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薬剤師の年収、大卒ならどれくらい?初任給からキャリア別まで徹底解説

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薬剤師は、人々の健康を守る上で欠かせない専門職です。その薬剤師になるためには、大学の薬学部を卒業することが基本的なルートとなります。では、大学を卒業した薬剤師は、一般的にどのくらいの年収を得ているのでしょうか。初任給から年代別の推移、そしてキャリアパスによって年収がどう変わるのか、詳しく見ていきましょう。

この記事では、「大卒」の薬剤師の年収に焦点を当て、その実態や年収アップのためのポイント、様々な働き方について解説します。

薬剤師になるには「大卒(薬学部6年制)」が基本

まず前提として、現在の日本で薬剤師になるためには、大学の薬学部で6年制の課程を修了し、薬剤師国家試験に合格する必要があります。つまり、薬剤師として活躍している人のほとんどは「大卒」であり、かつ薬学の専門教育を受けた高度な専門知識を持つ人材です。

この専門性の高さが、薬剤師の社会的役割や責任の大きさに繋がり、それが年収にも反映される一因となっています。

大卒薬剤師の初任給と年代別平均年収

大学を卒業して社会に出る薬剤師の初任給は、勤務先の種類や地域によって異なりますが、一般的に他の4年制大学卒の職種と比較して、やや高めの水準からスタートすることが多いようです。これは、6年間の専門教育と国家資格の取得が評価されるためと考えられます。

年代別の平均年収を見ていくと、やはり経験を積むごとに上昇していく傾向があります。

  • 20代: 新卒から数年間は、着実に経験を積みながらスキルを磨く時期です。年収も徐々に上がっていきます。
  • 30代: 中堅薬剤師として、専門性を深めたり、後輩の指導にあたったりする役割が増えてきます。管理薬剤師など、役職に就くことで年収が大きく上がることもあります。
  • 40代: 豊富な経験と知識を活かし、薬局長やエリアマネージャー、あるいは専門薬剤師として活躍する年代です。キャリアの選択によって年収の幅も広がります。
  • 50代以上: これまでのキャリアの集大成として、高い専門性やマネジメント能力を発揮する時期です。一方で、ワークライフバランスを考慮した働き方を選択する方もいます。

他の一般的な大卒の職種と比較した場合、薬剤師は専門職としての安定性に加え、経験やスキルアップが年収に反映されやすい職種と言えるでしょう。

大卒薬剤師の年収に影響を与える主な要因

「大卒」という共通のスタートラインに立った薬剤師でも、その後の年収は様々な要因によって変わってきます。

  • 勤務先の種類:
    • 調剤薬局: 最も多くの薬剤師が働く場所です。大手チェーンか個人経営か、都市部か地方かなどで年収に差が出ます。
    • ドラッグストア: 調剤業務に加え、OTC医薬品販売や店舗運営など業務範囲が広く、成果次第で高めの年収も期待できます。
    • 病院: 公立か私立か、病院の規模、夜勤や当直の有無などが年収に影響します。
    • 製薬会社: MR(医薬情報担当者)、研究開発、学術など、薬剤師の知識を活かせる職種は多様で、一般的に年収水準が高い傾向にあります。
    • 公務員: 行政機関や公立病院などで働く薬剤師で、安定した給与体系が特徴です。
  • 雇用形態: 正社員、パート・アルバイト、派遣社員といった雇用形態によって、年収や時給は大きく異なります。
  • 経験年数とスキル: 実務経験はもちろん、コミュニケーション能力、特定分野の専門知識、マネジメントスキルなどが評価されます。
  • 役職: 管理薬剤師、薬局長、エリアマネージャー、薬剤部長など、責任のあるポジションに就くことで役職手当がつき、年収は大幅にアップします。
  • 勤務地域: 都市部と地方では物価や求人の需給バランスが異なり、年収にも影響が出ます。特に薬剤師が不足している地域では、好条件の求人が見つかることもあります。
  • 保有資格: 認定薬剤師(例:がん専門薬剤師、緩和薬物療法認定薬剤師など)や専門薬剤師の資格を取得すると、専門手当がついたり、キャリアアップに繋がったりすることがあります。

