お役立ち情報

薬剤師の給料、手取りはいくら?計算方法や平均額、増やす方法を解説

sho0202

薬剤師は、医薬品の専門家として人々の健康を支える重要な役割を担う、やりがいのある仕事です。その一方で、日々の生活設計や将来の計画を立てる上で、「実際に毎月手元に残るお金はいくらなのだろう?」と、給料の中でも特に「手取り額」について気になる方は多いのではないでしょうか。この記事では、薬剤師の給料における「手取り額」に焦点を当て、額面給与との違い、引かれるもの、計算方法の目安、そして手取り額を増やすためのポイントについて、一般的な情報を基にわかりやすく解説します。

「給料(額面)」と「手取り」の違いとは?

まず、給料について話す際に基本となる「額面給与」と「手取り給与」の違いを理解しておくことが重要です。

  • 額面給与(総支給額): 会社から支給される基本給に、薬剤師手当、通勤手当、残業手当などの各種手当を含んだ総額のことです。求人情報などで提示されている給与は、一般的にこの額面給与を指します。
  • 手取り給与(差引支給額): 額面給与から、後述する社会保険料や税金などが差し引かれた後、実際に自分の銀行口座に振り込まれる金額のことです。

日々の生活費や貯蓄、趣味などに使えるお金は、この「手取り給与」が基本となるため、自身の収入を正確に把握するためには手取り額を知ることが非常に大切です。

薬剤師の給料(額面)から引かれる主なもの

では、額面給与から具体的にどのようなものが引かれるのでしょうか。主に「社会保険料」と「税金」の2つに大別されます。

社会保険料

社会保険料は、病気やケガ、失業、老齢などに備えるための公的な保険制度の費用です。主に以下のものが給与から天引きされます。

  • 健康保険料: 病気やケガをした際の医療費の自己負担を軽減するための保険料です。会社員の場合、勤務先の健康保険組合または協会けんぽに加入します。
  • 厚生年金保険料: 老後の生活を支える老齢年金や、障害を負った場合の障害年金、死亡した場合の遺族年金などを受け取るための保険料です。
  • 雇用保険料: 失業した場合の失業給付や、育児休業給付、介護休業給付などを受けるための保険料です。
  • 介護保険料: 40歳以上になると徴収され、介護が必要になった際に介護サービスを受けるための費用に充てられます。

これらの社会保険料は、会社と従業員がそれぞれ負担し合う形(労使折半)が一般的です(雇用保険料の負担割合は異なります)。

税金

税金は、国や地方自治体が行政サービスを提供するための財源となります。給与から引かれる主な税金は以下の通りです。

  • 所得税(源泉徴収): 個人の所得に対して課される国の税金です。毎月の給与から概算額が源泉徴収され、年末調整で過不足が調整されます。
  • 住民税: 住んでいる都道府県および市区町村に対して納める地方税です。前年の所得に基づいて税額が計算され、通常、社会人2年目の6月から給与天引きが開始されます。

薬剤師の手取り額の計算方法と目安

薬剤師の手取り額は、以下の基本的な計算式で算出できます。

手取り額 = 額面給与 - (社会保険料の合計額 + 税金の合計額)

社会保険料や税金の金額は、額面給与の金額、扶養家族の有無、加入している健康保険組合などによって異なりますが、一般的に手取り額は額面給与の約75%~85%程度が目安とされています。

例えば、月収(額面)ごとの手取り額の目安は以下のようになります(あくまで一般的な目安です)。

  • 額面月収30万円の場合:手取り 約22万5千円 ~ 25万5千円
  • 額面月収40万円の場合:手取り 約30万円 ~ 34万円
  • 額面月収50万円の場合:手取り 約37万5千円 ~ 42万5千円

ボーナス(賞与)からも同様に社会保険料や所得税が引かれます。この割合はあくまで目安であり、個々の状況によって変動することを理解しておくことが重要です。

薬剤師の平均的な手取り月収・年収は?

