病院薬剤師の採用選考、小論文の書き方と構成例
病院薬剤師の採用選考過程で、履歴書や面接と並んでしばしば課されるのが「小論文」です。与えられたテーマについて、ご自身の考えを文章で論理的に表現する能力が問われます。書き慣れていない方にとっては、どのように書き進めれば良いのか、構成をどうすれば良いのか悩んでしまい、「例文」を探してしまうこともあるでしょう。ここでは、丸写しするための例文ではなく、ご自身の言葉で説得力のある小論文を書き上げるための、基本的な考え方と構成の組み立て方について解説します。
小論文で採用担当者が見ていること
まず理解すべきは、病院がなぜ小論文を課すのか、その意図です。採用担当者は、あなたの文章を通じて、履歴書だけでは分からない「人柄」や「価値観」、そして「論理的な思考力」を見ています。テーマに対するあなたの考え方から、薬剤師という職業への向き合い方や、その病院の理念と合致する人材であるかどうかを判断しようとしています。したがって、どこかで見たような言葉を並べるのではなく、ご自身の経験に基づいた、あなただけの考えを述べることが何よりも重要です。
評価される小論文の基本構成
説得力のある小論文は、一般的に「序論」「本論」「結論」の三つの部分で構成されます。これは、ご自身の主張を明確に、そして分かりやすく伝えるための基本構造です。まず「序論」では、与えられたテーマに対するご自身の結論、つまり最も伝えたい主張を簡潔に提示します。次に「本論」では、その主張に至った理由を、具体的な経験やエピソードを交えながら詳しく述べます。ここが小論文の核となる部分であり、あなたの考えに説得力を持たせるための根拠を示します。最後に「結論」では、本論の内容を踏まえて序論で述べた主張を改めて示し、入職後にその考えをどのように活かしていきたいかという、将来への抱負に繋げて締めくくります。
テーマ別の構成例と考え方
例えば、「理想の薬剤師像」というテーマであれば、まず序論で「私が考える理想の薬剤師像は、患者さまの不安に寄り添い、安心を届けられる薬剤師です」といった結論を述べます。続く本論では、なぜそう考えるようになったのか、きっかけとなった具体的な体験(実務実習や過去の職務経験など)を記述します。そして結論として、その理想像を実現するために、応募先の病院でどのように貢献していきたいかを述べる、という流れが考えられます。どのようなテーマであっても、この「結論→具体例→将来への抱負」という流れを意識することで、論理的で一貫性のある文章を組み立てることができます。
独りよがりにならないための推敲の重要性
小論文を書き上げた後は、必ず何度も読み返し、推敲する時間を設けましょう。独りよがりな表現になっていないか、論理の飛躍はないか、誤字脱字はないかなど、第三者の視点で客観的に見直すことが大切です。可能であれば、他の人に読んでもらい、感想を聞くのも良いでしょう。薬剤師専門の転職エージェントは、これまでに数多くの小論文を添削してきた経験を持っています。専門のキャリアアドバイザーに相談することで、あなたの考えがより効果的に伝わるよう、客観的で的確な助言を得ることができ、書類の完成度を大きく高めることができます。