薬剤師の転職、3社の経験を職務経歴書で魅力的に伝える書き方【テンプレート付】
薬剤師の皆様が転職活動を行う際、これまでのキャリアで3社程度の勤務経験をお持ちの方の中には、「転職回数が多いと、採用担当者にマイナスの印象を与えてしまうのではないか」と、職務経歴書の書き方に深く悩んでしまう方も少なくないでしょう。しかし、多様な環境で経験を積んできたことは、見方を変えれば、あなたの「適応能力の高さ」や「経験の幅広さ」を示す大きな強みとなり得ます。この記事では、3社の経験をネガティブな要素ではなく、あなたならではの価値として伝えるための、職務経歴書の書き方のポイントを、テンプレートを交えて詳しく解説します。
3社の経験は「強み」になる
まず理解すべきは、採用担当者が懸念しているのは、過去の転職回数そのものではなく、その背景にある「またすぐに辞めてしまうのではないか」という、定着性への不安です。したがって、職務経歴書では、それぞれの転職がご自身のキャリアプランに基づいた前向きなステップであったことを、一貫したストーリーとして示すことが極めて重要となります。3社での経験は、異なる企業文化や業務フロー、多様な処方箋に対応してきた証であり、あなたの柔軟性と総合力の高さをアピールする絶好の材料なのです。
採用担当者の心を掴む「職務要約」のテンプレート
採用担当者は非常に多忙であり、職務経歴書の冒頭に記載された「職務要約」を読んで、続きを読むかどうかを判断すると言っても過言ではありません。3社の経験をまとめる際は、単に時系列で事実を羅列するのではなく、一貫したキャリアの軸や、共通する強みを見つけ出し、それを中心に構成することが重要です。
テンプレート例:
大学卒業後、薬剤師として10年間、3社の調剤薬局にて勤務してまいりました。1社目の総合病院門前薬局では、多様な処方箋に対応する基礎スキルを、2社目の地域密着型薬局では、在宅医療と多職種連携の専門性を深めました。直近の3社目では管理薬剤師として、店舗運営と後輩育成のマネジメント経験を積んでおります。これら3社での経験を通じて培った幅広い臨床知識とマネジメント能力を、貴局のさらなる発展に貢献できるものと考えております。
キャリアの一貫性を示す「職務経歴」の書き方
職務経歴のセクションでは、これまでの勤務先ごとに、在籍期間、法人名、事業内容、そして具体的な職務内容と実績を記載します。一般的には、直近の職歴から遡って記載する「逆編年体式」が、あなたの最新のスキルを最初に伝えられるためおすすめです。1社目から2社目、そして3社目へと、スキルや経験がどのようにステップアップしていったのかが分かるように、それぞれの職場で得た学びや果たした役割を具体的に記述しましょう。
テンプレート構成例:
勤務期間:20〇〇年4月~現在
会社名:株式会社〇〇メディカル
事業内容:調剤薬局の運営
職務内容と実績:
・管理薬剤師として、店舗の売上管理、後輩薬剤師2名の指導・育成を担当。
・在宅医療チームのリーダーとして、担当患者数を半年で10名から25名に増加させました。
勤務期間:20〇〇年4月~20〇〇年3月
会社名:医療法人△△会 △△薬局
事業内容:地域密着型薬局の運営
職務内容と実績:
・在宅医療の担当薬剤師として、個人宅および施設への訪問服薬指導に従事。
・地域のケアマネジャーとの連携体制を構築し、多職種連携カンファレンスに参加。
勤務期間:20〇〇年4月~20〇〇年3月
会社名:株式会社□□ファーマシー
事業内容:総合病院門前薬局の運営
職務内容と実績:
・内科、精神科、小児科など15以上の診療科の処方箋応需。1日平均200枚の調剤業務に従事。
すべての経験を未来に繋げる「自己PR」
自己PR欄では、職務経歴で示した事実の背景にある、ご自身の考えや行動を語ります。3社の経験を経たからこそ、どのような薬剤師になりたいのか、そして応募先でどのように貢献できるのかを、未来志向で伝えることが重要です。
テンプレート例:
私の強みは、常に目標を設定し、その達成に向けて主体的に行動できる点です。1社目では幅広い処方経験を積むことを目標とし、2社目では在宅医療の専門性を高めるという目標を掲げ、多職種連携の実践に努めました。そして現職では、マネジメントスキルを習得するという目標のもと、管理薬剤師として店舗運営に貢献してまいりました。これら3社での経験は、すべて「地域医療に深く貢献できる薬剤師になる」という一貫したキャリアプランに基づいております。今後は、これまでの経験を統合し、地域包括ケアシステムの構築を推進されている貴院において、即戦力として貢献したいと考えております。