薬剤師の転職、応募書類を面接時持参する際のマナー
薬剤師の転職活動において、書類選考を通過し、いよいよ面接という段階。その際に、応募先から「応募書類を面接時にご持参ください」と指示されることがあります。事前に郵送やデータで提出している場合でも、改めて持参を求められるこの場面では、あなたの立ち居振る舞いや細やかな配慮が、第一印象を決定づける重要な要素となります。この記事では、採用担当者に好印象を与え、その後の面接をスムーズに進めるための、応募書類を持参する際の一連のマナーについて詳しく解説します。
なぜ改めて応募書類を持参するのか
すでに提出済みの応募書類を改めて持参するよう求められるのには、いくつかの理由があります。一つは、面接官が複数名いる場合に、その場で全員が確認できるようにするためです。また、万が一、採用担当者が手元に書類を用意していないといった不測の事態に備える意味合いもあります。
そして、応募者にとっては、この書類の持参方法や渡し方という一連の所作を通じて、ご自身の社会人としての常識や、仕事に対する真摯な姿勢を示す絶好の機会となるのです。
事前準備:クリアファイルと封筒は必須
まず、応募書類を持参する場合、書類を裸のまま鞄に入れるのは絶対に避けましょう。必ず「クリアファイル」に挟み、さらにそれを「封筒」に入れるのが社会人としての基本的なマナーです。クリアファイルは、自宅から面接会場までの移動中に、鞄の中で大切な書類が折れたり汚れたりするのを防ぐために不可欠です。使用するのは、A4サイズの無色透明で、傷や汚れのない新品のものを選んでください。
そして、そのクリアファイルごと書類を収めるための封筒も準備します。これは、クリアファイルをさらに保護する役割と、受付などで第三者に渡す際に、中身が直接見えないようにするという配慮のためです。封筒は、A4サイズのクリアファイルが折らずにきれいに入る「角形A4号」または「角2」サイズの白色のものが最も適しています。
封筒の書き方と封のルール
手渡しする場合、採用担当者がその場ですぐに中身を確認できるよう、封筒にのり付けはしません。宛名については、面接官に直接お渡しすることが分かっていれば、書かなくても構いません。しかし、企業の受付で預ける可能性がある場合は、誰に渡すべき書類なのかが分かるよう、宛名(会社名、部署名、担当者名)を記載しておくと、より親切で丁寧な印象になります。どちらの状況にも対応できるよう、事前に宛名を書いておくのが最も確実な対応と言えるでしょう。
好印象を与えるスマートな渡し方の手順
応募書類を渡すタイミングは、面接官から「履歴書をいただけますでしょうか」と提出を求められた時が基本です。面接官の指示に従って、スマートにお渡ししましょう。もし面接が始まっても特に指示がなければ、面接の冒頭で「本日はよろしくお願いいたします。こちらが応募書類でございます」と、自ら切り出しても良いでしょう。
渡す際は、まず鞄から封筒を取り出し、その場で封筒からクリアファイルごと書類を取り出します。そして、相手がすぐに読める向き(相手側から見て書類の正面になるように)に持ち替え、空になった封筒の上にクリアファイルを重ねるようにして持ちます。最後に、「よろしくお願いいたします」と一言添えながら、両手で丁寧にテーブルの上へ差し出しましょう。机を挟んで距離がある場合は、相手が取りやすい位置に静かに置きます。この一連の美しい所作が、あなたの評価を高めます。
受付で書類を預ける場合のマナー
場合によっては、面接官ではなく、企業の受付で書類を預けるよう指示されることもあります。その際は、封筒から中身は出さずに、封筒ごと担当者にお渡しします。宛名が書いてある表面を上にして、「本日〇時より、〇〇部の〇〇様と面接のお約束をいただいております、薬剤師太郎と申します。こちら応募書類でございますので、お渡しいただけますでしょうか」というように、丁寧な言葉遣いを心がけ、両手で差し出しましょう。