薬剤師の平均的な額面給与は、勤務先の種類(調剤薬局、病院、ドラッグストア、製薬会社など)、経験年数、年齢、地域などによって異なります。公的な統計や民間の調査によると、薬剤師の平均的な額面年収は500万円前後、月収にすると40万円前後とされています。

これを基に手取り額の目安を考えると、平均的な手取り月収は約30万円~34万円程度、手取り年収では約375万円~425万円程度と推測できます。

もちろん、これは全体の平均であり、初任給の場合はこれよりも低く、経験を積んだり役職に就いたりすることで、手取り額も上がっていきます。

手取り額に影響するその他の要因

給与から天引きされる社会保険料や税金以外にも、手取り額や可処分所得(自由に使えるお金)に影響を与える要因があります。

  • 扶養家族の有無: 配偶者や子供などの扶養家族がいる場合、所得税や住民税の計算時に配偶者控除や扶養控除が適用され、税負担が軽減されるため、手取り額が変動します。
  • 各種所得控除: 生命保険料控除、医療費控除、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)など、様々な所得控除を利用することで課税所得が減り、結果として税金が安くなる場合があります。これらは年末調整や確定申告で手続きが必要です。
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)など: iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となるため、節税効果があり、将来の資産形成と合わせて手取り額(実質的な可処分所得)を増やす効果が期待できます。
  • 会社の福利厚生: 住宅手当や社宅制度、財形貯蓄制度などは、直接手取り額が増えるわけではありませんが、住居費の負担軽減や計画的な貯蓄に繋がり、実質的な可処分所得を増やす効果があります。

薬剤師が手取り額を増やすには?

薬剤師が手取り額を増やすためには、主に「額面給与を上げること」と「控除額を最適化すること(節税)」の2つのアプローチが考えられます。

額面給与を上げる

  • 昇進・昇格: 経験を積み、スキルを向上させ、管理薬剤師や薬局長、店長などの役職に就くことで役職手当がつき、基本給も上がるため、額面給与が増加します。
  • 資格取得: 専門薬剤師や認定薬剤師などの資格を取得することで、資格手当が支給されたり、より専門性の高い業務を任されたりして評価が上がり、給与アップに繋がる可能性があります。
  • 給与水準の高い職場への転職: 現在の職場の給与水準に不満がある場合や、さらなるキャリアアップを目指す場合は、より条件の良い職場へ転職することも有効な手段です。一般的に、ドラッグストアや製薬会社は給与水準が高い傾向にあります。
  • 副業(勤務先で許可されている場合): 薬剤師としての専門知識や経験を活かせる副業(オンライン健康相談、記事執筆など)で収入源を増やすことも考えられます。

控除額を最適化する(節税する)

  • ふるさと納税の活用: 応援したい自治体に寄付をすることで、自己負担額2,000円を除いた全額が所得税や住民税から控除され、さらに返礼品も受け取れる制度です(控除上限額は所得によって異なります)。
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)の活用: 掛金が全額所得控除になるため、節税しながら老後資金を準備できます。
  • 各種所得控除の適切な申告: 生命保険料控除、医療費控除、地震保険料控除など、利用できる控除は年末調整や確定申告で忘れずに申告しましょう。

これらの節税策は、あくまで法律で認められた範囲内で行うことが大前提です。

まとめ

薬剤師の給料における「手取り額」は、額面給与から社会保険料や税金が差し引かれたものであり、生活設計を立てる上で非常に重要な指標です。手取り額は、額面給与の約75%~85%が目安とされていますが、個人の状況や活用できる控除制度によって変動します。

ご自身の給与明細をよく確認し、どのようなものがどれくらい引かれているのかを把握することは、家計管理の第一歩です。また、将来のキャリアプランを考える上で、手取り額を意識し、収入アップや賢い資産形成の方法を検討していくことが大切です。この記事が、薬剤師の皆さんの給料と手取り額への理解を深める一助となれば幸いです。

ABOUT ME
黒岩満(くろいわみつる)
黒岩満(くろいわみつる)
キャリアアドバイザー
専門職の就職・転職活動を支援しています。求職者に対して、求人情報の提供、応募書類の添削、面接対策、キャリアプランの作成など、様々なサポートを行っています。好きな漫画は、ブラック・ジャック。
記事URLをコピーしました