薬剤師の転職面接、「終わり良ければ総て良し」退室時の作法とマナー
緊張感に満ちた転職活動の面接が終わり、面接官から「本日は以上です」という言葉を聞くと、安堵のため息をつきたくなるかもしれません。しかし、あなたの振る舞いは、面接室のドアを閉め、応募先の建物を完全に出るまで、まだ評価の対象となっています。「終わり良ければ総て良し」という言葉があるように、面接の最後を締めくくる「退室」の一連の作法は、あなたの社会人としての品格や、相手への感謝の気持ちを示す、面接の総仕上げとも言える非常に重要なプロセスなのです。この記事では、最後まで好印象を残し、「また会いたい」と思われるための、美しく丁寧な退室マナーについて詳しく解説いたします。
面接終了の合図と、席での最初の挨拶
面接官から「本日の面接は以上となります」といった、終了の合図があったら、すぐに慌てて立ち上がろうとせず、まずは座ったままの姿勢で、最初の感謝の言葉を伝えましょう。「本日は、お忙しい中、貴重な面接の機会をいただき、誠にありがとうございました」と、面接官の目を見て、はっきりと、そして心を込めてお礼を述べます。この最初のお礼が、あなたの落ち着きと、感謝の気持ちを伝えるための第一歩となります。
起立してから、椅子の横で行う挨拶
席でのお礼を述べた後、もしテーブルの上に応募書類などを広げていれば、それを静かにカバンにしまいます。そして、ゆっくりと立ち上がり、ご自身が座っていた椅子の横(入室時に立ったのと同じ側が基本)に移動し、改めて面接官の方へまっすぐ向き直ります。そこで、背筋を伸ばした美しい姿勢で、「本日は、誠にありがとうございました」と、もう一度感謝の言葉を述べ、最も丁寧とされる45度程度の深いお辞儀をします。この起立してからの挨拶とお辞儀が、あなたの感謝の気持ちを最も強く表現する瞬間です。
ドアの前で行う、最後の締めくくりの挨拶
深いお辞儀を終えたら、すぐに背を向けるのではなく、一呼吸置いてから、背筋を伸ばしたまま、落ち着いてドアの方へと歩き始めます。そして、ドアノブに手をかける直前で、最後にもう一度、面接官の方へと向き直ってください。そこで、明るい表情を意識し、「失礼いたします」と最後の一言を述べ、改めて30度程度の丁寧なお辞儀(会釈)をします。この、ドアの前で振り返って行う最後のお辞儀が、あなたの礼儀正しさと、最後まで敬意を払う真摯な姿勢を、面接官の記憶に強く刻み込む、非常に重要な締めくくりの作法です。
ドアの開閉と、面接室を出た後の注意点
最後のお辞儀を終えたら、静かにドアを開け、面接官に完全に背中を向けすぎないように注意しながら室外へ出ます。ドアを閉める際は、決して後ろ手でバタンと閉めることのないよう、一度ドアの方へ向き直り、両手を使って、音を立てずにそっと閉めることを心がけてください。そして、最も大切なのは、面接室を出たからといって、決して気を抜かないことです。会社の建物を出るまでは、どこで誰に見られているか分かりません。廊下でスマートフォンを取り出して操作したり、安堵のため息をついたりせず、最後まで社会人としての緊張感を保ち、静かに退去しましょう。
最後まで気を抜かない姿勢が、信頼を築く
退室時の作法は、その一つひとつの丁寧な動作に、あなたの誠実さや他者への配慮の心が表れる、面接の集大成です。これらの流れるような美しい所作は、頭で理解しているだけでは、本番の緊張の中ではなかなか実践できるものではありません。もし、ご自身の立ち居振る舞いに少しでも不安があれば、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。模擬面接などを通じて、入室から退室までの一連の流れを客観的に評価し、改善のための具体的なアドバイスを提供することで、皆様が自信を持って本番に臨めるよう、力強くサポートいたします。