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薬剤師の履歴書【本人希望欄】の賢い書き方:伝えるべきこと・避けるべきこと

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薬剤師の就職・転職活動で提出する履歴書には、「本人希望記入欄」(または「本人希望欄」)という項目があります。この欄をどのように書けば良いのか、何を書くべきで何を書くべきでないのか、悩む方も多いのではないでしょうか。実はこの「本人希望欄」、書き方次第であなたの印象を左右することもある重要な項目です。この記事では、薬剤師の皆さんが「本人希望欄」を効果的に活用し、スムーズな選考と納得のいくキャリア選択に繋げるための書き方のポイントを、具体的な例文とともに詳しく解説します。

薬剤師の履歴書:「本人希望欄」は何のためにある?その役割と重要性

まず、「本人希望欄」が履歴書においてどのような役割を果たし、なぜ重要なのかを理解しておきましょう。

応募者の譲れない条件を伝えるための公式な手段

「本人希望欄」は、応募者が勤務条件などに関して、どうしても譲れない点や配慮してほしい事項を採用担当者に公式に伝えるためのスペースです。口頭では伝えにくい内容や、選考の初期段階で明確にしておきたい希望を記載することができます。

採用側とのミスマッチを防ぐ

事前に希望条件を伝えておくことで、採用側と応募者側双方の認識のズレ(ミスマッチ)を防ぐことができます。例えば、勤務可能な曜日や時間帯が限られている場合、それを明記しておくことで、採用後に「こんなはずではなかった」という事態を避けるのに役立ちます。

書き方次第で印象が変わることも

「本人希望欄」の書き方一つで、あなたの仕事に対する姿勢や、協調性、あるいは自己中心的な印象など、採用担当者に与える印象が変わることがあります。戦略的に、かつマナーを守って記載することが大切です。

薬剤師が「本人希望欄」に書くべきこと・書いても良いこと

では、具体的にどのような内容を「本人希望欄」に書くのが適切なのでしょうか。

  • 希望職種: 複数の職種を同時に募集している企業や医療機関に応募する場合、どの職種を希望するのかを明確に記載します。 例:「調剤薬剤師職を希望いたします。」「研究開発職を希望いたします。」
  • 希望勤務地: 複数の事業所や店舗がある場合や、転勤の可能性がある場合に、勤務地の希望を記載することができます。ただし、希望を限定しすぎると選考の幅を狭めてしまう可能性もあるため、表現には配慮が必要です。 例:「〇〇市内での勤務を希望いたします。」「通勤時間〇分圏内を希望いたします。」
  • 勤務時間・曜日(特にパート・アルバイト、時短勤務希望の場合): パートタイムやアルバイト、あるいは育児や介護との両立で時短勤務を希望する場合など、勤務可能な曜日や時間帯、週の勤務日数などを具体的に記載します。これは採用の可否に直結する重要な情報となります。 例:「勤務可能曜日:月・水・金曜日」「勤務可能時間:9:00~16:00」「週3日程度の勤務を希望いたします。」
  • 入社可能日: 現在在職中の場合や、卒業時期が決まっている新卒など、入社できる時期が具体的に決まっている場合に記載します。 例:「入社可能日:20XX年〇月〇日より勤務可能です。」「現在在職中のため、入社日はご相談させていただけますと幸いです。(退職予定日:20XX年〇月〇日)」
  • 連絡に関する希望: 選考結果の連絡などで、特定の時間帯に連絡を希望する場合や、連絡方法(電話・メールなど)に希望がある場合に、常識の範囲内で記載することができます。 例:「日中は業務中のため、ご連絡は18時以降、またはメールにていただけますと幸いです。」
  • 健康上の配慮: 業務遂行に影響する可能性のある健康上の理由で、合理的な範囲での配慮を求める場合に記載します。ただし、伝え方には細心の注意が必要です。詳細は面接で説明する旨を添えるなど、一方的な要求にならないようにしましょう。 例:「既往症により、定期的な通院が必要なため、勤務時間についてご相談させていただけますと幸いです。(業務に支障はございません)」

薬剤師が「本人希望欄」に書かない方が良いこと・避けるべきこと

一方で、「本人希望欄」に書くべきではない、あるいは避けた方が良い内容もあります。

  • 給与・年収・賞与などの待遇面: 履歴書の段階で具体的な給与額や待遇(賞与の額、昇給率、手当の種類など)に関する希望を詳細に記載するのは、一般的に避けるべきです。これらの条件は、面接が進んだ段階や内定後に話し合い、交渉するのが通例です。金銭的な要求が前面に出すぎると、仕事内容よりも待遇を重視しているという印象を与えかねません。
  • 休暇に関する詳細な希望: 「夏期休暇は〇日間希望」「有給休暇は入社後すぐに取得したい」といった、詳細な休暇に関する希望を一方的に記載するのは控えましょう。休暇制度については、入社後に社内規定を確認するか、面接で質問するのが適切です。
  • 「特になし」という素っ気ない記載: 特に書くべき希望がない場合でも、単に「特になし」とだけ書くのは、やや素っ気なく、意欲がないように受け取られる可能性もゼロではありません。後述する「貴社規定に従います」といった表現を使う方が、より丁寧で協調性のある印象を与えます。
  • 過度な要求や自己中心的な希望: 採用側の視点を考慮せず、あまりにも一方的な要求や、細かすぎる条件を多数列挙するのはマイナスイメージに繋がります。「〇〇の業務は担当したくありません」「残業は一切できません」といった表現は避けましょう。
  • 志望動機や自己PRの繰り返し: 志望動機や自己PRは、それぞれ専用の欄に詳細を記載するべきです。「本人希望欄」でこれらの内容を繰り返す必要はありません。

