支給・提供 | 就業先の薬局・病院などから支給・提供 | 就業先の薬局・病院などから支給・提供 |
契約期間 | 一定期間ごと(更新の可能性あり) | 期間の定めなし(無期雇用) | 期間の定めがある場合が多い(更新の可能性あり) |
業務指示 | 派遣先の担当者から受ける | 就業先の薬局・病院などの上司から受ける | 就業先の薬局・病院などの上司から受ける |
勤務地 | 契約ごとに異なる場合がある | 原則として同じ | 原則として同じ |
働き方の柔軟性 | 比較的高い(勤務時間・日数を選びやすい) | 比較的低い | 比較的高い(勤務時間・日数を選びやすい) |
このように、派遣薬剤師は雇用主が派遣会社である点が大きな特徴です。給与の支払いや社会保険の手続きなどは派遣会社が行い、実際の業務は派遣先の指示のもとで行います。
薬剤師が派遣で働くメリット
派遣薬剤師として働くことには、以下のようなメリットがあります。
- ライフスタイルに合わせた働き方がしやすい: 「週3日だけ働きたい」「午前中だけ働きたい」「特定の期間だけ集中して働きたい」など、自身の希望する勤務時間や日数、期間に合わせて仕事を選びやすいのが大きな魅力です。育児や介護、趣味などプライベートとの両立を図りたい方にとって適した働き方と言えるでしょう。
- 様々な職場を経験できる: 調剤薬局、ドラッグストア、病院、クリニック、企業など、異なる環境や業務内容の職場を経験できます。これにより、自身のスキルアップやキャリアの幅を広げることにつながります。色々な職場で経験を積みたい、自分に合う職場を見つけたいという方にも向いています。
- 比較的高時給な場合がある: 専門職である薬剤師の派遣は、パートやアルバイトと比較して時給が高い傾向にあります。特に期間限定の求人や、専門性が求められる業務では好条件の案件が見つかることもあります。
- 人間関係のしがらみが少ない傾向: 派遣社員は一定期間での契約となるため、職場の複雑な人間関係に深く関わることが少ない傾向にあります。割り切って仕事に集中したいと考える方にはメリットとなるでしょう。
- 派遣会社からのサポートがある: 仕事探しから就業条件の交渉、就業中のトラブル相談まで、派遣会社の担当者からのサポートを受けることができます。自分一人で求人を探すよりも効率的かつ安心して仕事を見つけられる場合があります。
薬剤師が派遣で働くデメリット・注意点
一方で、派遣薬剤師として働く際には以下のようなデメリットや注意点も理解しておく必要があります。
- 雇用の安定性: 契約期間が満了すると、次の派遣先が見つかるまでは収入が途絶える可能性があります。常に次の仕事を探す必要があるという点は、正社員と比較して不安定と言えます。
- 昇給や賞与、退職金がない場合が多い: 一般的に派遣社員には、正社員のような定期昇給や賞与、退職金制度がない場合がほとんどです。時給は高くても、年収ベースで見ると正社員に劣る可能性も考慮する必要があります。
- 責任のある業務を任されにくい場合がある: 派遣社員は期間限定の労働力と見なされることがあり、管理業務や店舗運営に関わるような責任の重い業務は任されにくい傾向があります。キャリアアップを目指したい方にとっては物足りなさを感じるかもしれません。
- 職場への帰属意識が薄れやすい: 契約期間ごとに職場が変わる可能性があるため、一つの職場に対する愛着や帰属意識は持ちにくいかもしれません。
- 派遣法による制限: 労働者派遣法により、同じ事業所の同じ組織単位(課など)で継続して働ける期間は原則3年までという制限があります(抵触日)。ただし、無期雇用の派遣社員はこの限りではありません。
派遣薬剤師の主な勤務先
派遣薬剤師が活躍する主な勤務先には、以下のような場所があります。
- 調剤薬局: 最も一般的な派遣先の一つです。処方箋に基づいた調剤業務、服薬指導、薬歴管理などが主な業務となります。
- ドラッグストア(調剤併設型): 調剤業務に加え、OTC医薬品の販売やカウンセリング、健康相談なども行います。
- 病院・クリニック: 入院患者や外来患者への調剤業務、服薬指導、注射薬の混合調製、医薬品管理など、より専門的な知識やスキルが求められることもあります。
- 企業: 製薬会社や医薬品卸会社などで、DI(医薬品情報)業務、学術サポート、安全性情報管理などの業務に携わることもあります。
派遣薬剤師の求人の探し方
派遣薬剤師として働くためには、まず派遣会社に登録するのが一般的です。
- 薬剤師専門の派遣会社に登録する: 薬剤師の求人に特化した派遣会社は、専門知識を持ったコンサルタントが在籍しており、希望に合った求人を紹介してくれる可能性が高いです。業界の動向にも詳しいため、キャリア相談にも乗ってもらいやすいでしょう。
- 一般的な派遣会社の医療系部門を利用する: 大手の派遣会社でも、医療・福祉系の専門部門を設けている場合があります。幅広い求人情報を持っている可能性があります。
- 求人サイトで「派遣」の条件で検索する: 薬剤師向けの求人サイトや一般的な求人情報サイトで、雇用形態を「派遣」に絞って検索することも可能です。
複数の派遣会社に登録して、それぞれの特徴や紹介される求人を比較検討するのも良いでしょう。
派遣で働く際に注意すべきこと
派遣薬剤師として安心して働くためには、以下の点に注意しましょう。
- 派遣会社の選定: 信頼できる派遣会社を選ぶことが重要です。実績、紹介先の豊富さ、担当者のサポート体制、福利厚生(社会保険、有給休暇、健康診断など)の内容をしっかり確認しましょう。
- 契約内容の確認: 就業前に、業務内容、時給、交通費、契約期間、更新の有無、就業時間、休日などの契約内容を必ず書面で確認しましょう。不明な点は遠慮なく派遣会社の担当者に質問することが大切です。
- スキルアップへの意識: 派遣という働き方でも、常に新しい知識やスキルを習得する意識を持つことが重要です。研修制度が整っている派遣会社を選ぶのも一つの方法です。
まとめ
薬剤師の派遣という働き方は、ライフスタイルを重視したい方や、様々な職場で経験を積みたい方にとって魅力的な選択肢となり得ます。一方で、雇用の安定性やキャリア形成の面では注意が必要な部分もあります。
メリット・デメリットをよく理解した上で、自身のキャリアプランやライフプランに合っているかどうかをじっくり検討し、信頼できる派遣会社を見つけて、自分らしい働き方を実現しましょう。
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