薬剤師の転職面接、「弊社」の正しい使い方とは?現職・前職の呼び方マナー
転職活動の面接において、応募先企業の呼び方である「御社」という敬称に気を配る方は多いかと存じます。しかしその一方で、ご自身が今現在所属している会社や、過去に所属していた会社のことを、面接の場でどのように呼べば良いのか、その正しい言葉遣いに迷ってしまう方も少なくありません。特に、「弊社」という言葉を使うべきか否かは、応募者のビジネスマナーへの理解度が問われる、細やかでありながらも重要なポイントです。この記事では、面接の場で、ご自身の所属する組織について、謙虚かつ正確に表現するための、正しい言葉遣いのマナーについて詳しく解説いたします。
「弊社」と「当社」の基本的な違い
まず、ご自身の会社を指す言葉としてよく使われる、「弊社」と「当社」の基本的な違いについて理解しておきましょう。「弊社(へいしゃ)」とは、相手に対して自分たちの会社をへりくだって表現する際に使う「謙譲語」です。主に、取引先やお客様といった、社外の人とのコミュニケーションにおいて、敬意を示すために用いられます。
一方、「当社(とうしゃ)」は、主に社内の人に対して自分たちの会社を指す際に使う「丁寧語」です。社外の人に対して使うこともありますが、その場合は相手と対等な立場であることを示唆したり、あるいは、へりくだる必要のない公式な発表の場などで使われたりすることが多くあります。
面接では「弊社」ではなく「現職」または「前職」が最も適切
では、社外の人である面接官と話す、転職活動の面接においては、「弊社」という謙譲語を使うのが正しいのでしょうか。結論から申し上げますと、転職活動の面接においては、現在所属している会社を指す場合であっても、「弊社」という言葉は使わず、より客観的な表現を用いるのが、一般的で望ましいマナーとされています。
その理由は、あなたが面接に臨んでいる立場にあります。「弊社」という言葉は、あくまでもその会社の社員として、自社を代表する立場で話す際に使う言葉です。しかし、転職活動の面接は、会社の一員としてではなく、応募者「個人」の資格で参加している場です。そのため、「弊社」という言葉を使うと、面接官によっては「まだ在籍している会社の代表者として話しているのか」「公私のけじめがついていない」といった、わずかな違和感を与えてしまう可能性があるのです。
したがって、最も中立的で正確、かつ誤解のない表現は、現在所属している会社については「現職(げんしょく)」または「現在の職場」、既に退職している会社については「前職(ぜんしょく)」または「以前の職場」という言葉を使うことです。
具体的な話し方の例文
実際に面接の場で話す際は、以下のように表現すると、非常にスマートで洗練された印象になります。
例えば、現職について話す場合は、「はい、現職の薬局では、主に在宅医療に力を入れており、多職種連携の重要性を日々学んでおります」といった形です。
また、前職の経験について語る場合は、「前職の病院では、〇〇科の病棟担当薬剤師として、約3年間、服薬指導業務に携わっておりました」というように使います。
言葉遣いの細部が、薬剤師としての信頼性を映す
応募先を「御社」と敬い、ご自身の所属を「現職」や「前職」と客観的に表現する。このような言葉の的確な使い分けは、あなたが相手と自分の立場を正確に認識し、尊重することができる、高度なコミュニケーション能力を持っていることの表れです。この能力は、患者様、医師、同僚といった、様々な立場の人々と日々接し、それぞれの立場を尊重しながら円滑な連携を図ることが求められる薬剤師にとって、不可欠な資質と言えるでしょう。面接官は、あなたの言葉遣いの細部から、社会人としての成熟度と、薬剤師としての適性を見ているのです。
細やかなマナーも、専門家と一緒なら安心
「弊社」という一言を使うべきか否か。このような細かな言葉遣いのマナーは、知っているか知らないかで、あなたの印象を大きく左右する可能性があります。転職活動では、こうしたビジネスマナーの「正解」が分からず、不安な気持ちで面接に臨まなければならない場面も少なくありません。そのような時は、転職の専門家であるキャリアアドバイザーにご相談ください。模擬面接などを通じて、こうした細かな言葉遣いの癖や、より適切な表現方法について、客観的な視点から丁寧に指導し、あなたが自信を持って、かつ洗練された社会人として面接に臨めるよう、力強くサポートいたします。