2025.06.09

薬剤師の新たな挑戦！未経験から始める東京での「薬事」キャリアガイド

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東京でキャリアを拓く、薬剤師の「薬事」という選択肢

薬剤師のキャリアパスは、調剤薬局や病院だけにとどまりません。その専門知識を活かせるフィールドは多岐にわたりますが、中でも製薬企業や医療機器メーカーの根幹を支える「薬事」という職種は、薬剤師にとって非常に魅力的な選択肢の一つです。

特に、国内有数の企業が集積する「東京」は、薬事の求人が最も多く、キャリアを築く上で絶好の環境と言えます。しかし、「薬事の仕事は専門性が高くて、未経験では無理だろう」「臨床経験しかない自分に務まるだろうか」といった不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

結論から言えば、薬剤師の資格と経験は、未経験から薬事の仕事へ挑戦する上で大きなアドバンテージとなります。この記事では、東京で薬事のプロフェッショナルを目指す薬剤師の方へ向けて、その仕事内容や求められるスキル、そして転職を成功させるためのポイントを詳しく解説します。

「薬事」とは、医薬品や医療機器、化粧品などを開発し、製造・販売する上で遵守すべき法律（医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律：薬機法など）や規制に関わる一切の業務を指します。

いわば、新しい医薬品や医療機器を世に送り出すための「羅針盤」であり、企業の活動が法から逸脱しないように見守る「法の番人」のような存在です。その業務は多岐にわたりますが、主なものとして以下が挙げられます。

医薬品・医療機器の承認申請業務新製品を市場に出すために、治験などで得られた有効性や安全性、品質に関する膨大なデータをまとめ、規制当局（PMDA：医薬品医療機器総合機構など）に提出する承認申請資料を作成・管理します。薬学的な知識が直接活かせる、薬事業務の花形ともいえる仕事です。
GQP/GVP関連業務**GQP（Good Quality Practice：品質管理基準）**に基づき、製品の品質を保証し、市場への出荷可否を判断します。また、**GVP（Good Vigilance Practice：製造販売後安全管理基準）**に基づき、市販後に収集された副作用などの安全性情報を評価し、規制当局への報告や医療現場への情報提供を行います。
広告・プロモーション資材の薬事チェック営業担当者（MR）が使用するパンフレットや、一般向けのWebサイト、CMなどの広告表現が、薬機法や医療用医薬品等プロモーションコードに抵触しないかを厳しくチェックします。
規制当局とのコミュニケーション承認申請に関する照会事項への対応や、厚生労働省・PMDAによる査察（立ち入り調査）への対応など、規制当局との窓口としての役割も担います。

企業が薬事職の採用において、たとえ実務未経験であっても薬剤師を歓迎するのには、明確な理由があります。

薬機法と薬学知識への深い理解薬剤師は、薬学教育と国家試験を通じて、薬事関連法規の基礎を学んでいます。この知識は、複雑な規制の意図を正確に読み解き、適切な対応を導き出す上で強力な土台となります。
科学論文・文献の読解力薬事業務では、国内外の論文や文献を読み込み、科学的根拠を積み上げていく場面が数多くあります。DI業務などで培った文献検索・読解スキルは、そのまま薬事業務で活かすことができます。
論理的思考力と正確性処方箋の疑義照会や監査業務で培われた、「なぜそうなるのか」を突き詰める論理的思考力や、ミスを見逃さない注意力は、一行の記載ミスも許されない申請資料の作成など、薬事業務に不可欠な資質です。

薬事職への転職を考える上で、「東京」という勤務地は非常に重要な意味を持ちます。

企業の本社機能が集中大手からベンチャーまで、数多くの製薬企業や医療機器メーカー、CRO（開発業務受託機関）が東京に本社を構えています。そのため、薬事部門の求人も必然的に東京に集中し、選択肢の幅が格段に広がります。
最新情報へのアクセス規制当局である厚生労働省やPMDAは東京にあり、業界向けのセミナーや説明会も東京で開催されることがほとんどです。最新の規制動向や業界のトレンドをいち早くキャッチできることは、薬事のプロとして成長する上で大きなメリットです。
豊富なキャリアパス多様な企業が集まっているため、一つの会社で経験を積んだ後、より専門性を高めたり、異なる領域に挑戦したりと、キャリアの選択肢が豊富にあります。将来的なキャリアアップを考えた際にも、東京は非常に有利な環境です。

未経験から薬事という専門職への扉を開くためには、いくつかの準備が必要です。

英語力を磨く薬事業務では、海外のガイドラインや英語論文を読む機会が非常に多くあります。特にグローバルに展開する企業や外資系企業では、英語力は必須スキルとされています。まずはTOEIC(R) L&R TESTで一定のスコア（一般的に700点以上が目安）を目指すなど、具体的な目標を立てて学習を進めましょう。
転職エージェントを有効活用する製薬・医療業界に強い転職エージェントに登録することをお勧めします。業界の採用動向に精通したコンサルタントから、未経験者でも応募可能な非公開求人の紹介や、職務経歴書の添削、面接対策などのサポートを受けられます。
志望動機を深く掘り下げる面接では「なぜ調剤業務や臨床現場ではなく、薬事の仕事がしたいのか」を必ず問われます。「薬剤師として培った知識を、個々の患者さんだけでなく、医薬品開発の根幹から支えることで、より広く医療に貢献したい」といったように、これまでの経験と将来のビジョンを結びつけた、熱意のある志望動機を準備しましょう。