年収交渉の「伝え方」。薬剤師転職で損をしないために

転職で「年収」を考える薬剤師の皆様へ

薬剤師として転職活動を行う際、給与条件、特に年間の総収入である「年収」はご自身のキャリアや生活設計において非常に重要な要素です。これまでのご自身の経験やスキルを正当に評価してもらい、納得のいく条件で新しいスタートを切りたいと願うのは当然のことでしょう。しかし、このデリケートな「年収交渉」について、どのような「伝え方」をすれば良いのか、悩まれる方は少なくありません。

なぜ「年収交渉」の「伝え方」が重要なのか

年収交渉は、ご自身の希望を伝える重要な機会であると同時に、企業側（採用担当者）にご自身のビジネスマナーやコミュニケーション能力を伝える場でもあります。もし、「伝え方」を一つ間違えてしまうと、「お金のことしか考えていない」「一方的で協調性がない」といったネガティブな印象を与えかねず、せっかくの内定や良好な関係性に影響してしまう可能性もゼロではありません。ご自身の希望を叶えつつ、相手にも納得してもらうための、丁寧で配慮のある「伝え方」が求められるのです。

「伝え方」の前に準備すべきこと

円滑な年収交渉を行うためには、その「伝え方」以前に、しっかりとした「準備」が不可欠です。まず、ご自身のこれまでの経験やスキル（専門薬剤師資格、マネジメント経験、在宅医療の経験など）を客観的に棚卸しし、それが転職市場でどれくらいの価値があるのか（市場相場）を把握しておくことが重要です。「なぜ、その希望年収額なのか」という客観的な根拠を、ご自身の言葉で説明できる準備が、交渉の「伝え方」の土台となります。また、交渉を切り出すタイミング（一般的には内定後が推奨されます）も非常に重要です。

好印象を与える「伝え方」の基本姿勢

好ましい「伝え方」の基本は、まず「謙虚な姿勢」と「相談ベース」であることです。ご自身の希望を一方的に「要求」するのではなく、「ご相談」するというスタンスを取ることが、円滑なコミュニケーションの鍵となります。内定をいただいたことへの感謝や、その企業（病院・薬局）で働きたいという意欲をまず示した上で、年収に関するご自身の考えを伝えるのが良い流れです。客観的な根拠に基づいて説明しつつも、相手の企業の給与規定や予算といった事情にも配慮する姿勢を見せることも大切です。

具体的な「伝え方」のポイント

例えば、交渉を切り出す際には、「大変恐縮ですが、年収についてご相談させていただくことは可能でしょうか」といった丁寧な「伝え方」が考えられます。希望年収額を伝える場合は、「これまでの〇〇の経験や〇〇のスキルを活かせる点を考慮いただき、年収〇〇円程度を希望いたしますが、貴社（貴院）の規定なども踏まえ、ご検討いただけますでしょうか」のように、根拠と希望額、そして相談の形を組み合わせるのが良いでしょう。提示された額が希望と異なる場合も、まずは感謝を述べた上で、「〇〇円程度を希望しておりましたが、再度ご検討いただく余地はございますでしょうか」と、あくまで相談として再検討を依頼する「伝え方」が適切です。

避けるべき「伝え方」の例

一方で、避けるべき「伝え方」もあります。「〇〇円でなければ入社しません」といった一方的で高圧的な「伝え方」や、「前の職場は年収が低すぎたので」といった、前職（現職）への不満だけを理由にした「伝え方」は、採用担当者に良い印象を与えません。また、客観的な根拠を示せないまま、ただ高い希望年収額を伝えることも避けるべきです。

「伝え方」に自信がない場合の解決策

とはいえ、ご自身の市場価値を正確に把握することや、デリケートな年収交渉をご自身で、適切な「伝え方」で行うことに、大きな不安やストレスを感じる方も多いはずです。「この『伝え方』で、本当に大丈夫だろうか」と悩んでしまうかもしれません。

転職エージェントが「伝え方」を含めサポート

こうした年収交渉に関する不安を解消する一つの有効な方法が、転職エージェントの活用です。薬剤師専門の転職エージェントは、業界の年収相場や、各企業・病院の採用動向に関する豊富な情報とノウハウを持っています。ご自身のスキルや経験が市場でどれくらい評価されるのかを客観的にアドバイスできるだけでなく、何よりも、ご自身に代わって企業側との年収交渉を行う役割を担います。

交渉のプロに任せる安心感

ご自身では直接言いにくい希望条件や、そのデリケートな「伝え方」も、エージェントが間に入ることで、市場相場といった客観的な根拠に基づき、冷静かつ論理的に交渉を進めることが可能です。ご自身のキャリアと待遇をより良いものにするために、こうした専門家のサポートを活用することも検討してみてはいかがでしょうか。

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人材会社で15年間、転職・中途採用市場における営業職・企画職・調査職の仕事を経験。
社団法人人材サービス産業協議会「転職賃金相場」研究会の元メンバー
好きなアニメは、薬屋のひとりごと。
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