「せっかく取得した薬剤師の資格を、セカンドキャリアで活かしたい」「子育てを終え、新たな目標として社会に貢献したい」—。60歳を迎え、実務経験がない状態から薬剤師としてのキャリアを目指すことは、大きな決断であり、素晴らしい挑戦です。
もちろん、その道は平坦ではありません。しかし、正しい戦略と準備、そして強い意志があれば、可能性の扉を開くことは十分に可能です。
この記事では、60歳・未経験から薬剤師の仕事を見つけるための、具体的な「5つのステップ」を実践的なガイドとしてご紹介します。
STEP1:現実的な目標設定とマインドセット
最初に行うべきは、高望みをせず、現実的な目標を定めることです。これが、成功への最も重要な第一歩となります。
- 働き方を決める → 「パート・アルバ করাইト」からいきなり正社員を目指すのは、採用側・応募側双方にとってハードルが高すぎます。まずは「週2~3日」「1日4~5時間」といった、体力的に無理のないパート勤務からスタートすることを目標にしましょう。
- 働く場所を絞る → 「地域密着型」の職場を狙う都市部の多忙な大規模薬局や急性期病院は避けましょう。狙い目は、薬剤師が不足しがちな「郊外・地方の調剤薬局」や、処方内容が比較的落ち着いている「内科・眼科などのクリニック門前薬局」です。
- 期待値を調整する → 「経験を積む」ことを最優先に薬剤師の時給は高い水準にありますが、最初の目的は収入よりも「実務経験を積み、現場に慣れること」です。待遇面での希望は、ある程度の経験を積んでから考えましょう。
- 最も大切な心構え → 「教えていただく」という謙虚な姿勢年下の先輩や上司から指導を受けることになります。「何歳になっても、新人である」という謙虚な気持ちを持ち、素直に教えを請う姿勢が、周囲の協力を得る上で何よりも大切です。
STEP2:知識の再起動(リブート)とスキルの準備
就職活動を始める前に、現在の医療現場に対応できる最低限の準備をしておきましょう。
- 最新の知識をアップデートする学生時代に学んだ知識だけでは、日進月歩の医療には対応できません。現在の主要な治療薬や、代表的な疾患の治療ガイドラインなどに目を通し、知識を「再起動」させておきましょう。この努力は、面接での学習意欲のアピールにも繋がります。
- パソコンの基本スキルを習得する現代の薬局業務に、パソコンは不可欠です。特に、文字入力(タイピング)は、電子薬歴を扱う上で必須のスキルとなります。スムーズな文字入力ができるよう、事前に練習しておきましょう。
STEP3:活躍できる求人を見つける情報収集術
やみくもに応募しても、良い結果には繋がりません。活躍できる可能性の高い求人を、戦略的に探しましょう。
- 求人票の「キーワード」に注目する求人サイトで探す際は、以下のキーワードに注目してください。
- 「未経験者歓迎」「ブランクOK」「シニア応援」
- 「研修制度あり」「丁寧な指導」
- 「扶養内勤務可」「週2日からOK」
- ハローワークや地域の薬剤師会を活用する地域に密着した中小規模の薬局は、ハローワークなどに求人を出すことも少なくありません。また、地域の薬剤師会が、復職支援の相談に乗ってくれる場合もあります。
STEP4:人生経験を伝える応募書類と面接対策
スキルや経験でアピールできない分、あなたの人間性や意欲を伝えることが重要です。
- 志望動機で「あなたの物語」を語る履歴書や職務経歴書で最も重要なのは、志望動機です。「なぜ、今、薬剤師として働きたいのか」— その背景にある、あなただけの物語(子育て経験、自身の闘病経験、地域への想いなど)を、自分の言葉で誠実に伝えましょう。
- 面接での「三大質問」に備える面接では、特に以下の質問への回答を準備しておきましょう。
- 「体力的に、お仕事は大丈夫ですか?」 → 無理をせず、正直に「週〇日、〇時間程度であれば、全く問題なく元気に働けます」と、具体的なプランを伝えましょう。
- 「年下のスタッフから指導されることに抵抗はありませんか?」 → 「全くありません。経験豊富な先生方として、年齢に関係なく尊敬の念を持ってご指導いただきたいです」と、謙虚な姿勢を明確に示しましょう。
- 「パソコン操作はできますか?」 → 「現在、電子薬歴の入力に備えて、タイピングの練習をしております」など、苦手なことがあっても、それを克服しようと努力している姿勢を見せることが大切です。
STEP5:採用後の心構え|信頼される薬剤師になるために
もし無事に採用が決まったら、そこが本当のスタートです。周囲からの信頼を得るために、以下のことを心がけましょう。
- メモを徹底し、何度も同じことを聞かない。
- 分からないことは、そのままにせず、必ず質問する。
- 教えてもらったら、必ず「ありがとうございます」と感謝を伝える。
この真摯な姿勢が、あなたの最大の強みとなります。
まとめ:新たな挑戦に、遅すぎることはない
60歳・未経験からの薬剤師への道は、確かに挑戦です。しかし、それは、これまでの豊かな人生経験を、地域社会への貢献という新しい価値に変える、素晴らしい挑戦でもあります。
焦らず、気負わず、誠実な姿勢で一歩を踏み出す。その勇気さえあれば、あなたの薬剤師としてのセカンドキャリアは、きっと充実したものになるはずです。
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