【勤務先別】大卒薬剤師の年収の特徴

勤務先によって、大卒薬剤師の年収の傾向やキャリアパスは異なります。

  • 調剤薬局で働く大卒薬剤師の年収: 経験を積み、管理薬剤師や複数の店舗を統括する立場になることで年収アップが期待できます。かかりつけ薬剤師としての役割も重要です。
  • ドラッグストアで働く大卒薬剤師の年収: 調剤スキルに加え、販売力やマネジメント能力も求められます。成果がインセンティブに反映される企業もあり、実力次第で高収入を目指せる可能性があります。
  • 病院で働く大卒薬剤師の年収: チーム医療への貢献や専門性の高い業務(抗がん剤混合調製、治験薬管理など)が評価されます。公務員として働く場合は、その規定に準じます。
  • 製薬会社で働く大卒薬剤師の年収: MR、研究開発、メディカルサイエンスリエゾン(MSL)など、職種によって業務内容も年収水準も大きく異なります。一般的に他の勤務先より高い年収が期待できる一方、高い専門性や成果が求められます。
  • 公務員として働く大卒薬剤師の年収: 保健所や公立病院、国の研究機関などで働く薬剤師です。給与は公務員の給与規定に基づいており、安定性と福利厚生の充実が魅力です。

大卒薬剤師が年収を上げるためのキャリア戦略

大学を卒業し、薬剤師としてのキャリアをスタートさせた後、年収を上げていくためにはどのような戦略が考えられるでしょうか。

  • 専門性を高める: 自身の興味や適性のある分野を見つけ、認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得を目指しましょう。専門性は市場価値を高め、年収アップに繋がります。
  • マネジメント経験を積む: 管理薬剤師や薬局長など、管理職としての経験はキャリアアップと年収増に不可欠です。リーダーシップや組織運営能力を磨きましょう。
  • より待遇の良い職場への転職: 現在の職場で昇給が見込めない場合や、キャリアチェンジを考えている場合は、より専門性を活かせる職場や待遇の良い職場への転職も有効な手段です。
  • 企業内でのキャリアアップ(製薬会社など): 製薬会社などでは、成果や能力に応じて昇進・昇格の機会があり、それが年収に大きく反映されます。
  • 独立開業(薬局経営): 薬剤師としての経験を活かし、自身で薬局を開業する道もあります。経営手腕によっては高収入を得ることも可能ですが、リスクも伴います。

大卒薬剤師の年収に関するよくある質問

Q. 薬剤師の6年制卒と、もし(旧制度の)4年制卒がいた場合、年収に差はありますか?

A. 現在の薬剤師国家試験の受験資格は6年制薬学部の卒業が必須です。過去には4年制の薬学部もありましたが、その卒業生が現在新たに薬剤師になることはできません。もし現在も4年制卒で薬剤師として働いている方がいたとしても、年収は学歴そのものよりも、現在の経験年数、スキル、役職、勤務先などによって決定されるため、一概に「卒年数」だけで比較することは困難です。現行制度下では「6年制大卒」がスタンダードです。

Q. 薬剤師と、他の理系学部(例えば修士・博士卒)の年収を比較するとどうですか?

A. 比較対象とする分野や職種によって大きく異なります。薬剤師は医療系の専門職であり、その資格と専門性に基づいた給与体系が一般的です。一方、他の理系学部を卒業し、修士号や博士号を取得して研究職や専門技術職に就く場合、その分野の需要や企業の規模、個人の研究成果などによって年収は大きく変動します。一概にどちらが高いとは言えませんが、薬剤師は安定した需要が見込まれる専門職の一つです。

まとめ

「大卒」である薬剤師の年収は、初任給の段階から専門職としての評価がある程度反映されています。その後は、勤務先の種類、経験年数、役職、専門性、そして個人の努力やキャリア選択によって大きく変動していきます。

薬剤師は、その専門知識とスキルを活かして人々の健康に貢献できる、非常にやりがいのある仕事です。年収ももちろん重要な要素ですが、どのような分野で社会に貢献したいのか、どのような働き方をしたいのかといった視点も持ちながら、長期的なキャリアプランを築いていくことが大切です。

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黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
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