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【薬剤師の給料】職種別徹底比較!年収アップのポイントやキャリアパスも解説

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薬剤師の資格を活かして働ける場所は、調剤薬局や病院、ドラッグストア、製薬企業など多岐にわたります。そして、選ぶ職種によって、給料(年収)の水準や働き方、求められるスキル、キャリアパスは大きく異なります。「薬剤師として働くなら、どの職種が自分に合っているのだろう?」「職種によって給料はどれくらい違うの?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

この記事では、薬剤師の職種ごとの給料の一般的な傾向や仕事内容の特徴、さらには年収アップを目指すためのポイントや職種選びで考慮すべき点について、詳しく解説していきます。

薬剤師の給料を左右する主な要因

まず、薬剤師の給料がどのような要素によって決まるのか、主な要因を見ていきましょう。これらを理解することで、職種別の給料の違いもより明確になります。

  • 職種(勤務先の業態・業務内容): これが最も大きな要因の一つです。調剤薬局、ドラッグストア、病院、製薬企業、公務員など、どの分野で働くかによって給与体系や水準が大きく変わります。
  • 経験年数・スキル・役職: 薬剤師としての実務経験年数、専門知識や技術、コミュニケーション能力などのスキル、そして管理薬剤師や薬剤部長といった役職に就くことで給料は上昇します。
  • 勤務地域: 都市部と地方では給与水準に差が出ることがあります。一般的に都市部の方が高い傾向にありますが、薬剤師が不足している地域では好待遇の求人が出ることもあります。
  • 企業規模・経営母体: 大手企業か中小企業か、民間か公的機関かによっても、給与や福利厚生の制度が異なります。
  • 雇用形態: 正社員、契約社員、パート・アルバイトなど、雇用形態によって給与体系は大きく異なります。
  • 保有資格: 認定薬剤師や専門薬剤師といった専門性の高い資格を保有している場合、資格手当が支給されたり、より専門的な業務に就くことで給与アップにつながることがあります。

【職種別】薬剤師の給料・年収の一般的な傾向と特徴

それでは、主な職種別に薬剤師の給料の一般的な傾向と、それぞれの仕事内容やキャリアパスの特徴を見ていきましょう。

調剤薬局薬剤師

  • 給与水準の一般的な傾向: 新卒の初任給は安定しており、経験や役職に応じて昇給していきます。平均年収は、ドラッグストアや製薬企業と比較するとやや低い傾向にありますが、勤務地域や企業規模、経営状況によって幅があります。
  • 業務内容: 主に医療機関から発行された処方箋に基づき医薬品を調剤し、患者さんへの服薬指導や薬歴管理を行います。近年では、在宅医療への参画や健康サポート機能の強化も求められています。
  • キャリアパスと昇給: 店舗の管理薬剤師、複数の店舗を統括するエリアマネージャー、本部スタッフ(採用、教育、学術など)といったキャリアパスがあります。また、経験を積んで独立開業する道もあります。役職に就くことで役職手当などが付き、昇給につながります。
  • 大手チェーンと中小・個人薬局の違い: 大手チェーンでは給与体系や研修制度が整備されている一方、中小・個人薬局では経営者との距離が近く、柔軟な働き方や地域密着型の深い関与ができる場合があります。給与水準は個々の薬局によります。

ドラッグストア薬剤師

  • 給与水準の一般的な傾向: 調剤薬局と比較して、初任給から高めに設定されていることが多いです。これは、調剤業務に加えてOTC医薬品のカウンセリング販売や店舗運営業務(商品管理、レジ業務、スタッフ教育など)にも関わるためです。
  • 業務内容: 調剤業務(併設店の場合)、OTC医薬品や健康食品、日用品などの販売とカウンセリング、健康相談対応、商品の発注・在庫管理、売場作り、店舗のマネジメント業務など多岐にわたります。
  • キャリアパスと昇給: 店舗責任者(店長)、エリアマネージャー、バイヤー、商品開発、マーケティング、人事など、多様なキャリアパスが魅力です。役職が上がるにつれて給与も大幅にアップする可能性があります。
  • その他: 深夜営業や土日祝日勤務がある店舗も多く、その場合は手当が加算されることもあります。

