2025.06.08

麻薬取締官になるには？薬剤師の専門性を活かす採用への道と仕事の全貌

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薬剤師のキャリアパスの中でも、ひとき прод強い正義感と使命感が求められる特別な仕事があります。それが、厚生労働省の地方厚生局に所属し、薬物乱用のない社会を実現するために戦う国家公務員、「麻薬取締官」です。

「麻薬Gメン」とも呼ばれる彼らは、薬物犯罪の捜査・取締りの最前線に立ち、専門知識と屈強な精神力で社会の安全を守っています。それは、薬剤師としての知識を、人々の命と暮らしを直接守る力に変える、極めて重要な役割です。

この記事では、麻薬取締官という仕事のリアルな姿、そのやりがいと厳しさ、そして採用試験を突破してその一員となるための道筋について、詳しく解説します。

Contents

麻薬取締官とは？その使命と役割

麻薬取締官は、厚生労働省の地方厚生（支）局に設置されている「麻薬取締部」に所属する専門職員です。その最大の使命は、「麻薬及び向精神薬取締法」をはじめとする薬物関連法規に基づき、不正に流通する薬物の供給源を断ち、薬物犯罪を根絶することにあります。

彼らは、警察官ではありませんが、薬物犯罪の捜査に関して、刑事訴訟法に基づく特別な権限を与えられた「特別司法警察職員」です。そのため、おとり捜査や所持品の検査、令状に基づく家宅捜索、被疑者の逮捕といった、警察官と同様の捜査活動を行うことができます。

麻薬取締官の業務は、デスクワークから危険を伴う現場捜査まで、非常に多岐にわたります。

これが麻薬取締官の仕事の中核です。薬物犯罪に関する情報を収集し、昼夜を問わない内偵調査、張り込み、尾行を行います。そして、証拠を固めた上で、裁判官が発付した令状に基づき、被疑者の逮捕や証拠品の押収といった強制捜査に踏み切ります。逮捕後は、被疑者の取り調べや、検察官への送致書類の作成も行います。

薬剤師としての専門知識が最も活かされる業務の一つです。病院や薬局など、医療用麻薬や向精神薬を正規に取り扱う施設へ立ち入り、帳簿や在庫、保管状況などが法律に則って適正に管理されているかを検査・指導します。医療現場からの薬物流出を防ぐ、非常に重要な役割です。

薬物乱用者本人やその家族からの相談に応じ、回復に向けた支援機関を紹介することもあります。また、未来を担う若者たちを薬物の危険から守るため、学校などで薬物乱用防止に関する講演会やキャンペーンを行うのも大切な仕事です。

この仕事には、大きなやりがいがある一方で、厳しい現実も存在します。

麻薬取締官になるには、まず国家公務員採用試験に合格する必要があります。

国家公務員採用一般職試験（大卒程度試験）に合格人事院が実施するこの試験の「行政」または「電気・電子・情報」のいずれかの区分を受験し、合格することが第一歩です。薬剤師免許は必須ではありませんが、薬学の知識は専門試験やその後の業務で極めて有利に働きます。
官庁訪問試験合格後、採用を希望する地方厚生（支）局麻薬取締部へ「官庁訪問」を行います。これが事実上の採用面接となり、志望動機や適性などが厳しく評価されます。
採用内定官庁訪問を経て、晴れて麻薬取締官として採用が決定されます。

なお、薬剤師免許を持たずに採用された場合でも、採用後に法律の規定に基づき、厚生労働大臣から薬剤師免許が与えられます。それだけ、この仕事における薬学の専門性が重視されていることの証です。