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シニア薬剤師も活躍!経験を活かせる求人と「高齢者」に関わる薬剤師の働き方

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人生100年時代と言われる現代において、年齢を重ねても薬剤師としての専門知識や経験を活かして社会に貢献したいと考える方々が増えています。また、急速な高齢化に伴い、高齢者医療・介護の現場では薬剤師の役割がますます重要になっています。この記事では、「高齢者」というキーワードを軸に、シニア世代の薬剤師が活躍できる求人の探し方や働く上でのポイント、そして高齢者を対象とした医療・介護分野における薬剤師の仕事内容や魅力について、幅広く解説します。

なぜ今、シニア薬剤師の活躍が期待されるのか?

長年にわたり薬剤師としてキャリアを積んでこられたシニア世代の方々は、医療現場にとってかけがえのない財産です。その活躍が期待される背景には、いくつかの理由があります。

  • 高齢化社会における医療ニーズの増大と薬剤師不足: 日本の高齢化は急速に進んでおり、それに伴い慢性疾患を持つ患者さんの増加や、在宅医療のニーズが拡大しています。一方で、地域によっては依然として薬剤師が不足しており、経験豊かな薬剤師の力が必要とされています。
  • 豊富な経験・知識・コミュニケーション能力の価値: 長年の実務で培われた調剤スキル、幅広い医薬品知識、そして何よりも患者さんや多職種との円滑なコミュニケーション能力は、若い世代の薬剤師にはない大きな強みです。特に、高齢の患者さんにとっては、同世代の薬剤師の方が安心して相談しやすいと感じることもあります。
  • 生涯現役社会の推進と働く意欲のある高齢者の増加: 健康寿命が延び、定年後も元気に働き続けたいと考える意欲的なシニア層が増えています。薬剤師という専門職は、年齢に関わらずその専門性を活かして長く社会に貢献できる仕事の一つです。

シニア薬剤師(高齢者)向けの求人の特徴と探し方

シニア世代の薬剤師が求人を探す際には、年齢や体力的な側面を考慮した、柔軟な働き方ができる職場が選択肢に入ってくることが多いでしょう。

  • 求人のキーワード: 求人情報を見る際には、「年齢不問」「シニア歓迎」「経験者優遇」「ブランク可(定年退職後の再就職など)」といったキーワードに注目してみましょう。
  • 勤務形態の柔軟性: フルタイムだけでなく、体力に合わせて週に数日程度のパートタイム勤務、午前中のみ・午後のみといった時短勤務、あるいは比較的業務負担の少ない職場など、多様な働き方が可能な求人が見つかることがあります。
  • 主な勤務先:
    • 調剤薬局: 特に地域に根差した個人経営の薬局や、かかりつけ薬剤師機能を重視している薬局では、シニア薬剤師の落ち着いた対応や豊富な経験が歓迎されることがあります。
    • ドラッグストア(調剤併設型を含む): OTC医薬品の相談販売や健康サポート業務など、コミュニケーション能力が活かせる場面が多くあります。調剤業務も、経験に応じて無理のない範囲で担当できる求人があるかもしれません。
    • 病院・クリニック: 外来調剤が中心のクリニックや、比較的病状の安定した患者さんが多い慢性期病院、療養型病院などでは、シニア薬剤師が活躍しやすい環境が見つかることがあります。
    • 介護施設(老人ホームなど): 後述するように、高齢者施設での薬剤管理業務は、シニア薬剤師の経験が活きる分野です。

求人の探し方:

  • ハローワーク: 高齢者向けの就労支援窓口が設置されている場合もあり、地域密長型の求人情報が得られます。
  • 薬剤師専門の求人サイト: 年齢や経験に関する条件で絞り込み検索ができるサイトや、「シニア応援」といった特集を組んでいるサイトもあります。
  • 転職エージェント: シニア層の薬剤師の転職支援に実績のあるエージェントに相談すると、非公開求人を紹介してもらえたり、年齢や経験に応じたキャリアアドバイスを受けられたりします。
  • 地域の薬剤師会からの紹介: 薬剤師会が地域の求人情報を把握している場合があります。

高齢者を対象とする医療・介護分野での薬剤師の役割と求人

シニア薬剤師自身の求職活動とは別に、薬剤師の専門性が特に求められるのが「高齢者」を対象とした医療・介護の現場です。これらの分野は、シニア薬剤師の豊富な経験や人生観が活きる場面も多いと言えるでしょう。

