薬剤師は国家資格を持つ専門職であり、年齢を問わず活躍できる職業のひとつです。とくに、定年を迎えた後や60代を超えても働き続けたいと考える人にとって、薬剤師という職種は**「キャリアの継続」や「社会参加」を実現しやすい選択肢**となります。近年では、医療現場の人材不足や多様な働き方の浸透により、シニア世代を歓迎する求人も増加傾向にあります。
この記事では、60代以降も活躍したい薬剤師のために、シニア層に合った職場の特徴、求人探しのポイント、注意すべき点などを詳しくご紹介します。
なぜ今、シニア薬剤師の需要が高まっているのか?
- 少子高齢化による人材不足
薬剤師資格を持つ人は増えている一方で、現場での即戦力となる人材が不足しており、高い実務経験を持つシニア層が求められているのが現状です。
- 在宅医療や地域包括ケアの進展
コミュニケーション能力や地域医療への理解が深いシニア薬剤師は、患者との関係構築や多職種連携の面でも貴重な存在とされています。
- 勤務形態の多様化
パート、週3日勤務、午前中のみなど、柔軟な働き方ができる職場が増え、年齢を問わず働きやすくなっていることも背景にあります。
シニア薬剤師に合った主な職場と働き方
◎ 調剤薬局(パート・時短勤務)
- 地域密着型の薬局では、ベテランならではの対応力や接遇スキルが評価されるケースが多いです。
- 処方箋の枚数が比較的少ない薬局では、落ち着いて働ける環境が整っており、60代以降の薬剤師も多数活躍しています。
◎ ドラッグストア(OTC・併設型調剤)
- 店舗数が多いため、自宅近くで働ける選択肢が豊富。午前のみ勤務や週2〜3日といったシフト調整も可能な場合が多く見られます。
- 調剤経験が活かせるほか、OTC販売や健康相談で対人業務に強い薬剤師が重宝されます。
◎ 在宅訪問支援薬局
- 在宅対応の薬局では、患者宅での服薬指導や多職種との連携を通じて、経験豊富な薬剤師が重宝される傾向があります。
- コミュニケーション能力や高齢者への理解が深い人材が歓迎されやすい職場です。
◎ 企業系(薬事・品質管理・講師業務)
- 薬局や病院の現場から離れ、製薬会社や研修機関などで後進育成に関わるケースもあります。
- 長年の現場経験をベースに、「教える」「監修する」「管理する」といった立場で働ける職域も存在します。
シニア薬剤師向け求人のチェックポイント
項目 | 確認すべき内容 |
---|
雇用形態 | パート、嘱託、業務委託など、年齢に応じた働き方が用意されているか |
勤務日数・時間 | 週2〜3日、午前中のみ、繁忙期のみなど、柔軟なシフト調整が可能か |
仕事内容の負荷 | 一人薬剤師か複数体制か、調剤機器の操作に慣れているかなど、業務量と内容の確認 |
年齢制限の有無 | 応募時に「年齢不問」または「シニア歓迎」と明記されている求人が安心 |
教育体制・サポート | ブランク復帰支援やマニュアル整備、周囲との連携体制が取れているか |
求人の探し方:現役・再就職のどちらにも活用可能
- 地域のハローワークや福祉人材センターでは、60代以上向けの薬剤師求人が定期的に掲載されています。
- 薬剤師専門の求人サイトやエージェントでは、「年齢不問」「週3日勤務可」「時短OK」などの条件で検索可能。
- OB・OGネットワークや薬剤師会経由の紹介で、地元薬局の非公開求人に出会えるケースもあります。
働き続けるうえで大切にしたいポイント
- 体力と業務負担のバランスを考える
→ 立ち仕事が長時間に及ばないか、シフトに無理がないかをチェック。
- 無理なく通える勤務地を選ぶ
→ 通勤時間や交通手段も、年齢を重ねるほど重要な判断材料になります。
- やりがいや人とのつながりを感じられる環境かどうか
→ ただ業務をこなすのではなく、患者との交流や社会貢献を実感できる働き方を選ぶことで、長く前向きに続けられます。
まとめ:シニア薬剤師だからこそ、活かせる価値がある
年齢を重ねても働き続けたいという意欲がある限り、薬剤師という職業にはキャリアの「終わり」はありません。現場経験、患者対応、薬学知識——これまで積み上げてきたものは、これからの現場でも大いに活かされるはずです。
今求められているのは、柔軟に働き、信頼される“ベテランの力”。
それが、これからの医療現場を支える大きな力になります。
無理なく、長く、自分らしく。
そんな働き方を、次のステージで実現してみてはいかがでしょうか。
ABOUT ME
人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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