病院薬剤師

  • 給与水準の一般的な傾向: 初任給は他の業種と比較してやや低い傾向が見られることがありますが、経験を積み、専門性を高めることで着実に昇給していきます。国公立病院か私立病院か、また病院の規模や機能によっても給与水準は異なります。
  • 業務内容: 病棟での服薬指導、注射薬の混合調製、医薬品情報管理(DI業務)、TDM(薬物血中濃度モニタリング)、医療安全管理、治験業務、NST(栄養サポートチーム)やICT(感染制御チーム)などのチーム医療への参画など、専門性の高い業務が中心です。
  • キャリアパスと昇給: 主任薬剤師、副薬剤部長、薬剤部長といった管理職への道や、がん専門薬剤師、感染制御専門薬剤師などのスペシャリストを目指す道があります。大学病院などでは教育・研究職に進むことも可能です。役職や専門資格取得により昇給が見込めます。
  • 福利厚生: 一般的に福利厚生が充実している場合が多く、特に公立病院や大学病院では手厚い傾向にあります。

製薬企業薬剤師

製薬企業における薬剤師の職種は多岐にわたりますが、代表的なものとして以下が挙げられます。

  • MR (医薬情報担当者):
    • 給与水準: 全体的に高く、営業成績に応じたインセンティブ(報奨金)が加わるため、成果次第では非常に高年収となる可能性があります。
    • 業務内容: 医療機関を訪問し、自社の医薬品に関する情報を医師や薬剤師などの医療従事者に提供・収集します。
    • 求められるスキル: 高いコミュニケーション能力、プレゼンテーション能力、自律的な行動力、医薬品に関する深い知識が必要です。
  • 研究・開発職:
    • 給与水準: 高い専門性が求められるため、給与水準も比較的高めです。修士卒・博士卒など学歴が重視される傾向もあります。
    • 業務内容: 新しい医薬品の候補物質の探索、有効性・安全性の評価、製剤化研究、臨床試験(治験)の計画・実施・管理などを行います。
    • 求められるスキル: 高度な薬学・医学・化学などの専門知識、論理的思考力、実験スキル、英語力などが求められます。
  • 学術・DI職、品質管理・製造管理薬剤師など:
    • 給与水準: 専門性に応じて安定した給与が得られる傾向にあります。
    • 業務内容: 学術・DI職は、医薬品に関する学術情報の収集・評価・提供、資料作成、医療従事者からの問い合わせ対応などを行います。品質管理・製造管理薬剤師は、医薬品の品質保証、製造工程の管理、GMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)遵守などを担当します。

公務員薬剤師

  • 給与水準: 国家公務員または地方公務員の給与規定に基づいて支給されます。初任給は他の業種と比べて突出して高いわけではありませんが、勤続年数に応じて着実に昇給し、安定性が高いのが特徴です。期末・勤勉手当(ボーナス)も確実に支給されます。
  • 業務内容:
    • 行政薬剤師: 都道府県庁、市町村役場、保健所などで、薬事衛生行政(薬局や医薬品販売業の許認可・監視指導)、食品衛生、環境衛生、感染症対策、麻薬取締などの業務に従事します。
    • 公立病院薬剤師: 国公立病院や市立病院などで、病院薬剤師として勤務します。
    • 公設試験研究機関の薬剤師: 国立医薬品食品衛生研究所や地方衛生研究所などで、医薬品や食品の試験検査、研究業務などを行います。
  • 福利厚生: 共済組合制度による医療給付や年金制度、各種休暇制度などが非常に充実しており、ワークライフバランスを重視する人にも適しています。

その他(CRA、CRC、大学教員、卸売販売業など)

上記以外にも、薬剤師の資格や知識を活かせる職種はあります。

  • CRA(臨床開発モニター)/ CRC(治験コーディネーター): 医薬品開発における臨床試験(治験)の運営・管理をサポートする専門職です。製薬企業やCRO(開発業務受託機関)に所属します。給与水準は経験や能力によって異なりますが、専門性が高く需要もあります。
  • 大学教員: 薬学部などで、学生の教育や研究活動に従事します。博士号取得者が求められることが多く、アカデミックなキャリアを志向する人向けです。
  • 医薬品卸売販売業の管理薬剤師: 医薬品の適正な流通・保管・品質管理などを担当します。

