薬剤師の履歴書、「浪人」経験の正しい書き方と伝え方
薬剤師の転職活動で履歴書を作成する際、学歴欄を記入するにあたり、高校卒業から大学入学までの間に空白期間がある、いわゆる「浪人」の経験をどのように書けば良いのか、その扱いに悩んでしまう方もいらっしゃるかもしれません。「正直に書くと、選考で不利になってしまうのではないか」「何か理由を書くべきなのだろうか」といった不安は、多くの方が抱えるものです。しかし、浪人の経験は決して珍しいことではなく、その事実を正しく記載すれば、選考において不利になることはほとんどありません。この記事では、採用担当者に不要な誤解を与えない、履歴書における浪人経験の正しい書き方について詳しく解説します。
履歴書に「浪人」と明記する必要はない
まず、最も重要な原則として、履歴書の学歴欄に「〇〇大学合格のため、1年間浪人」といったように、浪人した事実やその理由を自ら書き加える必要は一切ありません。学歴欄は、あくまであなたの入学と卒業の経歴を客観的な事実として示すためのものです。そこに個人的な背景を詳細に記述する必要はなく、むしろ蛇足と見なされてしまう可能性があります。採用担当者は、高校卒業と大学入学の年月を見れば、その間に期間があることを自ずと把握します。
学歴欄への正しい書き方
では、具体的にどのように記載すれば良いのでしょうか。その方法は非常にシンプルで、高校の卒業年月と、大学の入学年月を、それぞれ事実の通りに正確に記載するだけです。これにより、浪人期間は経歴として明確に示されます。
記入例は以下の通りです。
学歴
平成〇年 3月 〇〇県立〇〇高等学校 普通科 卒業
平成△年 4月 〇〇大学 薬学部 薬学科 入学
令和□年 3月 〇〇大学 薬学部 薬学科 卒業
このように、卒業と入学の年月をありのままに記載すれば、それだけで十分です。この書き方で、経歴を偽っていると見なされたり、説明不足と判断されたりすることはありませんので、ご安心ください。
浪人経験は選考で不利になるのか
採用担当者の視点から見ると、浪人の経験そのものが、選考の合否に直接影響することは、まずないと考えて良いでしょう。特に、薬学部のような専門性の高い学部を目指す上で、より高いレベルの教育を求めて再挑戦することは、むしろ学習意欲の高さや目標達成への意志の強さの表れと、好意的に評価されることさえあります。
採用担当者がより重視するのは、大学で何を学び、薬剤師としてどのような実務経験を積んできたのか、という入社後の活躍に繋がる部分です。浪人期間の有無よりも、その後のキャリアで培われた専門性やスキル、そして仕事に対する姿勢の方が、はるかに重要な評価ポイントとなります。
面接で質問された場合のスマートな答え方
履歴書に浪人という記載はしませんが、面接の場で学歴について触れられた際に、空白期間について質問される可能性はゼロではありません。もし質問された場合は、隠したりごまかしたりせず、簡潔に、そして前向きな姿勢で事実を伝えましょう。
例えば、「第一志望であった貴学の薬学部で学ぶことを強く希望しておりましたので、目標達成のため、もう一年間勉強に専念いたしました」というように、目的意識を持って努力した期間であったことを伝えれば、あなたの粘り強さや主体性をアピールする良い機会となります。過去の事実を正直に、そしてポジティブに語るその姿勢が、あなたの誠実な人柄を伝えることに繋がります。