「本人希望欄」の基本的な書き方マナーとポイント

「本人希望欄」を記載する際には、以下のマナーとポイントを押さえましょう。

  • 簡潔かつ具体的に記述する: 伝えたい内容は、ダラダラと長く書かず、要点をまとめて簡潔に記載します。箇条書きなどを活用するのも良いでしょう。
  • 丁寧な言葉遣いを心がける: 「~を希望いたします。」「~であれば幸いです。」「~について、ご相談させていただけますでしょうか。」といった、丁寧で相手に配慮した言葉遣いを心がけましょう。
  • 「貴社(貴院・貴局)規定に従います」の適切な使い方: 特に譲れない条件がない場合や、応募先の規定に柔軟に対応できる姿勢を示したい場合には、「貴社(貴院・貴局)の規定に従います。」または「貴社(貴院・貴局)の規定に準じます。」と記載するのが最も一般的で、無難な表現です。これにより、協調性があり、企業のルールを尊重する人物であるという印象を与えることができます。
  • 空欄のまま提出するのは避ける: 何も書くことがない場合でも、空欄のまま提出するのではなく、「貴社規定に従います。」の一言を添えるのがマナーです。

【状況別】薬剤師の「本人希望欄」書き方例文集

ここでは、様々な状況に応じた「本人希望欄」の書き方例文を紹介します。

希望職種を伝えたい場合の例文

  • 「薬剤師職の中でも、特にDI業務に携われることを希望いたします。」
  • 「募集職種のうち、〇〇(例:研究開発職)を強く希望いたします。」

希望勤務地を伝えたい場合の例文

  • 「勤務地につきましては、〇〇支店または△△エリアでの勤務を希望いたします。」
  • 「現在の居住地(〇〇市)から通勤可能な範囲での勤務を希望いたします。」 (※選択肢を狭める可能性があるため、本当に譲れない場合のみ記載)

勤務時間・曜日を伝えたい場合(パート・アルバイト)の例文

  • 「勤務時間・曜日:平日(月~金)の9:00~17:00のうち、週3日、1日5時間程度の勤務を希望いたします。勤務可能な曜日につきましては、ご相談させていただけますと幸いです。」
  • 「子供の保育園送迎のため、勤務時間は9:30~16:30を希望いたします。週4日の勤務が可能です。」

入社可能日を伝えたい場合の例文

  • 「入社可能日:20XX年〇月〇日より勤務可能です。」
  • 「現在在職中のため、内定後〇ヶ月以内(20XX年〇月〇日頃)の入社を希望いたします。詳細につきましては、ご相談させてください。」

特に希望がない場合の例文

  • 「貴社(貴院・貴局)の規定に従います。」
  • 「貴社(貴院・貴局)の規定に準じます。配属部署、勤務地につきましても、指示に従います。」

健康上の配慮を依頼したい場合の例文(慎重な表現で)

  • 「〇〇の既往症がございますが、通常の業務遂行に支障はございません。ただし、定期的な通院が必要なため、勤務曜日についてご配慮いただけますと幸いです。詳細は面接の際にご説明させていただければと存じます。」 (※業務への支障がないことを明記し、あくまで「相談」という姿勢で記載することが重要です)

新卒・転職・パートなど、応募形態別の「本人希望欄」の考え方

応募者の状況によっても、「本人希望欄」で伝えるべきことや、その重要度は異なります。

  • 新卒薬剤師の場合: 基本的には「貴社(貴院・貴局)の規定に従います。」と記載するのが一般的です。企業や病院の配属方針に柔軟に対応できる姿勢を示す方が好印象です。ただし、どうしても譲れない勤務地や、特定の職種(例:研究職志望など)への強い希望がある場合は、その旨を丁寧に記載することを検討しても良いでしょう。
  • 転職薬剤師の場合: これまでのキャリアや今後のキャリアプランを踏まえ、どうしても譲れない条件(例:特定の専門分野での業務、管理職としての採用など)があれば、それを明確に伝えることが重要です。ただし、給与や待遇などの条件交渉は、基本的には面接が進んだ段階で行うのが一般的です。
  • パート・アルバイト薬剤師の場合: 勤務可能な曜日、時間帯、日数などの勤務条件は、採用の可否に直結する最も重要な情報の一つです。誤解が生じないよう、具体的かつ正確に記載しましょう。「扶養控除内での勤務を希望いたします」といった希望も、この欄に記載します。
  • 派遣薬剤師(派遣会社登録時)の場合: 派遣会社に登録する際の履歴書(または登録シート)では、勤務地、勤務時間、時給、希望する業務内容、勤務期間など、詳細な希望条件を具体的に伝えることが、希望に合った仕事を紹介してもらうための前提となります。

まとめ:「本人希望欄」を上手に活用し、スムーズな選考と納得のいく就職・転職へ

薬剤師の履歴書における「本人希望欄」は、決して軽視できない項目です。書くべきことと書くべきでないことを見極め、マナーを守って簡潔かつ具体的に記載することで、採用担当者との無用な誤解を防ぎ、スムーズな選考プロセスに繋げることができます。

特に希望がない場合でも「貴社(貴院・貴局)規定に従います。」と一言添えることで、協調性や柔軟性を示すことができます。この記事で紹介したポイントや例文を参考に、あなたの状況に合わせて「本人希望欄」を賢く活用し、納得のいく就職・転職活動を進めてください。

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黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
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