薬剤師が給料・年収をアップさせるためのポイント

現在の給料に満足していない、あるいは将来的にさらなる年収アップを目指したいと考える薬剤師の方もいるでしょう。ここでは、給料を上げるための一般的なポイントをいくつか紹介します。

  • 専門性を高める: 認定薬剤師や専門薬剤師の資格を取得したり、特定の疾患領域(がん、糖尿病、感染症など)や業務(在宅医療、無菌調製など)に関する深い知識と経験を積むことで、市場価値が高まり、資格手当や昇進・昇給につながりやすくなります。
  • マネジメントスキルを習得する: 管理薬剤師や薬局長、エリアマネージャーなど、部下や店舗を管理・運営するポジションに就くことで、役職手当が付き、給与が大幅にアップする可能性があります。リーダーシップやコミュニケーション能力、経営的な視点を養うことが重要です。
  • 需要の高い地域や分野へ転職する: 薬剤師が不足している地域や、今後成長が見込まれる分野(例:在宅医療、地域包括ケアシステム関連)では、好条件の求人が見つかることがあります。
  • 給与水準の高い業種へ転職する: 例えば、調剤薬局からドラッグストアや製薬企業のMRへ転職することで、年収アップを実現できる可能性があります。ただし、業務内容や求められるスキルも大きく変わるため、慎重な検討が必要です。
  • 副業・兼業を検討する: 本業に支障のない範囲で、薬剤師の知識や資格を活かせる副業(例:オンライン服薬指導、記事監修など)を行うことで、収入を増やすことができます。勤務先の就業規則を確認することが必須です。
  • 独立開業する: 経営スキルや資金力が必要となりますが、調剤薬局などを開業し、成功すれば大幅な収入アップも夢ではありません。

職種選びで給料以外に考慮すべきこと

給料は職場選びの重要な要素の一つですが、それだけで決めてしまうと後悔する可能性もあります。長期的に満足のいくキャリアを築くためには、以下の点も総合的に考慮することが大切です。

  • 仕事のやりがい、興味・関心: 自分がどのような仕事に情熱を注げるのか、何に興味があるのかを深く考えることが重要です。やりがいを感じられる仕事であれば、困難があっても乗り越えやすく、長く続けられます。
  • ワークライフバランス: 勤務時間、残業の多さ、休日の取りやすさ、有給休暇の消化率など、プライベートとの両立が可能かどうかも重要なポイントです。
  • 職場の雰囲気、人間関係: 毎日多くの時間を過ごす職場の雰囲気や、上司・同僚との人間関係は、仕事の満足度に大きく影響します。可能であれば、見学や面接の際に雰囲気を感じ取るようにしましょう。
  • キャリアパスの将来性: その職場でどのようなキャリアを築いていけるのか、スキルアップや昇進の機会はあるのか、将来的な展望も考慮に入れましょう。
  • 福利厚生、研修制度: 住宅手当や退職金制度、産休・育休制度などの福利厚生が充実しているか、また、スキルアップのための研修制度が整っているかも確認しておくと良いでしょう。

まとめ

薬剤師の給料は、選ぶ職種によって大きく異なります。調剤薬局、ドラッグストア、病院、製薬企業、公務員など、それぞれの職種には、給与水準だけでなく、仕事内容、働きがい、キャリアパスにおいて独自の特徴と魅力があります。

年収アップを目指すためには、専門性を高めたり、マネジメントスキルを磨いたり、あるいは給与水準の高い業種や需要のある分野へ挑戦するといった方法があります。しかし、最も大切なのは、給料という一面だけでなく、仕事のやりがい、ワークライフバランス、将来のキャリアプランなどを総合的に考え、自分自身が心から納得できる道を選ぶことです。

この記事が、皆さんの職種選びやキャリアプランニングの一助となれば幸いです。

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黒岩満(くろいわみつる)
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