  • 老人ホーム・介護施設での薬剤師業務:
    • 介護老人保健施設(老健)、特別養護老人ホーム(特養)、有料老人ホームなどでは、入所者の持参薬管理、処方箋に基づく調剤(施設内に調剤室がある場合)、服薬管理・支援、副作用モニタリング、医師や看護師・介護スタッフとの多職種連携などが主な業務です。高齢者のポリファーマシー(多剤併用)への対応や、嚥下機能に合わせた剤形変更の提案など、専門的な介入が求められます。
  • 在宅医療における薬剤師(訪問薬剤師):
    • 通院が困難な高齢者の自宅や施設を訪問し、処方薬の管理、服薬指導、残薬調整、副作用の確認、生活環境に合わせた服薬支援、医師への処方提案などを行います。地域包括ケアシステムの重要な担い手として、その役割はますます拡大しています。
  • 病院・クリニックでの高齢者医療:
    • 多くの高齢者が複数の疾患を抱え、多数の薬剤を服用している現状に対し、薬物療法の適正化(ポリファーマシー対策)は喫緊の課題です。老年薬学の知識に基づいた薬物療法支援、認知症患者さんへの薬学的アプローチ、嚥下困難な患者さんへの剤形工夫や服薬支援などが重要となります。

これらの分野では、患者さんやそのご家族との丁寧なコミュニケーション、そして多職種チームとの円滑な連携が不可欠であり、シニア薬剤師の持つ経験や落ち着いた対応力が大きな強みとなります。

シニア薬剤師(高齢者)が求職活動でアピールすべきポイント

年齢を重ねたからこそ持つ強みを、求職活動で積極的にアピールしましょう。

  • 豊富な実務経験と専門知識: これまでの薬剤師としてのキャリアで培ってきた調剤スキル、服薬指導のノウハウ、特定の疾患領域に関する深い知識などを具体的に伝えましょう。
  • 高いコミュニケーション能力と傾聴力: 長年の患者さん対応や多職種連携で培った、相手に寄り添い、信頼関係を築くことのできるコミュニケーション能力は大きな武器です。
  • 人生経験からくる包容力と落ち着き、判断力: 様々な状況に対応してきた経験からくる冷静な判断力や、患者さんやスタッフを包み込むような温かさは、職場に安心感をもたらします。
  • 継続的な学習意欲と新しいことへの適応力: 医療は常に進歩しています。年齢に関わらず、新しい知識や技術を学び続ける意欲があることを伝えましょう。
  • 健康状態と働く意欲: 無理なく業務を遂行できる健康状態であること、そして何よりも「まだ薬剤師として社会に貢献したい」という熱意を伝えることが重要です。
  • 後進の指導・育成への貢献意欲(もしあれば): これまでの経験を活かして、若い薬剤師の指導や育成に貢献したいという意欲も、企業によっては高く評価されます。

シニア薬剤師(高齢者)が働く上でのメリットと留意点

メリット:

  • 社会との繋がりを維持し、孤立を防ぐ。
  • 適度な仕事は心身の健康維持に繋がり、健康寿命の延伸にも貢献する可能性がある。
  • 年金に加えて収入を得ることで、経済的な安定やゆとりに繋がる。
  • 長年培ってきた知識や経験を活かし、社会に貢献できるという自己有用感や満足感を得られる。

留意点:

  • 体力面への配慮: 無理のない勤務日数や時間、業務内容を選ぶことが重要です。立ち仕事の多い職場や、夜勤・当直のある職場は慎重に検討しましょう。
  • 最新のITスキルへの対応: 電子薬歴システムやオンライン服薬指導など、新しい技術への対応が必要になる場合があります。必要であれば、事前に学習したり、研修制度のある職場を選んだりすると良いでしょう。
  • 若い世代のスタッフとのコミュニケーション: ジェネレーションギャップを感じることもあるかもしれませんが、お互いを尊重し、積極的にコミュニケーションを取る姿勢が大切です。
  • 雇用条件の確認: 特に定年後の再雇用や嘱託契約の場合、給与や退職金、社会保険の取り扱いなどが正社員時代と異なる場合があります。契約内容をしっかりと確認しましょう。
  • 年金受給との関連: 働き方や収入によっては、年金の支給額に影響が出る場合があります。事前に年金事務所などに相談しておくと安心です。

高齢者も活躍できる薬剤師の職場環境とは?

シニア薬剤師がその能力を最大限に発揮し、長く活躍し続けるためには、以下のような職場環境が望ましいと言えます。

  • 柔軟な勤務シフトや時短勤務に対応してくれる。
  • これまでの経験や知識を尊重し、それを活かせる業務や役割が与えられる。
  • 体力的な負担が過度にならないよう、業務分担や作業環境への配慮がある。
  • 年齢に関わらず、新しい知識や技術を学ぶための研修機会が提供される。
  • 多様な年代のスタッフがお互いを尊重し、協力し合える、風通しの良い雰囲気がある。

まとめ:年齢を重ねても輝ける!薬剤師としてのセカンドキャリア

薬剤師の資格と経験は、年齢を重ねても決して色褪せることのない貴重な財産です。シニア世代の薬剤師が活躍できる場は、本人の意欲と健康状態、そして適切な職場選びによって、まだまだ広がっています。また、高齢者医療・介護の分野では、薬剤師の専門性がこれまで以上に求められており、そこではシニア薬剤師ならではの経験や人間力が大きな力となります。この記事でご紹介した情報が、あなたが薬剤師として充実したセカンドキャリアを築くための一助となれば幸いです。自信を持って、新たな一歩を踏み出してください。

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黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
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